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この記事は、「十種神宝」姉妹サイト「国語学習の手引き」をもとに作成しました。興味のある方はこちらへどうぞ。

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野原はうたう

中学に入学して最初の教材です。指導事項として、指導書には次の二つがあげられています。
  • ア 文脈の中における語句の意味を的確にとらえ、理解すること。
  • (ア)音声の働きや仕組みについて関心をもち、理解を深めること。
詩は文学的文章です。
詩の文脈の中における語句の意味を的確にとらえるということは、具体的には、次もの二つのことがポイントだと思います。
  • 文学的文章読解の基本である状況設定(いつ・どこで・だれが・何をしたか)を的確にとらえること。そしてその時の登場人物の心情を文で表現すること。
  • 用いられているレトリックをもとに、作者は何を印象的に表現しようとしたかをとらえること。
この二つは今後、文学的文章を読解する際に常に留意しなくてはいけないことです。
この二つのポインれが指導事項「文脈の中における語句の意味を的確にとらえ、理解すること。」となります。

そして、この状況設定とレトリックの二つをもとに作品を解釈してこそ、音読が朗読につながり、二番目の指導事項「音声の働きや仕組みについて関心をもち、理解を深めること。」に発展していくのだと思います。

しかし、この「野原はうたう」の扱いは1時間しかありません。
これではとても文学的文章読解の基礎を教え、理解から表現(朗読や文による説明)にまでつなげていくことは不可能です。

そこで次の「声を届ける/書き留める/調べる/続けてみよう」の4時間とあわせて、5時間扱いとしています。

この教材で私は、中学最初の文学的文章の学習として、文学的文章の読み方の基本を教えています。

1時間目 あしたこそ たんぽぽ あすか

この詩の作者、工藤直子と言えば、生徒たちは小学校一年生の「ふきのとう」という教材の作者です。
  •  よが あけました。あさの ひかりを あびて、竹やぶの 竹の はっぱが、「さむかったね。」「うん、さむかったね。」と ささやいています。雪が まだ すこし のこっていて、あたりは しんと しています。
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冒頭を読んでやると、生徒は思い出すと思います。

そして生徒に「これはいつ、どこの話?誰の話だった?」と問います。多くの生徒は覚えていて答えられると思います。

  • 国語は、何かを説明する文章と、「おはなし」とに分かれています。詩は「おはなし」……文学の仲間です。中学最初の学習として、文学的文章の読み方の基本を学びましょう
  • 文学的文章を読むときはまず、いつ・どこで・だれが・何をしたのか、そしてどう感じたのかをはっきりさせて読むことが基本です。そして「だれ」にあたる人の気持ちを、文できちんと説明できるようになりましょう。
と説明します。
ここまでで授業の前半が終わります。
たんぽぽ

「あしたこそ」でまず指導しなくてはならない内容はです。
段落という言葉は小学校で習っていますから、「詩における段落のようなもの」で、一行空けることを教えます。

第1連から「いつ・どこで・だれが・何をしているか」が、どこからわかるか・なぜそう言えるのかを問います。
そして第一連は、昼間・野原で・たんぽぽが・そよ風の中で綿毛を空に舞い上がらせている状況を説明していることを、きちんと言葉で説明させるのです。

この中から「ひかりを おでこに/くっつけて」は比喩というレトリックであることを押さえます。

作者は意図的にレトリックを用いています。つまり、作者はその部分を読者に印象づけたかったのです。
この比喩から、明るい、天気の良い日中であることや、綿毛の一つ一つが光り輝いている様子が生き生きと連想されることを説明し、「文学的文章にはレトリックがたくさん出てくるから、種類をしっかり覚えておこう」と告げます。

更に「なぜたんぽぽは、綿毛を舞い上がらせているのでしょう。」と問います。

「風が吹いているから」というような答えを「その通りですね」と躱して、「国語の答えのヒントは、必ず文章の中にあります。ヒントを探しましょう。」と返します。
気づいて欲しいのは、直前の「はなくらく ひを/ゆめにみて」であり、綿毛についている種が地面に落ちて、芽が出て花が咲く日を思い描きながらタンポポは綿毛を舞い上がらせているのだ、ということをおさえていきます。

これらは、こちらから説明するのではなく、教師が質問し、生徒に答えさせるべき内容です。
レトリックで表現されている内容は、多くの生徒は読んだだけでわかると思いますが、そのわかったことを言葉にして表現することが国語科では大切なのだと思います。

私は、この力が小学校で鍛えられたかどうかを、このあたりで見切り、その後の指導の参考にしていきます。

第2連は倒置法が用いられています。
普通の順序に並べかえると、
  • あした/たくさんの「こんにちは」に/であうために/どこまでも/とんでいこう
となります。
そして、倒置法では一番最初にくる言葉が一番言いたい言葉であることをおさえます。

「たくさんの『こんにちは』」は、比喩です。
ここでタンポポ(の綿毛)の気持ちを書かせ、発表させ、一時間目を終わります。

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