部活の選択や学校行事の精選などと同じように、学級担任の仕事もコストパフォーマンスを考えなくてはいけません。

「コスト」と「メリット・デメリット」を考える上で大切なのは「リスク」と「リターン」です。
コストをかけて何かをしたとき、その結果として得られるものが「リターン」です。そしてその結果が得られない可能性が「リスク」です。

四月の入学式、新入生達が登校するまでにやっておかなくてはならないことが学級担任にはたくさんあります。
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生徒に毎日の提出させる「生活記録ノート」。
これに生徒の名前を書いて渡すか、自分で名前を書けと言うかを例にとって考えてみましょう。

方法は次の6通りです。

    1 名前は記入しない書かない
    2 書かないが名前がわかるようにする
     2-1 氏名印をつく
     2-2 テプラやパソコンで打ち出したものを貼る
    3 名前を書く
     3-1 ボールペンで書く
  3-2 名前ペンで書く
     3-3 筆で書く

コストは1<3です。しかし生徒に与える印象だけでなく入学式直後の保護者の心証も含めてのメリットは1<3、同じようにコストを考えるとデメリットも1<3となります。
 
ここで登場するのが「リターン」と「リスク」です。

1は何もせずに配るのですから生徒や保護者の心証もノーリターンです。
これを、当たり前と考えるならノーリスクですが、「これは特別なものなのだ」とは思ってもらえないというリスクがあります。更に隣のクラスが3-3で配ったとすると「担任の先生はやってくれなかった」と受け取られかねないハイリスクな行動だと言えます。

逆に3-3の場合、時間コストはもとより、技能的なコスト、金銭的コストがかかります。このコストはデメリットです。しかし肉筆で一字一字丁寧に書かれた自分の名前を見て与えるインパクトがメリットであり、リターンを期待できるでしょう。
しかし黙って渡していれば、それに気づかれないというリスクを負います。そこで、さりげなく肉筆で書いたことをアピールしながら「生活記録ノート」の意味や役割、教師の願いに気づかせることでローリスク・ハイリターンを目指します。

では現実問題として、6通りの選択肢のどれを選んだらよいのでしょう。

それぞれの選択肢にはコストがあり、メリットとデメリットがあり、リターンとリスクがあります。
入学式前のほんの短い期間でやらなければならないことは山のようにあります。

「生活記録ノート」の名前書きについて検討している時間などはほとんどないでしょう。
一瞬でコストとメリット・デメリット、リスク・リターンを考え、最適な行動を選択する

……それが学級担任なのだと思います。

その時、行動を決定するのは「自分の学級の生徒をどうしたいか」という信念だと思います。

全てのデータをそろえても、所詮データベースは結論を出せないのです。
そしてできる限り多くのデータをそろえなくては浅慮のそしりは免れません。

「学びて思わざれば則ち罔し、思いて学ばざれば則ち殆し」ですね。

「学び」も「思い」もしない教師は生徒にとって反面教師でしかないでしょう。
自分で考えることを放棄し「学年の意向」に委ねてしまう担任を生徒は決して信頼しないと思います。

学級担任とは、常に走り続けることを義務づけられ、常に走りながら考え続けなければ、学級経営などできないのです。

昨今は「思考・判断・表現力」が言われていますが、私はその根底に「心」がなければ畸形な能力になると心配しています。教科としての道徳でそれが育つといいですね。┐('д')┌