「走れメロス」の予習、復習、定期テスト対策用のプリントを販売します。
選択肢問題、短答問題、記述問題をバランスよく配置しました。新傾向の問題も入れてあります。
全24ページ、解答用紙付きです。
興味のある方は、こちらへどうぞ。
「走れメロス」は、教材研究をすればすぐにわかるように、設定の矛盾がいたるところにある作品です。
この点からすると入試問題にはまず出題されない部類の小説ではないかと思います。
またこれは、道徳の教材ではありません。
国語の授業としてどのように成立させるかが学習のポイントとなります。
国語の学習では、テキストをどのように料理するかがポイントです。
そこでまず、素材としての「走れメロス」を分析してみましょう。

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そこでまず、素材としての「走れメロス」を分析してみましょう。

「走れメロス」の矛盾点
1 メロスは走っていない
「算数・数学の自由研究」作品コンクール(理数教育研究所 2013)に入賞した「メロスの全力を検証」という中学2年生の研究では、作品内の記述をもとにメロスの平均移動速度を算出し、その結果「メロスはまったく走っていない」という結論を得ました。(PDFはこちらからダウンロードできます。)
私の計算でも、川を泳いだり眠ったりした時間を除いたスピードは、往路は小学校三年生の遠足(初心者のジョギング)並みで、復路後半も小学校高学年の遠足以上、中学生の競歩大会未満でした。
2 妹の結婚式の予定が食い違っている
メロスは妹の結婚式の食材調達のためにシラクスの町にやってきます。初夏(立夏から芒種の前日まですから6月頃)の話です。
一方「妹の婿」は「明日結婚式を挙げてくれ」というメロスに、準備が出来ていないという理由で「ぶどうの季節まで」待って欲しいと言っています。ぶどうの季節はどんなに早くても9月以降でしょう。
ギリシア時代の結婚は夫と花嫁の後見人との契約により成立しました。メロスはこの契約に従って食材調達にシラクスの町に買い出しに来たわけです。このような事件がなかったとしたら、いつ結婚式をあげるはずだったのでしょう。9月以降にあげる結婚式のために、三ヶ月も前に食材を調達するのでしょうか。
夫となる牧人と、花嫁の後見人であるメロスとは、結婚をあげる時期に共通の認識がなかったようです。どちらかが勝手な思い込みで行動していたとしか思えません。
夫となる牧人と、花嫁の後見人であるメロスとは、結婚をあげる時期に共通の認識がなかったようです。どちらかが勝手な思い込みで行動していたとしか思えません。
「走れメロス」から見える事情
1 ディオニス王朝はいずれ近いうちに滅亡する
王は王妹の婿、王太子、王妹、王妹の子、皇后、臣下の順に粛清しました。
この順番から、ディオニス王は、王妹の婿が王太子をそそのかし王を殺害、実権を握ろうとクーデターを計画したと考えていたのではないかと思われます。
もし王妹の婿が本当にクーデターを企てていたのなら、そして王が王妹の婿を信頼していたのなら、王が極度の人間不信に陥ったとしても不思議ではありません。
クーデター計画が本当にあったかどうかはわかりませんが、いずれにせよ王は疑心暗鬼になり粛清を繰り返したのだと思われます。
この行き過ぎた行動に対して世論の反発が強まっています。
その中で、王は現在ストレス過多となり、顔色がわるく、表情が険しくなりました。強迫神経症が疑われます。健康が思わしくないのです。
早晩、王が健康を損なった時、求心力は一気に弱まります。
既に世論の反発が強い王朝ですから、クーデターが起こる可能性が極めて高くなるでしょう。
その結果、早晩王は暗殺されるか、良くても国外追放。王位継承者のいないディオニス王朝は滅亡するはずです。
(ディオニス王のモデルとなった王は息子に暗殺され、王位を継いだ息子も義弟により国外追放となっています。)
弟や従兄弟を殺し三代目に源氏の血が途絶える原因を作った源頼朝と同じですね。
メロスは、別に王を暗殺しなくても、数年後には「生かしておけぬ」という彼の願いは実現したはずです。
2 この年は異常気象である
地中海性気候の土地が物語の舞台です。
地中海性気候では、冬には一定の降雨がありますが、初夏には雨が降らず乾燥しています。だからオリーブやブドウなどの栽培が盛んなのです。
地中海性気候の土地が物語の舞台です。
地中海性気候では、冬には一定の降雨がありますが、初夏には雨が降らず乾燥しています。だからオリーブやブドウなどの栽培が盛んなのです。
ところが物語では初夏に大雨が降り、川は氾濫し、橋が流されています。災害レベルの豪雨と言えます。
婿となる牧人は「ぶどうの季節」を待つ以前に、今年はブドウが収穫できるか心配した方がよいと思います。
次回は「走れメロス」の舞台設定の謎です。
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コメント
コメント一覧 (2)
返信が遅れて申し訳ありません。
メロスは、シラクスの町から村まで、フルマラソンでぎりぎり制限時間(6時間)内に完走できる程度の速度で帰っています。
シラクスの町へ行くときは、全里程の半ばにある川を泳ぎ切って、日は既に傾きかけている頃には午後2時頃になっていると思います。山賊との戦闘は、おそらく一瞬でしょう。ゆとりをもって山賊との戦闘終了を午後3時頃と考えました。シラクサの6月初旬の日没は8時過ぎだそうですから、日没までに5時間あります。
山賊との戦闘地点からシラクサまでを約4里(15.6km)とします。
もし、村田君のように一時間まどろんだと仮定すると、4時間走ったので時速3.9km。これでは小学校低学年の遠足並みのスピードです。二時間まどろんだとしても、3時間走って時速5.2km。初心者のスロージョギングより少し速いかな、というくらいです。三時間まどろんだとしたら時速7.8kmで2時間走り続けたことになります。しかしこれでも市民マラソンの制限時間(6時間)をクリアできる程度の速さです。
ですから私は、メロスは3時間以上眠っていたと考えています。これを「まどろんだ」とするか「爆睡した」とするかは、微妙です。
いずれにせよ、目を覚ましたメロスは、「寝過ごした……」ととても驚いたと思います。