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日本で宿題が誕生したのは、明治5年(1872)に学制が発布された9年後、
文部省(現文部科学省)が夏期休業日を定めたことに由来しているそうです。

欧米では9月に新学期が始まりますから、長い夏休みがあっても特に問題視されず、宿題もありませんでした。
ところが日本は、国の会計年度が4月始まりだったせいで、学校も4月から新学年が始まるようになりました。

勉強に慣れてきた4か月後に夏休みに入ってしまうと勉強が中断してしまいます。

そこで夏休みに子どもたちが授業の内容を忘れてしまうことのないようにとの考えから、いわゆる「宿題」が誕生したようです。

宿題は、もともと「学んだことを忘れないようにする」という目的があるのです。

学習指導要領等で強調される「考える力」とは、
複数の知識や経験を結びつけて新しい知識をつくりだす力
です。

私たちは既有の知識や経験がなければ「考える」ことができません。
しかし、今日「わかった」ことでも、忘却曲線に従って74%は忘れてしまうと言われています。
更に「わかった」状態であったとしても「できた」状態にするためには反復練習が必要です。
そして毎日の授業の中で「できる」状態にまで持って行くことは時間的に難しいことです。

宿題をやるのは、
新しい知識を生み出す(「考える力」を発揮する)ため、
学校で学んだ内容を定着させたり習熟させたりすることが目的
なのだと思います。

新指導要領で言う「育成すべき資質・能力」(「学力」のことです。「学力」と言うと面倒くさい議論が始まってしまうからなんでしょうね。)を伸ばすために必要な(基礎的・基本的な)知識や技能を身につけさせるのが宿題なのです。

ですから、
やっつけ仕事であろうが、いやいややらされるものであろうが、
目的を達成しさえすれば、手段は正当化される、というのは言い過ぎでしょうか。

いくら漢字練習帳を無理矢理やらせても効果はない、という意見もあります。
しかし、漢字練習をまったくやらない状態と、いやいやながらやらされた状態とを比べれば、やった(やらされた)方が良い成績をとることは当然です。

大切なのは、目的意識を持たせることで、効果的・効率的な学習にすることです。
何のためにそれをやるのか」をしっかりと理解させることです。

そのために、大きく分けると「教える」と「考えさせる」という二つの方法があります。

まず「何のためにそれをするのか」をそのつど教える方法があります。

例えば漢字練習について考えてみましょう。
「一日1ページやってきましょう」と言うと、生徒は1ページ埋めることしか考えません。
なぜなら「何のために漢字練習をするのか」が漠然としかわからないからです。

そこで、「次の漢字テストで○点以上とれるように漢字を練習してきましょう」と指示し、
次の授業の最初に小テストを行い結果を評価できるようにします。

すると
「だったら、こう練習すればもっと効果的なんじゃないか」と
自発性が芽生えやすくなるのではないでしょうか。

次に「質問する」ことで考えさせる方法があります。

質問されると、人はその答えを探そうとします。
「それができたらどうなるのか?」「それをすることの意味は何か?」など、
「その上位にある目的」を考えてもらう質問をすれば、
目的意識を高めることができます。

漢字練習帳の目的意識をもってもらうためには
「漢字練習は何のためにすると思う?」
「もし、漢字の点数が○点上がったら、あなたはどうなるだろう?」のように、
目的を考えるように問いかけると、
自然と「何のためにそれをするのか」を考えるようになります。

それができたら、あなたはどうなれる?/何が得られる?
それはあなたにとって、どんな意味があるの?
等が有効な問いかけでしょう。

「教える」も「考えさせる」も、その内容は共有させると一層効果的でしょう。

共有させるのは生徒たちばかりではありません。
「なぜ機械的な宿題を毎日やらせるのか」という疑問は保護者も持っていると思います。
機会をとらえて「学校ではこういう目的でやらせている」ということを家庭にアピールし続けなくてはいけません。