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「見えないだけ」の指導事項は、次のようになっています。
  • ア 抽象的な概念を表す語句や心情を表す語句などに注意して読むこと。
この詩を解くポイントは、修辞法(レトリック)にあります。
修辞法に注意して、この詩を読解してみましょう。

第一連

最初の4行、「空の上には/もっと青い空が浮かんでいる」と「波の底には/もっと大きな海が眠っている」は対句です。「~には~いる」と押韻もあります。
ですからこの四行はひとまとまりです。

「空の上」の更に上と、「海の底」の更に下ですから、作者は空間的な広がりを表現しようとしています。
しかしこれだけではありません。

「空の上には/もっと青い空が浮かんでいる」とはどういうことでしょう。

「雲外蒼天」という言葉があります。
試練を乗り越えていき、努力して乗り越えれば快い青空が望めるという意味です。
これをスローガンにしている部活もあるかも知れませんね。
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私たちが見上げる空は天気の良い日ばかりではありません。曇りの日もあれば雨の日もあります。
しかしどんな天気の日でも、必ず雲の上には「青い空が浮かんでいる」のです。

ですから「(どんな天気であってもその)空の上には/もっと青い空が浮かんでいる」と、省略法が用いられているとも考えられます。

そして、この二行は題名とつなげて考えることにより「どんな天気の日であっても、その向こうには明るい未来が確かにあり、それは今は見えないだけである」という、この詩の主題を比喩によって表現してると考えられます。

「波の底には/もっと大きな海が眠っている」も同じです。

目に見える表面的な「波」がどんなに荒れていても、その下には静かで深い「海」が「眠っている」のです。

海は眠るわけがありませんから、これは擬人法です。
自分の中にある海のような大きく深い気持ちが、まだ目覚めていない状態を、これもまた比喩によって説明していると考えられます。

次の「胸の奥で/ことばがはぐくんでいる優しい世界」「次の垣根で/蕾をさし出している美しい季節」「少し遠くで/待ちかねている新しい友達」の三つも対句です。
「~で/~(体言止め)」という形によって読者にインパクトを与えようとしています。

「言葉がはぐくんでいる優しい世界」のある場所は「胸の奥」です。
「胸の奥」は比喩で、個人の内面をあらわします。
難しい言葉で言うと「内言」の世界です。精神世界と言ってもよいでしょう。
私たちは「ことば」によってものを考えたりはっきり感じたりします。いろいろな考えや漢字を「ことば」でつかまえることによって、はじめてそれが何かを知ることができるのです。
そしてすべての「ことば」の後ろには、優しい心が育っているはずだ、ということです。

例えば友だちと喧嘩をしたとします。どんなにののしりあったとしても、胸の奥には「ごめんね」という気持ちがあり、今はその「ごめんね」という言葉が「見えないだけ」である、と作者は言いたいのではないでしょうか。

この二行は「あなたの心には、言葉によって形作られる優しい気持ちが常にある」という意味だと思います。

「次の垣根で/蕾を差し出している美しい季節」の「次の垣根」は、今歩いている道の向こうにあります。
ですから未来の比喩です。
この未来は、時間的・空間的なものです。物理学的な世界ですね。

「蕾」に象徴される美しいけれど未完成なものが、読者に差し出されているのだ、と隠喩を用いて表現されています。

では「差し出している」のは誰でしょう。「季節」です。ですからこれは擬人法です。

この二行は「あなたの未来には『蕾』に象徴されるような美しいものである。」というくらいの意味でしょう。

「少し遠くで/待ちかねている新しい友だち」は、人間関係、つまり社会的な世界を示しています。「友だち」ですから既にあなたに好意的な人物です。
「新しい友だち」ですから、現在のあなたには未知の人物です。あるいは既知の人物かも知れませんが、今後好意的になるはずの人です。

この二行は「自分から少し離れたところには、あなたと友だちになろうとしている人物がきっといる。」という意味です。

これら「世界」「季節」「友だち」それぞれが「優しい」「美しい」「新しい」と、ポジティブな言葉で表現されています。
精神的にも物理的にも社会的にも明るい将来が待っているのだ、と言いたいのでしょう。
「はぐくんでいる」「さし出している」「待ちかねている」と、既に未来に準備され、あなたが気づいてくれるのを待っている、スタンバっている状態であるのです。

ここで注目したいのは「胸の奥」「次の垣根(これも比喩です)」「少し遠く」と、少しずつ距離的に遠くになっている点です。
これは、「まず自分の優しさに気づきなさい、そうすれば運命が変わるよ。そうすればあなたに好意的な人物が必ず現れる」という作者の思想(お説教?)であるとも考えられます。
ですから「はぐくんでいる(既に育てている)」「さし出している(向こうの方から行動を起こしている)」「待ちかねている(待機している)」と微妙に変化しているのではないでしょうか。

第二連

第二連では、これらのポジティブな世界の広がりを「あんなに確かに在るもの」とし、現在はそれが「見えないだけ」であるといっています。
ここからは、素晴らしいものが確かに存在し、それは君のために準備され待っていてくれている。今のあなたはそれがわからないだけなのだ。(だから、未来を信じてまず自分から変わっていこう。)という作者からのメッセージが感じられます。

年度のスタートにあたり、未来に対して前向きに生きていこう、という光村図書なりのメッセージなのでしょう。

ちなみに、この教材は教科書の最初の単元「広がる学びへ」の一つです。他に「 アイスプラネット」と「枕草子」が主な教材として扱われています。ですから、この詩の主題は「アイスプラネット」や「枕草子」と強く関係しています。どのような関係があるのか考えてみましょう。

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