十種神宝 学校の基礎・基本

公立の義務教育の学校に永きにわたりお勤めだった稗田先生の、若い先生方への昔語りです。学習指導要領や、それに伴って変わってきた先生たちの意識や授業のことなど、教育現場に起こってきた今や昔のことどもを書き記していきます。

 義務教育の現場に長くお勤めだった稗田先生からお聞きしたことどもを、拙いながらもまとめてみました。
 不易流行という言葉があります。この、教育の"流行"の中から、自分だけの"不易"を見つけていただければ、これに過ぎる慶びはありません。
                                   十種神宝 主人 太安万侶

 このブログで紹介した教材の学習プリントをおわけします。興味のある方はご覧下さい。https://kandakara.booth.pm/

文学的文章

3時間目 シラーの「人質」読み、学習問題をもつ

「前の時間に、たくさんの謎を発見しましたが、この謎を解き明かしていきましょう。実はこの文章には元ネタがあります。この元ネタと『走れメロス』を比べて、なぜ作者は元ネタをこのように書き換えたのか考えていきましょう」と提案し、やはり行番号をつけた「人質」を配ります。
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まず「人質」の最初の連「暴君ディオニソス王にダモンは~『お前はその短剣で何をしようとしたのだ、話せ!』」を読み、「走れメロス」のどこがそれにあたるか、傍線を引かせます。

全員がそれができたのを確かめ、ゆっくりと「人質」を読みながら「走れメロス」に傍線を引かせていきます。

全文を読み通したら、感想を発表させます。
当然「そっくりだ」という感想の他に「なぜ書き加えたり変えたりしたのだろう」という疑問が出されるでしょう。

そこでグループで、作者が書き加えた内容と書き改めた内容を確認させ、発表させます。

書き加えられたり書き改められたりした内容は以下の通りです。
  1. メロスが暗殺を企てる動機=王は「人を信ずることができぬ」ろいう理由で粛清を行う。
  2. メロスと王のやりとり1=「人の心」を疑うVS疑わない
  3. メロスと王のやりとり2=メロスの約束に対する王の気持ち
  4. 妹の結婚式=メロスの葛藤
  5. メロスの出発=「人の信実の存するところを見せてやろう」
  6. 濁流と山賊=「愛と誠の偉大な力」
  7. 眠るメロス=約束不履行に対する言い訳
  8. 清水=義務遂行の希望から行動へ
  9. フィロストラトスとの会話=「もっと恐ろしく大きいもののために走っている」
  10. 刑場=互いの頬を殴り合う
  11. 終末=メロスの赤面
これらを時系列に沿って板書していきますが、全部出てこなくてもかまいません。
「作者はなぜこのように書き足したり書き加えたりしたのか」という問いは、感想発表の段階で出てくればよいのですが、もし出てこなければ「なぜこう書いたんだろうね」と問いかけ、意識づけていきます。

この段階では1~11まで、どのような内容なのかの共通認識は持っていません。
次の時間に「『走れメロス』を『人質』と比べることで、『走れメロス』の謎を解き明かしていこう」と予告して授業を終わります。

4時間目 「走れメロス」と「人質」を比較し、作者の意図を考える

 1~11の場面は、いくつかのエピソードとして以下のように統合することができます。
  • Ep.1 1~3 メロスと王=対比
  • Ep.2 4~5 妹の結婚式=メロスの決意に至る逡巡
  • Ep.3 6    濁流と山賊=外的阻害要因
  • Ep.4 7~8 悪い夢=内的阻害要因
  • Ep.5 9    フィロストラトスとの会話=走る目的
  • Ep.6 10    互いの頬を殴り合う=信実
これ班の数によってまとめたものです。

意図的に11は入れてありません。班の数の都合もありましたが、物語の展開から唐突な感じがするからです。
だいたい少女は、王の宣伝のために集められた民衆の一人です。それまでの細かなメロスの心情の経緯などわかりっこありません。
作者は何らかの意図があってこのエピソードを書き加えたのだと思いますが、それを論証することは難しいでしょう。
中世でマントは権威の象徴で、緋色のマントを羽織った皇帝の肖像が残されています。
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緋のマントを着たディオニシス2世とダモクレス

赤はもともと神聖な意味を持った色とされていました。(今では共産主義の色ですね。)ですからメロス=英雄というイメージを持たせたかったのかも知れません。
もっとも「緋色」と訳されるスカーレットは枢機卿の色であると同時に、淫婦や姦通の象徴でもあるそうです。
「英雄メロスが無位無冠であるのが恥ずかしいので権威を持たせたかった」という解釈ならまだいいのですが、「少女は尻軽女だった」というトンデモ解釈に陥らないためにも生徒には追究させたくありません。

