実際に授業で使用したプリントをBOOTHにておわけいたします。
予習・復習、定期テスト対策によろしければご利用ください。

・・・・・・・・・・

国語は、とても数学に似ている教科です。

例えば算数で、3+4はいくつ?という問題があったとします。
この問題で大切なのは7という答えではなく、
その答えをどのように出したのか、その出し方が大切なのです。

同じように、
この「君は『最後の晩餐』を知っているか」という単元では、
最後の晩餐とはどのようなものなのかとか、なぜかっこいいのかとかの、
答えはあまり大切なことではありません。

大切なのは、
  • 筆者は何を言いたいのか
  • それを読者に納得させるために、どのように論理を展開しているか
を読み取るための、読み取り方を身につけることです。
特に、中学校では、次のことを重点的に指導しています。
  • ア 抽象的な概念を表す語句や心情を表す語句などに注意して読むこと。
  • イ 文章全体と部分との関係、例示や描写の効果、登場人物の言動の意味などを考え、内容の理解に役立てること。
  • ウ 文章の構成や展開、表現の仕方について、根拠を明確にして自分の考えをまとめること。
  • エ 文章に表れているものの見方や考え方について、知識や体験と関連付けて自分の考えをもつこと。
まず、各段落に番号をふってみましょう。
一マス下がったところから始まるのが段落です。
これから、段落番号をもとに説明していきます。

まず上のアにある「抽象的な概念を示す語句」とは、
みなさんにとって、しっかり言葉で説明しにくい語句だと思います。
まずこれをチェックしていきます。

1~4段落

それまでの絵画とは違う、全く新しいもの(第3段落)

筆者は、本物の『最後の晩餐』を直接見たら「どう思うだろうか」と問いかけ、
自分は「なぜか『かっこいい』と思った」と述べています。

しかし、私たちにとってダヴィンチの『最後の晩餐』を見ても、
筆者のようにすぐに「かっこいい」と「衝撃」を受けることはありません。

なぜなら、私たちは『最後の晩餐』の絵というと、
全く知らないか、
ダヴィンチの絵くらいしか知らないからです。

ダヴィンチのいたのは、ルネサンスの時代です。
そしてルネサンス以前は中世といって、
ヨーロッパの文化といったらキリスト教一辺倒の世界でした。

この、中世キリスト教文化の中で描かれた『最後の晩餐』はどのような絵だったのでしょう。

当時の人々が見慣れた『最後の晩餐』とは、下の絵のように、
聖書の文言を絵にして説明したものでした。
cd22205f
キリストがいて、弟子達がいて、
ただそれを説明するための絵だったのです。

このような絵を見慣れていた人々にとって、
ダヴィンチの『最後の晩餐』は、
まさに「それまでの絵画とは違う、全く新しいもの」に感じられたのでしょう。

筆者は、これをふまえて、
その上で当時の人々と同じ気持ちになって
「かっこいい」と「衝撃」を受けたと書いたのだと思います。

評論文を正確に読解するためには、
評論しようとする対象に対する知識がある程度ないといけない、ということですね。

例えばAKBのジャンケン大会についての評論しようとしても、
AKBの知識もなく興味・関心もない人にとっては、
何を言っているのかさっぱりわからなくなるのと同じです。
ダウンロード
この評論文は、
この「『かっこいい』と思った」理由を
「じっくりと分析する」ことによって解説しようとしているのです。

この「それまでの絵画とは違う、全く新しいもの」は、
次の段落で「科学が生み出した新しい芸術」に言い換えられています。

第5~8段落

人物の構図から、そんなことが感じられる(第8段落)

『最後の晩餐』は文化祭の時に体育館のステージ上に描かれる絵よりも大きな壁画です。
この大きな絵の前に立つと「そんなことが感じられる」(第8段落)と言っています。

「こんなこと」とは直前の「何かが、起こっている」を示しています。
何が起こっているかというと、8段落で述べている内容です。

では「この絵の構図から」なぜわかるのでしょう。

この段落のまとまりは「この絵の人物の構図」という言葉に集約することができます。
images (1)
上の絵は『けいおん!』(©かきふらい/京都アニメーション)のイラストです。

右から二番目の女の子(平沢唯)が最も大きく正面を向いて描かれています。
このため私たちは、最も近くにいる彼女を注目してしまいます。

同時に彼女は、両端の二人の視線も集めています。

つまり、彼女は、
私たちからも、この絵の登場人物からも注目を集める存在、
つまり、彼女が主人公であると無意識に感じ取ります。

また、彼女と左隣の黒髪の子は、ほうきをギターのようにして遊んでおり、
よく見てみると両端の二人も打楽器を叩いたりキーボードを弾いたりするまねをしています。

このことから、
この絵は「学校」「遊び」「音楽」に関係する話だと、
『けいおん!』を知らなくてもわかる仕組みになっています。
images (2)

この絵は『けいおん!!』のイラストです。

前の絵の唯ちゃんがV字型に並んだメンバーの中央に入っており、
主人公であることがよりはっきりします。
そしてメンバーの持ち物は軽音楽に用いる楽器です。

V字型の配置は、見る人に、
何か目的に向かって進もうとしている5人であると感じさせます。

このことから、この話は
この5人は軽音楽関係で何かをやろうとしているんだな、とわかります。
(実際には、軽音楽でコンクールに優勝しようとかいうのではなく、ごくユルい話なんですけどね。)

構図とは、表現の要素を組み合わせて効果を出す手段、
または画面の中の要素の配置
のことです。

『けいおん』のイラストでは、
登場人物やその動作・持ち物などの要素の組み合わせや配置を工夫することを通して、
『けいおん』という物語を表現しているのです。

筆者の「この絵の人物の構図」とは、
この絵に登場している13人の一人一人の表情や仕草、そして彼らの全員の配置を通して、
キリスト教の「最後の晩餐」というドラマを表現しているのだ、ということです。

構図の目的は、
見る人の視線を、その絵で伝えたいこと全体に行き渡るよう誘導し、
見る人にとって、その絵を興味深いものにすることです。

ですから、構図を工夫するということは、
絵の伝えたいことと見る人の目の動きが一致するように
各要素の組み合わせや配置を工夫することなのです。

作者の意図した「この絵を通して言いたいこと」が
はっきり見る人に伝わることが最も重要なことなのです。

ところが、この「構図」については、
第3段落の「解剖学」「遠近法」「明暗法」に含まれていません。

それまでの聖書の解説に過ぎない宗教画から、
「構図」によって聖書に物語としての命を与え、
教義を超えた解釈を盛り込んでドラマ化したという功績はこの「構図」によるものだ、と
第19段落以降で筆者は述べています。

私たちは、この評論文を読むとき
「解剖学」「遠近法」「明暗法」と言った「絵画の科学」に目が向きがちですが、
これらは、絵の伝えたいことを観客にはっきりと伝えるための手段に過ぎないのです。


・・・・・・・・・・・・・・・

実際に授業で使用したプリントをBOOTHにておわけいたします。
予習・復習、定期テスト対策によろしければご利用ください。


国語科教育ランキング