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 「モアイは語る―地球の未来」は指導書によると5時間扱いの単元です。
 指導事項は次のようになっています。
  • イ 文章全体と部分との関係、例示や描写の効果、登場人物の言動の意味などを考え、内容の理解に役立てること。
  •  ウ 文章の構成や展開、表現の仕方について、根拠を明確にして自分の考えをまとめること。
  •  エ 文章に表れているものの見方や考え方について、知識や体験と関連付けて自分の考えをもつこと。
 指導事項イの「文章全体と部分関係」とは、段落相互の関係のことです。
 また「例示や描写の効果」とは、説明的文章特有の表現技法(例えば文学的文章で比喩が用いられた場合、何をどのように例えているかは明らかにされないが、説明的文章では明らかにされる等)のことです。

 指導事項ウの「文章の構成や展開」とは、接続語や指示語によって的確に段落や文相互の関係が示されることです。

 指導事項イやウを通し、要旨を的確に把握した上で、自分の考えを持ち、それを文章化するのが指導事項のエでしょう。

 いってみれば、膨大な資料にすばやく目を通し、目的に応じてそれらの資料を再構成し、目指す結論が得られるように資料を再構成する、という霞ヶ関のお役人に必須の能力が「目指す力」ということになるような気がします。
 この力は、「他人の説明を正確に理解する力」であると共に、「都合の良い結論に隠されたウソを見抜く力」となりますから、是非生徒に身につけさせたいものだと思います。

 この観点から考えると、この文章は、説明的文章の特徴がよく現れています。

 それは一読して気づくことは、問題提起文が目立つことです。
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 問題提起文とは、筆者が話題にしている問題や課題を、疑問形などで解決すべき事項として読者に投げかけた文です。

 問題提起文は、文章全体や段落の最初の方にあることが多く、その問題を解決する文が必ず書かれることに特徴があります。

 そこでまず、段落番号を振らせ、問題提起文とその解決文を探していくことで、段落のまとまりをおさえつつ、説明的文章の特色に気づかせていく、という単元展開を構想してみました。

第1時 筆者はなぜ読者に質問するのか

 まず過去の学習から説明的文章の「なぜ~だろうか」という文を思い出させます。ひょっとしたら理科などの教科書にもあるかもしれません。
 「この文の答えを、筆者は本当に知らないのだろうか」と問いかけ「問題提起文」の役割を教えます。

 次に、「この文章で筆者の言いたいこと(要旨)は何だろうか」と問いたいところですが、
 筆者が出した結論には若干問題があります。
 これについては後述しますが、これを指導事項エとして最後に取り扱いたいので、
 ここはぐっと我慢です。

学習問題 
 文章全体を通読し、文章構成のおおよそを知ろう。
学習課題
 問題提起文とその解決文に線をひきながら読もう。

 まず第1段落を範読し、生徒に線をひかせます。
  • 君たちはモアイを知っているだろうか。
 これは問いかけであり、モアイを話題とした文章であることを示しています。
 「~だろうか」と結ばれていますが、厳密には問題提起文とは言えないかもしれません。
 しかし「この文は問題提起文といえるかどうか」は重要な問題ではありません。
 次の文がポイントです。
  • それは、人間の顔を彫った~八十トンにも達する
 「それは」はモアイを指しており、この文が解答文であり、指示語にも注意して読まなくてはいけないことに気づかせます。

 次に第2段落を範読します。
 範読しながら机間巡視し、生徒は線をひきながら聞いているか確かめます。
 これは、線をひきながら読むという、大切な技能だからです。

 そして「どこに線をひいたか」問うと、生徒は次の部分を指摘するはずです。
  • いったいこの膨大な数の巨像を誰が作り、あれほど大きな像をどうやって運んだのか。また、あるときを境として、この巨像モアイは突然作られなくなる。いったい何があったのか。モアイを作った文明はどうなってしまったのだろうか。
 この部分が四つの内容に分かれていることを十分理解していない生徒もいると思います。
 そのため、次のように板書し、おさえます。
  • 問題提起1 いったいこの膨大な数の巨像を誰が作り(誰が作ったか)
  • 問題提起2 あれほど大きな像をどうやって運んだのか
  • 問題提起3 いったい何があったのか(モアイが作られなくなったのはなぜか)
  • 問題提起4 モアイを作った文明はどうなってしまったのだろうか
 そして、第2段落内に解決文がないことを確認し、第3段落を範読します。

 第一文は「絶海の孤島の巨像を作ったのは誰か。」です。
 この文と問題提起文1とが「誰が作ったか」という部分で内容的に一致していることをおさえます。

 そして、それぞれの問題提起文と対応している文や、それぞれの対する解決文があったら線をひくように指示し、1時間を終わります。