それぞれの班にエピソードを割り振り、まず一人一人で次にグループで、「どんな違いがあるのか、言葉に注意して傍線をひきながら細かくチェックし、なぜ書き加えたり書き直したりしたのだろう。考えてみよう」と仮説をたてさせます。

そして「『走れメロス』はこう書いてあるが、『人質』はこうなっている(書かれていない)。これは、作者にこのような意図があったためだと思う」というようにまとめさせ、発表させます。

この発表を聞きながら、ストーリーに沿って板書していきます。
だいたい次のような内容になると思います。
  • Ep.1 「人の心」に対し、メロスは疑わない、王は疑う、という性格の違いをはっきりさせている。
  • Ep.2 刑場に戻ることを迷う心の葛藤と、それを振り切って「信実」を示そうとする自分は「偉い男」で周囲は「誇り」に思うべきだという、メロスの自己陶酔的な性格をはっきりさせている。
  • Ep.3 濁流や山賊などの外的要因に対して、「愛と誠」「正義」は負けなかったことを示している。
  • Ep.4 疲労によって生じた心の弱さから、「自分は醜い裏切り者だ」と考えたことを強調している。
  • Ep.5 フィロストラトスがメロスの家令からセリヌンティウスの弟子になっている。また、メロスが走る理由を、「人質」では遅れても自分も死ぬことで王に「愛と誠を信じさせてやる」というのが目的であるのに対し「走れメロス」では「もっと恐ろしく大きいもののために走っている」となっている。
  • Ep.6 一度は「信実」を裏切った二人は、互いを罰することにより赦しあったことを示している。
この通り出てくることは少ないと思います。しかしそれはそれでかまいません。
生徒の考えのままエピソード順に板書していきます。

大切なことは複数のテキストを読み、抽出した要素から一つの結論を出す「考える力」を育てることなのです。


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「走れメロス」は指導時間6時間の単元です。指導事項は、次のようになっています。

  • ア 抽象的な概念を表す語句や心情を表す語句などに注意して読むこと。
  • イ 文章全体と部分との関係、例示や描写の効果、登場人物の言動の意味などを考え、内容の理解に役立てること。
  • ウ 文章の構成や展開、表現の仕方について、根拠を明確にして自分の考えをまとめること。
言語活動例として、次のものがあがっています。
  • ア 詩歌や物語などを読み、内容や表現の仕方について感想を交流すること。
これだけトンデモ設定てんこ盛りの小説ですから、テキストをもとに主題や人物の心情等を読解・追究させることはためらわれます。
特に、きっちり読めば読むほど主人公の性格・行動は異常ですから、道徳的な文言を単元のゴールに入れるのは絶対に避けたいと考えます。

「走れメロス」は、原本の末尾に「古伝説とレシレルの詩から」とあるように元ネタがあります。「レシレルの詩」とはシラーの詩「人質」のことです。これは指導書にも載っています。そこで、この「人質」と比較しながら読むことを通し、作者が書き加えた内容・書き改めた内容から作者の意図を考える単元展開を考えました。

1 全文を通読し、感想をもつ

「走れメロス」全文に行番号をつけたものを印刷し、範読します。
行番号をつけるのは、その後の授業で、どこのことを行っているのか共通に理解するためです。
範読するのは、この作品の、テンポが良くたたみかけるような表現や、演劇的な台詞回しを生徒に感じさせるためです。
私は講談師のイメージで、部分的にはラジオドラマ風に読み聞かせています。
解説しながらゆっくり演ずると、授業の半分以上はそれで終わってしまいます。
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この読み聞かせを終わると、初発の感想を書かせます。
場面の緊張感やメロスの心情が伝わるように演劇的な読み聞かせを行うのですから、メロスに否定的な感想を持つ生徒はほとんどいません。
これを書かせて発表させ、一時間が終わります。

2 「走れメロス」を批判的に読み、疑問点を出し合う

授業の最初に「『走れメロス』を読んで、疑問に思ったこと、もっと知りたいことはないか」と問います。

最初から疑問等が出てこなくてもかまいません。
出てきたら「そうだね、よく気がついたね」と板書しておきます。

「他にも、同じ2年生でこの話に疑問をもった人がいるんだよね」と行って、「算数・数学の自由研究」作品コンクール(理数教育研究所 2013)の「メロスの全力を検証」を配布します。

ここに書かれているのは、メロスは全力で走ってなどいない、という内容です。
黙って読ませ、内容をおさえながら論旨をまとめます。

そして「『走れメロス』は、今まで学習してきた文学的文章よりもずいぶんとツッコミどころがある作品だと言われています。自分たちも、そのおかしなことを探してみましょう」と考えさせます。
前時に配布したプリントに傍線を引かせ、その箇所を疑問や矛盾とともに発表させます。

