5時間目 「もっと恐ろしく大きいもの」とは何か

Ep.1~6で生徒のわかりにくいものはEp.5の「もっと恐ろしく大きいもの」とは何かだと思います。
この疑問をうまく生徒から引き出せれば良いですが、ダメだったらこちらから提示します。

この部分は次のようになっています。
  • それだから、走るのだ。信じられているから走るのだ。間に合う、間に合わないは問題ではないのだ。人の命も問題ではないのだ。私は、なんだか、もっと恐ろしく大きいもののために走っているのだ。
一方「人質」では次のようになっています。
  • たとえ遅くなり過ぎても、そして俺が奴に/歓迎される救い手として現れることができなくても、/俺は死んで奴と一緒になるつもりだ。/残忍な暴君に/友が友に対して義務を果たさなかったことを/自慢させてなるものか。/暴君には二人を犠牲として殺させ、/そして愛と誠を信じさせてやるのだ。
「人質」では、走る目的は王に「愛と誠を信じさせてやる」ためです。
そのためにメロスは、間に合おうと間に合うまいと死を前提にして走ります。

一方「走れメロス」は「信じられているから走るのだ」と説明しています。
直前の「それだから」は、メフィストラトスの語った「メロスは来ますとだけ答え、強い信念を持ち続けている様子」を指します。

友に「メロスは(間に合っても間に合わなくても必ず)来ます」と信じられているから自分はその信頼を裏切らないために走るのだ、ということです。

この友から信頼されているということが「もっと恐ろしく大きいもの」でしょう。

約束を守り刻限までに刑場に戻るという結果ではなく、約束を守ろうとした気持ちこそが大切である、という主張です。
imaginative

この内容は、一人一人に考えをまとめさせ、グループ→全体と検討を進めていけば、授業前半で到達する内容かと思います。

そこで

「なぜフィロストラトスをメロスの家の執事からセリヌンティウスの弟子にしたんだろうね。」

と問いかけます。これはノーヒントです。

しかしクラスの中の数人は

「執事だったらメロスに『結果はわかっているから走るのをやめろ』というのは当たり前。セリヌンティウスの側の人間にそれを言わせたかったのではないか。」

と気づきます。
この気づきがクラスに自然と広がり納得していく場面が授業の見所となるでしょう。

時間をかければ気づくと思いますが、時間が足りないようでしたら「もし直前の直前の台詞が、メロスの執事が行ったとしたらどうかな?」とヒントを出しても良いでしょう。

時間が余れば「信じられているから行動する」という視点から、それぞれのエピソードを関連付けるとよいでしょう。

そして最後に、「最初メロスは身代わりの友を助けるという結果を出すために走ったけれど、最後には信頼されているから走るという気持ちにかわった、ということを作者は書きたかったんだね」とまとめます。


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