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席替えは、単に教室内の位置を決める作業ではありません。同時に生活班を決めることでもあります。

生活班というのは、一定の目的・目標をもった集団であり、学級の組織の一つです。

生活班には学習と生活の二つの側面があります。
学習というのは授業に対する関わり、生活というのは給食当番とか清掃分担等の諸活動に対する関わりです。

「学習係はA班」というように、係活動自体を班に割り振るクラスもあります。
逆に、座席の位置と生活班とを完全に切り離して運用する場合もありますが、この場合は、純粋に学習効果が問題となります。

 席替えで考えなければいけない要素の第一は、人間関係に基づく学習効果に対する期待です。
授業中の私語等は人間関係に起因し、クラス全体の学習効果の低下を招きます。
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班相互の学力差について問題になる場合がありますが、これはグループ学習を積極的に推進する場合のみ考慮すべき内容です。
一斉授業や、申し訳程度にグループ学習を行う程度ではほとんど影響がありません。
特別教室等で授業を行う教科に対しても同様です。

班相互の学力差がよく問題になりますが、もし「できる生徒」が固定していた場合、考えることをその生徒に委ねてしまう班が発生する危険をはらみます。
ですから班相互のの学力差がないようにすることは、果たして考慮する必要があるかどうかは、議論が分かれるところです。

第二は、クラスのヒエラルキーに対する改善への期待です。
例えば給食当番などで常にサボる生徒がいて、それを周囲が黙認する人間関係が予想される班編制にした場合、これを改善するためのコストを教師が支払わなくてはいけません。
ならば班内あるいは学級内で自浄できる編成にしておくことが妥当です。

また、不倶戴天の敵の生徒同士を同じグループにしない、というのは一般的ですが、呉越同舟という言葉もあります。
生活班とは、合目的的な組織なのです。仲が良い・悪いということを組織の活動に影響させてはいけないというのは、社会では当たり前のことです。
ただし、この指導に対するコストは教師が支払わなくてはいけません。

いじめる側といじめられる側を同じグループにすることは避けなければいけませんが、仲が悪いからという理由で違うグループにするのは「寝る子は起こさない」指導だという考えもあります。

以上の要因を考慮した上で、席替え(班決め)のしかたは教師によるコントロールの強度により分類されます。

これと連動して、席替えの周期を考えていかなくてはいけません。
月ごとが一般的なようですが、給食当番等が一巡したらとか、行事を目安に変えていく等の方法があります。

これは、修学旅行の班分けなども同じです。
生徒の資質・能力や人間関係を考慮に入れて班編制を考えて欲しいと思います。

特に宿泊学習の部屋決めなど、クラスの宿泊係生徒に丸投げしてしまって、後々尾を引くことがあります。
宿泊係の担当職員になったら、それもふまえて指導をしていきましょう。
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以上のことを全部踏まえて、パーフェクトな席替えを行おうとすると、コストとして膨大な時間をかけなくてはいけません。
これはどのような決め方をした場合も同じです。
生徒に委ねると一見教師の時間節約になるような気がしますが、生徒が活動をする時間は教師が保証してやらなくてはいけないのです。

どのようなやり方にもメリットとデメリットはあります。
やり方は学年会などで全クラス歩調を合わせるように決まる場合が多いようですが、どのようなやり方に決まったにせよ、それぞれの一長一短を理解しデメリットが発生しないようにコントロールしていくことがプロの教師だと思います。

最終的な責任は学級担任が負わなくてはいけないのです。