十種神宝 中学国語の基礎・基本

稗田先生は、永く公立小中学校にお勤めでした。 その先生からお聞きした、 主に中学校の国語の教材のことなどを 書き留めました。

稗田先生からお聞きした、中学校の国語の授業メモです。
HP「十種神宝 中学国語 学習の手引き」の下書きになっています。興味のある方はこちらもご覧下さい。https://y-oono.jimdofree.com/
中学生のみなさんにもわかるようにまとめました。

このブログで紹介した教材の学習プリントをおわけします。興味のある方はこちらをご覧下さい。https://kandakara.booth.pm/

 

 先の見通せない未来を生きていかなくてはならない子どもたちには
 どんな教育が必要なのでしょう。

 その答えの一つが、今回の教育改革なのだと思います。

 文部科学省初等中等教育局の合田哲雄氏(当時教育課程局課長)

 AI時代、第4次産業革命の時代にあって、その国が発展するかどうかは
 AIを使いこなし、AIに目的を与えることができる人がどれだけいるかにかかっている

 とし、今回の教育改革は次の三つの柱からなると説明しています。
  1. 何を学び、何ができるようになるか(学習指導要領改訂
  2. どのように学ぶか(指導方法や教科書の改善
  3. 学びをどう評価するか(大学入試の大改革
  氏は、

 「ゆとり教育」は「知識をどう使うか」が問題だったのに、
 いつのまにか「知識があってもしょうがない」にすり替わってしまった

 とし、2008年の指導要領以降は「知識に基づく応用」と表現を変えたと述べています。

 これは
 「思考するにも判断するにも、知識は絶対に必要である
 という考え方です。
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 確かに
 「考える」ということは、既存の複数の知識を結びつけることである。
 という側面を持っています。

 ですから
 「自分の頭で考え抜くために詰め込み教育は必要である
 というのがオオトリテエのお考えなのです。

 そして、
 まず大学入試を変えることによって、
 雪崩式に、高校・中学・小学校を変えていこうとしています。

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 若いみなさんが高校・大学へ進学した当時、

 「確かな学力」とは「生きる力」を知的側面からとらえたもので、

 「知識や技能はもちろんのこと、これに加えて、学ぶ意欲や自分で課題を見付け、自ら学び、主体的に判断し、行動し、よりよく問題解決する資質や能力等まで含めたもの」

 とされていました。

 ちなみに「生きる力」は「確かな学力」の他に「豊かな人間性」「健康・体力」があります。
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 「確かな学力」で知識や技能の定着を目指すのはよいのですが、
  • どうやって課題を生徒に発見させるのか。
  • 生徒が「やれ」と言われたからやるのではなく、自分から学び続けるためにはどんな指導が有効なのか。
  • どんな資質や能力をどのように育てればよいのか
等々、先生たちの悩みはつきませんでした。

 しかし、そんな中でも世の中はどんどん変わり続けました。

 同時多発テロやリーマンショック後の世界同時不況により
 「失われた十年」は「失われた二十年」になり、
 その間格差社会が進み、ブラック企業がはびこったことは、
 みなさんもご存じの通りです。

 この「就職氷河期」の中で就職時期を迎えたみなさんの先輩たちが、
 今も、ひきこもりニートになっていることが社会問題になっています。

 少子高齢化年金問題が最近クローズアップされていますが、
 これは年号が昭和が平成に変わった30年以上前からわかっていたことです。
 (先送りにし続けたツケをこれから払わされるだけのことです……ただそれだけのことですよ。泣)

 今、銀行の支店が次々に閉鎖されています。
 保険会社などは数千人単位でリストラを行っていることもご存じの通りです。
 また、今年になって「入国管理法」が改正され、
 外国人労働者の本格的な受け入れが始まりました。
 
 銀行の閉鎖や保険会社のリストラは、なぜ起こったのでしょう。

 これは第4次産業革命*1)の結果を見越してのことです。

 第4次産業革命の原動力は、ネットワークAIです。
 その結果、事務系の仕事はすでになくなりつつあるのです。
 そして事務系でない現場方でも、
 単純な仕事は人件費の安い外国人労働者に、ということでしょうか。
 (意見には個人差があります。)

 これが、指導要領で言う「世の中のグローバル化や急速な情報化、技術革新」の中身です。
 今後、どのように子どもたちが生きていく社会が変化していくのか、誰にも予測ができません。

