昔、ゲッターロボというアニメがありました。
 合体ロボットの元祖で、今のスーパー戦隊シリーズのロボットにも強い影響を与えています。
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©永井豪・石川賢/東映動画
 ゲッターロボとは、イーグル号ジャガー号ベアー号の3機のゲットマシンが合体する巨大ロボットです。
 3機の組合せで、次の3タイプに変化します。(おもちゃでの再現は不可能でした。)
  •  空陸戦を得意とする(一番ポピュラーな)ゲッター1 
  •  陸での高速移動及び地中活動が可能なゲッター2(ドリルは男のロマンだ) 
  •  重量戦及び水中活動に適したゲッター3
 ゲッターロボ自身強かったのですが、合体する前のゲットマシンにも
  • 運動性の高さ(赤い機体のイーグル号 ゲッター1の頭部になる)
  • 空力性の高さ(水色の機体のジャガー号 ゲッター1の腹部になる)
  • 安定性の高さ(黄色い機体のベアー号 ゲッター1の脚部になる)
 と、それぞれの特性と、高い戦闘能力がありました。

 今回の学習指導要領で言う「主体的・対話的で深い学び」というのはゲッターロボと同じです。
 「主体的・対話的で深い学び」とは
 「
主体的な学び」「対話的な学び」「深い学び」という、まったく特性の異なる3台のゲットマシンが合体し、三つの心が一つになったゲッターロボのようなものだと思います。

 中教審答申も、
 「主体的な学び」「対話的な学び」「深い学び」はそれぞれ固有の授業改善の視点である。
 と説明しています。

 「主体的な学び」とは、生徒が、見通しを持って粘り強く学習に向わざるを得ない授業をしなさい、学習の後にそれまでの学びを振り返って次の学習につながる授業をしなさい、ということです。

 「対話的な学び」とは、ただグループ学習にすればよいという授業はダメですよ、生徒一人ひとりがテキストや他者や自己との対話を通じて考える授業にしなさい、ということです。

 「深い学び」とは、各教科の特質に応じた「見方・考え方*1)」を働かせなくてはいけない授業をしなさい、そのために「教える」場面と「考えさせる」場面をきちんを意識した授業を展開しなさい、ということです。

 若い先生方は、自作のワークシートを使って授業を進めることが多いようです。
 そこで、みなさんが毎日授業で使っているワークシートについて考えてみましょう。

 みなさんは、そのワークシートを使って、どういう力を生徒につけたいのでしょうか。
 授業の中で、3台のマシンの1台でも活躍する場面がきちんと盛り込まれているでしょうか。

 漢字や難語句、英単語・専門用語などの単なる知識を身につけさせたいのならば、書き取りや暗誦をさせたほうがより効果的でしょう。
 授業中にそれをやらせる時間はないのなら、それこそ課題として出し、次の時間に小テストをすれば済むことです。

 自分の考えを書き込む行為は、自分の考えをまとめさせるために書かせています。
 ならば、授業の流れの中で、それを全員に確実に書かせ、意見交換をさせ、発表させ、更に考えさせる授業になっているでしょうか。そうでないと「書かせる」目的は達成できません。

 「生徒にワークシートを埋めさせる」ことが、目的を達成させるための手段ではなく、それ自体が目的となってしまっている、ということはありませんか?
 生徒がワークシートを埋めるのは「主体的な学び」「対話的な学び」「深い学び」のいずれかをさせるための手段にすぎないのです。

 確かに、ワークシートがあれば授業をするのが楽、ということもあるでしょう。
 そしてパターン化されたワークシートを使っていれば、生徒も次にやることがわかるので安心、ということもあるでしょう。

 しかし、私たちの仕事は、誰もが授業で使え、どの授業にも応用できる普遍的なワークシートを作ることではありません。(それは業者に任せましょう。)
 私たちが創らなくてはいけないワークシートは、
 「学び」を成立させるゲッターロボでなくてはいけません。

 その授業の、その生徒にしか使えない特殊なワークシートが求められているのだと思います。

  *1) 各教科等の特質に応じた「見方・考え方」
 「見方・考え方」とは、「どのような視点で物事を捉え、どのような考え方で思考していくのか」という、物事を捉える視点や考え方のことです。
 例えばアジサイの花(?)が咲いているのを見て「なぜ色が変わるのだろう」と考えれば理科的な見方でしょう。「一つの塊にはいくつの花があるのだろう、とすると一本の木にはどのくらい咲いているのだろう」と考えれば数学(算数)科的な考え方となります。「花の色が変わるのを人の心に例えた文章もあるな。諸行無常まで悟ったのは少ないな」と考えれば国語科的、「この色をどう描いたらいいのだろう」なら美術科的ですね。
 この追究によって得られたる新しい知識や技能は、更に既習の知識及び技能と結び付くことで生きて働くものとなります。また、考えていくこと自体が、思考力、判断力、表現力等を豊かなものとしたり、社会とどのように関わるかの視座を形成したりするために重要なものとなります。
 「見方・考え方」を育てることは、その子の資質・能力を育て、資質・能力が育てば更に「見方・考え方」も豊かになっていくのです。


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