3時間目 まとめとしての「黄鶴楼にて~」と「春望」

いよいよ五言律詩です。一時間目の授業で教えた内容を覚えているかから授業をスタートします。
残りあと1時間。今日中に「黄鶴楼にて~」を終わらせてしまわないといけません。
かと言って、知識注入型の授業をやっていたのではダメです。

まあ、研究授業をやるとしたら、ここですね。

この詩で指導しなくてはいけない内容は
  • 「故人」「辞」「煙花」「下」等の字義。
  • 転句と結句の意味。特に結句の現代語訳。
  • 詩の主題
ポイントは「詩の主題」であり、作者李白の心情に迫るあたりでしょう。

手立てとしては、考えさせ、一人一人で考えをまとめさせ、発表し合って更に考えを練り上げる部分が授業の見せ場となります。

しかし、漢字の意味を知らないと、作者の心情に迫ろうにも迫れません。単なる自分勝手な妄想のレベルです。ですから授業の前半はやはり字義をもとに指導をしていきます。

今まで1字ずつ字義から内容を考えてきましたが、「黄鶴楼にて~」では単語で区切って考えさせていきます。

  1. 「故人」は「古くからの親友」の意味であり、現代語とは意味が違うことをおさえる。
  2. 「辞」は「辞世の句」「先生のお宅を辞する」等の用例から退出の挨拶をするという意味であることをおさえ、この詩はどのような状況を表しているか考えさせる。教科書の記述をもとに「いつ・どこ・だれ・何をした」をおさえる。
  3. 「煙花」を「煙火」とテスト等で間違えやすいので注意を促す。
  4. 「揚州」は題名の「広陵」と同じであり、黄鶴楼のある武昌から見て長江の下流にあるため「下」の字を用いていることに気づかせる。
  5. 起句と転句が、「黄鶴楼」「煙花」「三月」「揚州」等、明るく都会的な雰囲気であることをおさえる。
  6. 転句では「孤帆」「遠影」「尽」等から暗い雰囲気に変わっていることに気づかせる。
  7. 転句の情景を考えさせる。
  8. 結句の現代語訳を考えさせる。ポイントは、書き下し文は古文であるためそのまま書いてはいけないことを教えること。「長江の天際に流るるを」と書いたら×。長江が天際に流れるのを」と書いても×。「長江が天際まで流れていくのを」等、長江の流れる方向まで注意して訳さなくてはいけないことを知らせる。
  9. 結句での筆者の姿から心情を考えさせる。
  10. 教科書解説文を読み、主題である「別離の悲しみ」という言葉をおさえる。
  11. 押韻を考えさせる。七言絶句の場合、押韻は起句・承句と結句になくてはいけないことを思い出させる。
この授業でもっとも大切にしたいところは、
  • 親友孟浩然が乗った「孤帆」を地平線のかなたに見えなくなるまで見送っていた李白が、見えなくなったその後でもずっと長江の流れを見続けていた、
その心情を考え合う場面でしょう。
images (1)

これがないと、ただの字句の解釈を教科書に沿って教えただけの授業となり、いわゆる国語の力はつきません。

今までと違い、教科書を開かせないことが授業を成立させるポイントです。

教科書には「別離の悲しみ」とありますが、これを自分なりの言葉で表現させるのがねらいです。
予習している生徒もいると思いますが、このような細かなところまで気づいている生徒は少ないでしょう。もし「別離の悲しみ」という言葉を教科書から知っていた生徒がいたとしたら、吹き出し等を用いるように、李白の具体的な言葉で表現させるのもよいと思います。

4時間目 「春望」でまとめの授業をしよう

いよいよ五言律詩です。

律詩ですから押韻の位置と対句をおさえないといけません。
五言律詩は、偶数句に押韻があり、第三句と第四句(顎聯)と第五句と第六句(頸聯)が対句ですが、「春望」の場合は第一句と第二句(首聯)も対句になっています。

この対句と押韻の指導の他に、まとめとして返り点の指導が必要です。

対句の性質がわかれば顎聯と頸聯はなんとか解けますが、間違いやすいのが第八句でしょう。
レ点の二連続は「春暁」にありましたが、ここは三連続となっています。

大まかな字句的な指導をした後で、「春望」の訓読文を書き下し文に直したり、書き下し文を訓読文に直したりする練習をやらせたり、起承転結の四コママンガを書かせたりしています。
images (2)

しかしこの四時間だけでは、十分に漢文や漢詩を読解する力がつくとは思えません。
やはりあとは、プリント等による練習が必須だと思います。

いずれにせよ、駆け足で進める単元ですが、手抜きはしたくないと思っています。

**********

「漢詩の風景」を自習で進めていけるプリントをBOOTHにアップしました。
このプリントには、返り点の練習プリントが解答も含め7枚ついています。

是非利用ください。


国語科教育ランキング