 しかし子どもたちは、否応なく訪れる変化に対応し、
 確実に苛烈になっていく国際社会の中で
 よりよく生きていかなくてはいけないのです。

 そのためにも、単なる知識だけではない、
 「確かな学力」は、より幸福を追求するために
 なくてはならない力なのだ、と指導要領は考えているようです。

  *1) 第4次産業革命
 18世紀末以降の水力や蒸気機関による工場の機械化である第1次産業革命、20世紀初頭の分業に基づく電力を用いた大量生産である第2次産業革命、1970年代初頭からの電子工学や情報技術を用いた一層のオートメーション化を第3次産業革命と言います。それに続く産業革命です。
 第4次産業革命は、二つの技術革新が原動力となっています。
 一つ目は“IoT”と“ビッグデータ”です。“IoT(物のインターネット Internet of Things)”とは、様々な「モノ(物)」がインターネットに接続され(単に繋がるだけではなく、モノがインターネットのように繋がる)、情報交換することにより相互に制御する仕組みや、それによるデジタル社会(クロステック)の実現を指すしくみです。具体的には、工場の機械の稼働状況から、交通、気象、個人の健康状況まで様々な情報がデータ化され、それらがネットワークでつながり、これを解析・利用することで、新しい付加価値が生みだされるしくみです。
 二つ目はAI(人工知能)です。人間がコンピューターに対してあらかじめ分析上注目すべき要素を全て与えなくとも、コンピューター自らが学習し、一定の判断を行うことを可能とする技術です。将棋や囲碁などでは、ほとんど名人級の思考力を備えるようになりましたね。このAIに従来のロボット技術が加わったとき、更に複雑な作業が可能となります。また3Dプリンターの発展により、省スペースで複雑な工作物の製造も可能となります。
 この“IoT” “ビックデータ”と“AI”が結びついたとき、人間に残された仕事は限られたものになります。“AI”にはできない、人間にしかできない仕事をする力を伸ばそうというのが「生きる力」なのだと思います。

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みなさんが幼稚園や保育園に上がる前、「確かな学力」*1)が言われ始めた頃、
バブルは完全に崩壊し、阪神淡路大震災やオウム真理教によるテロが起こり、リーマンショックでデフレが進んでいました。

そんな社会不安の中、みなさんが小学校に上がる頃に、学校は完全五日制となり、80年代とは違う学校の荒れ……学級崩壊が進み、大卒の就職率が過去最低となりました。
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失われた10年」の始まりです。

当時の先生たちは「基礎的・基本的な内容の確実な定着」と「体験的・問題解決的な学習の充実」という、 それまで相反すると考えられてきた授業をやるように指導されていました。

いくら「指導内容の厳選」で、教える内容が3割減らされたといっても、
指導時数も減らされた上で、「きめ細かな指導」も求められたのです。

この無茶な要求に応えるべく、みなさんの担任の先生たちは毎日・毎時間の授業をより効果的・効率的に進めるようにがんぱりました。

学校にPDCAサイクル*2)が導入され、グランドデザインが作られ*3)、評価にポートフォリオ*4)が奨励されたのも、ちょうどこの頃です。

これは今も続いていますね。
(しかし、その成果を十分にあげることができなかった、というのが私の率直な感想です。……意見には個人差があります。)

多くの先生たちは頑張っていたのですが、みなさんが小学校高学年になる頃に、
「満足に授業ができない先生」「子どもと人間関係が築けない先生」など、いわゆる「不適格教員」(指導力不足教員)に対するパッシングが起こります。

そしてみなさんが中学校を卒業する頃、
このゆとりでも詰め込みでもない「脱ゆとり路線」は、正式に指導要領に取り入れられました。

みなさんが中学校を卒業し、高校生・大学生になった頃も、みなさんの担任の先生達は、この「確かな学力」をつけるべく、更に指導を工夫し続けていたのです。
  
  *1) 確かな学力
 「確かな学力」とは当時「知識や技能はもちろんのこと、これに加えて、学ぶ意欲や自分で課題を見付け、自ら学び、主体的に判断し、行動し、よりよく問題解決する資質や能力等まで含めたもの」と説明されました。「確かな学力」の概念は、2008年(平成20年)から2009年(平成21年)に告示の「学習指導要領」にも盛り込まれています。

