第12段落以降は「最後の晩餐」の「遠近法」と「明暗法」の説明です。

遠近法
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遠近法は、イラストなどではバースとも言われる描法です、
第12段落で述べられている通り「遠くにいくにつれて小さく描く」書き方は「線遠近法」と言われます。

他にも遠くに行くほど色が薄くなる「空気遠近法」や、ものの重なりにより遠い近いを示す「畳重遠近法」などがあります。

遠近法を用いて描くと、その絵は「奥行きが感じられるように」なります。

そして『最後の晩餐』では小さく描いていく比率を、実際に見える比率と同じにしてあるため、第14段落「壁に描かれた部屋は、あたかも本物の食堂の延長にあるように」見えるのです。
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線遠近法には消失点があります。「最後の晩餐」で用いられているのは一点透視図法です。
最近では消失点が二つある二視点透視画法というのがあって、目の錯覚を利用して空間を広く見せる技法がイラストやアニメで用いられています。
ダヴィンチの時代にはこの技法はありませんでした。

マンガなどに集中線というものがあります。
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消失点というのは、集中線の集中するところでもあります。
『最後の晩餐』の消失点に集中線をあわせてみると、イエスに注目が集まることがよくわかります。

マンガではありませんから、集中線を書き込むわけではありません。
ダヴィンチは遠近法の消失点を利用して中心人物を際立たせようとしているのです。
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明暗法と「光の効果」

明暗法は、キアロスクーロとも言われる技法で、明暗のコントラスト(対比)により、明暗を少しずつ変化させて立体感や量感を出したり、明るい人物の周囲を暗い背景にすることにより人物を際立たせたりする技法です。

『最後の晩餐』の場合は、イエスの背景をあえて明るくすることで、イエスの姿をくっきりと浮かび上がらせ、イエスの主人公感が高まっています。

しかし「明暗法」は第3段落に登場する言葉で、第14段落には「光の効果」、第15段落には「光の明暗の効果」と微妙に違う表現をしています。なぜでしょう。

第14段落以降で筆者が説明しようとしている内容は、対比的に明暗を描き分けるという意味での「明暗法」とは微妙に違うからです。

『最後の晩餐』に「描かれた部屋の明暗」は、実際の「食堂の窓から差し込む現実の光の方向と合致」させてあり、それによって、見る人は「壁に描かれた部屋は、あたかも本物の食堂の延長にあるように」錯覚してしまう。それをダヴィンチは計算して描いたのだ、と筆者は言っているのです。

このため14段落以降では、あえて立体感や量感を出したり中心となるものを際立たせたりするために用いる「明暗法」という言葉を使わなかったのだと思います。

筆者は芸術学者ですから、ひょっとしたら「明暗法」にはこういう使い方があるのかも知れません。

いずれにせよ、ダヴィンチは修道院の食堂で食事をする修道士達が「まるでキリストたちといっしょに食事をしているような気持ち」(第15段落)になるように計算して、食堂の壁に「最後の晩餐」を描いたのだ、と筆者は主張しているのです。
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