するとさまざまな疑問や矛盾点が出てきますから、これらは「謎」としてしっかり取り上げます。
この中に「メロスはなぜ走り通したか」や「なぜ王様は改心したか」など、主題に関わる疑問も出てきます。
これらはきちんと取り上げ「これは大切な疑問だから、単元の最後までしっかりとっておいてね」と全員に伝えます。

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更に「走れメロス」の登場人物も、つっこみ所満載です。

1 アブナイあんちゃん メロス

もし今の日本で、世情に疎く世論の動向などにまったく関心がない若者が、一人の老人の「国の指導者は人殺しだ」「自分の周囲の人間を次々と粛清している」という言葉を聞いただけで、暗殺を思いつき、その足でホームセンターで刃物を買い求め、のこのこ官邸に乗り込んだ人間がいたとしたらどう思いますか。
メロスがやったことは、これと同じです。メロスは一般の常識をわきまえない危険人物です。
更に、妹の結婚式を「間近だ」と勝手に決めてしまったり、承諾も得ずにセリヌンティウスを人質として差し出したり、極めて自己中心的な性格な行動を平気でとっています。
ところが困ったことに、自分を「偉い男」「弟になったことを誇ってくれ」と言い、自分に「正義」があると言ってはばかりません。自意識過剰で自尊心が高く、ほとんど自己陶酔の世界に陥っています。

ほとんど疾病レベルの超アブナイあんちゃんだと言えます。
緋のマントを捧げた少女には「考え直せ」と言ってあげたいと思います。

2 一番得をしたのはディオニス王
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王は、妹婿によるクーデター計画により人間不信に陥り周囲の者を次々と粛清し、そのために世論は離れ支持率最低の状況です。
自身もストレス過多で不健康ですから、愚かではない王は、早晩自分の王朝が滅亡するかもしれないことを悟っていたかもしれません。悪循環に陥っています。

そんな王がメロスにしたことは、人質をとることで自分を暗殺しようとしたメロスを放免し、もし帰ってきたら人質を解放し処刑する、という裁定を下しただけです。
今の刑法では殺人未遂及び内乱罪ですから死刑にまではならないと思いますが、当時の常識として、王は即座にメロスを処刑しても当然だったと思います。(ついでに連座制が適応されるなら、妹や妹婿も死刑だったでしょう。メロスは結婚式をあげさせたら即妹を離縁すべきでした。)

そうしなかったのは、自分の主張が正当であることの宣伝材料とし、世論に訴えるためです。
そのために、事件の経緯を公表し自分の主張が正しいと宣伝するために刑場に民衆を集めたのでしょう。
ですからこの目論見に失敗した王は、帰ってきたメロスを
「なるほどお前が約束どおり帰ってきた。ならば私も約束を守ろう。お前を縛り首にする。」
と言って、さらっと始末してしまうことができました。

ところが王はメロスを許してしまいます。
しかし、これにより結果的に民衆から「王様万歳」と叫ばれます。
世論は一気に好意的なものとなり、支持率も急上昇したわけです。
王が支払ったリスクは「わしの心に勝ったのだ」と敗北宣言をし罪を赦したくらいで、他には何も失っていません。ローリスク・ハイリターンの極みです。

ディオニス王にとって、世論の圧倒的支持を得たということは、これ以上ないくらいの幸運な結末です。どこかの国の首相もきっとうらやましく思っていることでしょう。

3 セリヌンティウスは聖人君子

メロスの友人セリヌンティウスは、最後の場面で三日間で一度だけメロスを疑ったので自分を殴れ、と言います。
それはメロスが直前に「途中で一度、悪い夢を見た」から殴れ、と言ったからです。

そもそもメロスが「悪い夢」を見たのは一度だけでしょうか。

メロスは結婚式で「あの約束をさえ忘れ」、「このままここにいたい」と願います。
出発してからも「幾度か、立ち止まりそう」になります。
「未練の情」てんこ盛りのメロスです。
ところがメロスは、しれっと川を泳ぎ切って倒れた時のことしか言っていません。
この時は疲れ切って昏睡状態であったために思わず本音が顔を出したようにも読めます。

セリヌンティウスがメロスのことを本当に理解していた「親友」なら、メロスは迷わずに戻って来るなどとは考えないはずです。
きっとメロスは迷うだろう、迷っても結局は来ようとする気持ちはあったに違いない、でも何か理屈をつけて戻らなかったとしても、それはそれでメロスらしいな、と考えたはずです。
だいたい相談もなく自分を人質に差し出してしまうご都合主義のメロスです。おそらく「メロスが戻ってこなくて自分が死刑になってもしょうがないや」と諦めていたのかも知れませんね。

ところがメロスは処刑場に戻り、しゃぁしゃぁと「一度」と言ってのけます。
「ウソだろ」と思いながらも、自分も調子を合わせて「一度だけ」と言い、黙って殴られるセリヌンティウスです。