  *2) PDCAサイクル
 Plan(計画)・Do(実行)・Check(評価)・Action(改善)を繰り返すことによって、生産管理や品質管理などの管理業務を継続的に改善していく手法のことです。学校経営や学級経営、教科経営に生かすようにと言われています。
 
  *3) グランドデザイン
 学校の教育理念や果たすべき役割を描いた経営全体構想を図示したものです。PDCAサイクルにせよグランドデザインにせよ「経営」が強く意識されていることがわかります。

  *4) ポートフォリオ評価
 ポートフォリオとは、書類入れやファイルを意味する言葉です。総合的な学習の評価方法として注目されました。教育現場では「学習活動において児童生徒が作成した作文、レポート、作品、テスト、活動の様子が分かる写真やVTRなどをファイルに入れて保存する方法」と定義されています。(多くの教室で使っている、教科毎にワークシート等を綴じておくファイルはここから始まりました。)
 ポートフォリオ評価は、単なる記録ではなく評価なので、残す意味があるものを選んで子ども自身の目の前でファイルすることを通して、①子どもが達成したことが何であるかを子ども自身に明確に伝え、②どうしてそれが高く評価されることなのかをわからせ、③子どもの達成感や自尊心、あるいは自己効力感を高め、そして④次の課題が何であるかを示して自分の学習活動をコントロールするためのメタ認知を育てることを意図するものなのですが……。(そういうふうに今でも使っている人、どのくらいいるのでしょう。……意見には個人差があります。)


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なぜ今、学校現場で「学び」が求められているのでしょう。

これは、学習指導要領の改訂の歴史と改訂に至る時代背景を考えるとよくわかります。

 ――――――――――

今は昔……と言っても、20代の若いみなさんが生まれる、少し前のことです。

世の中はバブル景気に沸いていました。
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みなさんには信じられないでしょうが、世の中はイケイケで、就職は売り手市場、建設業や金融業に就職希望が殺到しました。

学校では少年非行や校内暴力が流行り、教員のなり手が減少したのもこの頃です。

この頃の某テレビ番組に登場した一人のツッパリ系不良女子中学生が、先日国会で「愚か者の所業」「恥知らず」と発言していました。立派になったものです。
 
この「学校の荒れ」は「詰め込み主義」に原因があったのではないか、という反省から「新しい学力観」という言葉が使われ始めました。

そしてこの「新しい学力観」が、「生きる力」という形になりました。(1996中教審「21世紀を展望した我が国の教育の在り方について」)
 
ちょうどみなさんが生まれた頃でしょうか。この大きな路線転換は、「ゆとり路線」と言われました。
 
「みんな違って みんないい」という金子みすゞの詩や、SMAPの「世界に一つだけの花」が流行ったのも、ちょうどこの頃です。

ところがこの「ゆとり路線」は、子どもの自主性を尊重しすぎて指導ができていないのではないか、 学力低下が起きているのではないか、という批判がマスコミを中心にして起こりました。

これにダメ押しをしたのが2000年のPISA問題*1)です。「分数がわからない大学生」が問題になりました。

そしてみなさんが幼稚園や保育園に通い始めた頃、「確かな学力」が提案*2)されました。

確かな学力」は、詰め込み時代の「勤勉主義+学問中心主義」と、古くて新しい「経験主義+児童中心主義」の折衷案でした。

「ゆとり路線」で授業時間が減らされたまま、「確かな学力」をつけるために一層「教育内容の厳選」が行われ、学校行事の見直しが行われました。

同時に「体験的・問題解決的な学習などのきめ細かな教育活動を展開」するように、みなさんの小学校・中学校の担任の先生達は指導主事から何度も何度も指導されました。

*1) PISA問題
 OECD(経済協力開発機構)加盟国を中心に3年ごとに実施される15歳児の学習到達度調査です。主に読解力・数学的リテラシー・科学的リテラシーなどを測定しています。日本の成績は平成15年(2003)、平成18年(2006)と続落し、ゆとり教育の問題点が指摘されました。

