この教材は7時間扱いで、次の指導を行うことになっています。

  • ウ 場面の展開や登場人物などの描写に注意して読み、内容の理解に役立てること
  • エ 文章の構成や展開、表現の特徴について、自分の考えをもつこと。
  • オ 文章に表れているものの見方や考え方をとらえ、自分のものの見方や考え方を広くすること。
更に「別の人物の視点で書こう」で2時間プラスされます。

「別の人物」は、このテキストではエーミールと母親しかいません。ですからこの二人のどちらかを選んで書くことになります。

後に評価の観点を述べますが、それより先に「僕」の視点という色眼鏡を廃した「僕」の実像を知っておかなくては、別の視点をもつことはできません。

まず「僕」の視点から描かれた物語を知ることから始めます。

第1時間目 通読 読後感想から単元を通しての追求課題をもつ

1時間目は、単元を通しての学習のねらいを持つことです。
そのためにまず最初から最後まで教師が範読し、感想を書かせます。
感想の中から「なぜ最後に『ちょうを一つ一つ取り出し、指で粉々に押しつぶしてしまった』のか」という疑問が生まれるように、展開していきます。

まあ、この学習問題は、特に何もしなくても必ず生徒から出てくるものだと思います。

この疑問が出やすくなるように、場面が目に浮かぶように、難語句の意味を補いながらゆっくり範読していきます。

第2時間目 プロローグからいつ、どこをつかみ、主人公はどういう人間だったか知る

「なぜ最後に『ちょうを一つ一つ取り出し、指で粉々に押しつぶしてしまった』のか」を知るためには、どういう物語か知ること、そのために「いつ・どこ・だれ」をはっきりさせる必要があることを告げます。
これまでの文学的文章教材の多くは、戦争教材以外、生徒の身近にありそうな話でしたので、そういった先入観を壊し、テキストに忠実に読む態度を培うのが本時の目的です。

「いつ」は、一日の中のいつか、一年の中のどの季節か、いつの時代か、の三つを明らかにします。

「いつ・どこ・だれ」がわかる箇所をプロローグの中から探し、傍線を引かせ、考えさせるのです。

「いつ」は、夕方から日没頃まで、蛙が啼いていますから季節は初夏です。
ランプを日常的に用いていますから、日本で言えば明治時代の話だと言うことがわかります。
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「どこ」は、北海道よりずっと北に位置する高緯度地方です。
「末の男の子が『おやすみ』を言った」時間は日没直後です。日没までに夕食を済ませ日の入りと共に寝てしまうと言うのは中世までの生活習慣で、近代以降ではありません。
しかし日没が午後9時頃だったら話は違います。北欧では初夏の日没は午後9時頃で、ここから高緯度地方ということがわかります。
登場人物の名前から考えてヨーロッパ文化圏でしょう。

「だれ」は「私」と「客(友人)」です。
二人は喫煙していますから成人しています。また「私」には数人の子供がいて、下の子供をきっかけに「幼い日の思い出」が語られることから、おそらく小学生程度でしょう。
とすると「私」は30歳以上と考えても良いと思います。自然に「客」も同じくらいの年齢と考えられます。

「私」も「客」も幼年時代「ちょう集め」をしていました。標本を「ピンの付いたまま箱の中から用心深く取り出し、羽の裏側を見た」とありますから、客は標本を扱い慣れていることがわかります。

そして「客」は「熱情的な収集家」であり「自分でその思い出をけがしてしまった」と言っています。
これが良い思い出ではないことは「不愉快」そうに見える態度や「もう結構」と早口で言った口調からもわかります。

この「その思い出」が次段落以降で語られる物語の内容です。

ここまででだいたい、授業の前半が終わると思います。
「では、ここから『客=友人』の話が始まるわけです。ですからプロローグの『客=友人』は『僕』になります。」と押さえます。
こんなことは言わなくてもわかると思いますが、中には混乱する生徒もいますから、一応押さえておきます。

回想部分の最初の段落を読み「『八つか九つのとき』とあるから、最初の部分からたぶん20年くらい前の話だね。当時のこの国の教育制度は日本と同じじゃないけど、日本で言えば小学校の中学年くらいかな?翌年『十歳ぐらいになった』とあるから小学校4~5年生だね。」と言い、ちょう集めに対する『僕』の気持ちがわかる所に線をひかせて授業を終えます。
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