中学生になって、はじめての文学的文章の読解です。
4時間扱いで、
  • ア 文脈の中における語句の意味を的確にとらえ、理解すること。
  • ウ 場面の展開や登場人物などの描写に注意して読み、内容の理解に役立てること。
  • エ 文章の構成や展開、表現の特徴について、自分の考えをもつこと。
を指導することになっています。

この単元では、三年間の学習を見通し、文学的文章読解の手法を身につけさせることを主眼とします。

一時間目 いつ・どこ・だれの話か
  • 文学的文章で書かれる世界は、作者が創造した世界です。どんなに現実の世界と似ていても、決して現実世界ではありません。造物主である作者に創り出された世界なのです。
と告げ、ばあちゃんとの会話の場面のみを範読し、ここから
  • いつ(時間的な設定)
  • どこ(空間的な設定)
  • だれ(登場人物の設定)
の話か、わかる所に傍線を引かせます。
ダウンロード
この時、僕とばあちゃんの台詞はできるだけリアルに読んでやります。

答えを発表させますが、
  • その答えはどこからわかるか
  • なぜそう言えるのか
をしっかり言わせます。
これが新指導要領で求められる「思考力・判断力・表現力等」です。

まだ中学校になれていない生徒たちですから、簡単にわかる「だれ」から答えさせるとよいでしょう。

だれ……明夫(僕)

この時「だれの話か」と強調して問いかけます。

「だれが登場しているでしょう」と問うと「ばあちゃん」と答える生徒もいるでしょう。
この時は「そうですね、ばあちゃんも登場していますね。でもこれはばあちゃんの話かな?」と考えさせます。

「だれの話か」というのは、主人公は誰かを考えさせたい問いなのです。

最初の場面で主人公は「明生」と言っています。
地の文では「僕」となっていますから、一人称小説です。
一人称小説とは
  • 登場人物の目を通して書かれている小説
であることを教え、「この物語の場合、主人公の目を通して書かれているので、主人公の気持ちの移り変わりがわかるようになっている」と教えます。

更に性別、年齢、経歴等を答えさせます。
  • 男、12歳
  • 小学校で二回、それに今回。通算三回の転校を経験している。
ここで、なぜそんなにたくさん転校したのかを問いかけ、「転勤が多い」「父さんの仕事の都合」という叙述を引き出します。
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主人公は転校生
いつ……四月の朝

「朝食」とあるので「朝」はすぐ答えられると思います。
  • 「いつ」というのは、一日の中のいつかの他に、一年のなかのいつか、いつの時代かというのがある。一年のうちのいつだろう。それはどこからわかるだろう。
と問います。
「春」や「四月」という答えはわかりますが、「小学校卒業と同時に~」や「中学入学~」等の叙述からそれがわかると、はっきり言わせることがポイントです。

題名の「花曇り」から答える生徒もいると思います。
「よく気がついたね」とほめ、「花曇りって、いつ頃のこと?」と問い返します。
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花曇りとは、桜の咲く季節の、うっすらと雲がかかるような天気のことです。
歳時記では晩春の季語ですが、これは1~3月を春とした場合ですので、四月上旬のことであることを示しています。

どこ……関西地方にあるばあちゃんの家

「ばあちゃんの家」はすぐ出てきます。
ポイントは舞台はどこかです。

これはばあちゃんの「なんや」「~や」等の言葉遣いからわかります。
一方主人公の「~だ」「~だろ」等は共通語です。

方言と共通語については二年生の教科書に載っていますが、資料として配布し「方言は身近な人間関係を築くのに効果的」であることを説明します。

これは、主人公がなぜ周囲とコミュニケーションがとれず疎外感を味わっているのかを理解する伏線となります。

最後に
主人公の明生は、なぜ「胃が痛い」のかを問います。

なかなか新しい学校になじめないから、等の答えはすぐ返ってくると思います。
それがどこからわかるかを答えさせるのがポイントです。
  • だいたいみんな小学校からの仲間なんだ。簡単にいくわけないだろ。
この叙述を引き出し、「気が合う仲間とも、あっさりさよならだ」と関連付けて答えさせることが思考・判断・表現の基礎だと思います。
気が重いのは、何が「簡単」にいかないからなのか、その原因は何なのかは、次の時間に解決することを告げて時間を終了します。
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