*2)「確かな学力」が提案
 1998年(平成10年)に告示された学習指導要領は「生きる力をはぐくむこと」を基本理念としました。この「生きる力」の中には「基礎的・基本的な内容の確実な定着」が含まれていました。
 そして「基礎的・基本的な内容の確実な定着」を徹底するために、指導内容を3割程度削減しました。例えば「円周率は3でよい」とし議論を呼びました。(しかしその渦中、東大や阪大では入試に「円周率は3.05より大きいことを示せ」等の円周率問題を出題しました。学習指導要領は知識ではなく思考力を求めていたことの象徴的な例だと思いますよ。)
 指導内容を3割削減した結果、児童・生徒にとって十分な教育を行いうる状況でなくなったと更にマスコミを中心に学力低下論争が更に激化しました。
 これを受け文部科学省は「『生きる力』という基本理念をより拡充する」という名目で「確かな学力」を児童・生徒に身につけるよう、学習指導要領の施行の翌2001年に、緊急アピール「学びのすすめ」が出されました。


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英語の授業の最初に、月・日・曜日を言わせることがよくあります。
その、お約束の「曜日」を答えさせる場面のことです。

  T「What day is (it) today?」
  S「Friday.」
  T「Ok. What day (is the day) before Friday?」
  S「Thursday.」
  T「What day is tomorrow?」
  S「Saturday.」
  T「OK. What day do you like?」
  S「……Friday.」
  T「Why? Why do you like Friday?」
  S「………….」

「What day~」という構文は曜日を尋ねるものだということを生徒はわかっていました。曜日の言い方も定着していたようです。
ですから「今日は何曜日ですか?」「金曜日の前は?」「明日は?」という問いにすぐに答えられました。

そして「do you like?」問われ、
「自分は何曜日が好きなんだろう?」と考えたのが「……Friday.」の「……」です。「次の日が休日だから、私は金曜日が好きなんだ」と考えたのです。

しかし、次の“why?”という問いに答えることができませんでした。

“Why”の意味がわからなかったわけではないようです。
Because the next day is a holiday. ……生徒は「because」や「next」「holiday」という単語を知らなかったのでしょうか。
それとも 「“next”,“holiday”の前につけるのは“the”か“a”か」と悩んでいたのでしょうか。

「なぜ金曜?」「次、休み」でも会話は通じます。「Why?」「ネクスト、ホリディ」でもいいのです。

「話し言葉」と「書き言葉」は違います。
だから「話す」力が入試で問われるようになったのではないでしょうか。
でも、授業で教師は「書き言葉」で話さないといけないと思います。……感想には個人差があります。

紋切り型の質問に対し紋切り型で答える力はあっても、
予測しなかった質問に対し、知っている単語の知識を動員して自分の考えを伝える力がなかった。

これが一つの理由だったと思います。

しかし、予測しなかった事態に対応していく活動こそが、英語で考える「生きた言語活動」であり、
身につけなければならない「生きる力」だと思います。
 
予測しなかった問題に対し、身につけた知識を動員して思考し、結論を出し、行動する力とは生きる力のことです。

これは、他の教科でも同じ事です。

国語の場合、
「初めて見たテキストに関する質問に、適切な答えを導き出す力」が国語で求められる力であり、その力をどのようにしてつけていくかが授業の中心になるのだと思います。

理科の場合、
生徒にとって未知の(不思議に思える)事象に対して、「科学的に考え、仮説を導き出し、それを実証する力」をつけることを、授業の中心に据えるべきだと思います。

質問に対して紋切り型の答えしかできない……。
これでは、おそうじロボット並の能力しかないことになります。
相手の行動を予測し行動して、はじめてAIロボット並と言えるのではないでしょうか。

そして、生徒が、お掃除ロボットやAIロボット並の能力しかないのでは、
これからの社会、よりよく生きていくことは難しいかもしれません。

だからこそ「生きる力」が求められているのです。

そして、もしも教師であるあなたが、与えられた指導書通りの授業しかしようとしなかったら、AIロボットのほうがずっと優秀な授業を展開するかもしれません。

現実に、学校現場にAIロボットが導入されるという方向が出ているようです。(2018年11月16日「20世紀型教師はいらない!? 学校にAI・ロボットがやってくる」2018年11月16日 ICT教育ニュース)

問題はその価格ですね。公立学校に勤めるあなたの給料より低コストなら……地方公務員法、あなたを守ってあげてね♡


私たちがAIロボット程度の授業しかできなかったら、人間の教師は不要とされるかもしれません。

「人間にしかできない」授業とは何か、これから少しずつ考えていきたいですね。


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