寡黙で、友のために死を覚悟してためらわないセリヌンティウスは、聖人君子か仏様のような人間だと思います。
こんなすばらしい友人を、どうやってあのメロスがキープできたのか、物語最大の謎だと思います。

4 謎の人フィロストラトス

セリヌンティウスの弟子を名乗るフィロストラトスは、王城間近に迫るメロスに近づき「走るのはやめてください」と言います。これはとても不思議な行動です。

フィロストラトスはセリヌンティウスが刑場に引き出されて以降の一部始終を見ていたはずです。
もし本当にセリヌンティウスの弟子ならば、なぜ師匠が処刑される瞬間までそこに留まらなかったのでしょう。
彼は途中で刑場から抜け出し、どこへ行こうとしたのでしょう。
そしてメロスに出会い、師匠が処刑から免れる唯一の手段=メロスが刑場に行くことをやめるように言ったのでしょう。
更に「ついてこい」とメロスに言われた後、彼はどこへ行ってしまったのでしょう。もしついてきたのなら、人混みをかき分ける手助けくらいはしたはずです。

シラーの詩では、セリヌンティウスはメロス家の執事もしくは家令に設定されています。
それならば彼の言葉は納得できますが……もし『走れメロス』の後日譚を書くのだったら、彼をメインに据えたいところです。

次回から、実際にどのように授業を展開するか説明します。
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「走れメロス」は、教材研究をすればすぐにわかるように、設定の矛盾がいたるところにある作品です。
この点からすると入試問題にはまず出題されない部類の小説ではないかと思います。

またこれは、道徳の教材ではありません。
国語の授業としてどのように成立させるかが学習のポイントとなります。

国語の学習では、テキストをどのように料理するかがポイントです。
そこでまず、素材としての「走れメロス」を分析してみましょう。
ダウンロード

「走れメロス」の矛盾点

1 メロスは走っていない

「算数・数学の自由研究」作品コンクール(理数教育研究所 2013)に入賞した「メロスの全力を検証」という中学2年生の研究では、作品内の記述をもとにメロスの平均移動速度を算出し、その結果「メロスはまったく走っていない」という結論を得ました。(PDFはこちらからダウンロードできます。)
私の計算でも、川を泳いだり眠ったりしなかった往路の移動速度は小学校低学年並みで、復路後半も小学校高学年の遠足以上、中学生の競歩大会未満の速度でした。

2 妹の結婚式の予定が食い違っている

メロスは妹の結婚式の食材調達のためにシラクスの町にやってきます。初夏(立夏から芒種の前日まですから6月頃)の話です。
一方「妹の婿」は「明日結婚式を挙げてくれ」というメロスに、準備が出来ていないという理由で「ぶどうの季節まで」待って欲しいと言っています。ぶどうの季節はどんなに早くても9月以降でしょう。
ギリシア時代の結婚は夫と花嫁の後見人との契約により成立しました。このような事件がなかったとしたら、いつ結婚式をあげるはずだったのでしょう。
夫である牧人と、花嫁の後見人であるメロスとは、結婚をあげる時期に共通の認識がなかったようです。どちらかが勝手な思い込みで行動していたとしか思えません。

「走れメロス」から見える事情

1 ディオニス王朝はいずれ近いうちに滅亡する

王は王妹の婿、王太子、王妹、王妹の子、皇后、臣下の順に粛清しました。
この順番から、王妹の婿が王太子をそそのかし王を殺害、実権を握ろうとクーデターを計画したと王は考えていたのではないかと思われます。
もし王妹の婿が本当にクーデターを企てていたのなら、王が極度の人間不信に陥ったとしても不思議ではありません。クーデター計画が本当にあったかどうかはわかりませんが、いずれにせよ王は疑心暗鬼になり粛清を繰り返しているのではないでしょうか。
この行き過ぎた行動に対して世論の反発が強まっています。その中で、王は現在ストレス過多となり、顔色がわるくなっています。健康が思わしくないのです。
早晩、王が健康を損なった時、求心力は一気に弱まります。
するとクーデターが起こる可能性が極めて高くなるでしょう。その結果、早晩王は暗殺されるか、良くても国外追放となり、王位継承者のいないディオニス王朝は滅亡するはずです。(モデルとなった王は息子に暗殺され、王位を継いだ息子も義弟により国外追放となっています。)
弟や従兄弟を殺し三代目に源氏の血が途絶える原因を作った源頼朝と同じですね。
メロスは、別に王を暗殺しなくても、数年後には「生かしておけぬ」という彼の願いは実現したはずです。

2 この年は異常気象である

地中海性気候の土地が物語の舞台です。
地中海性気候では、冬には一定の降雨がありますが、初夏には雨が降らず乾燥しています。だからオリーブやブドウなどの栽培が盛んなのです。
ところが物語では初夏に大雨が降り、川は氾濫し、橋が流されています。災害レベルの豪雨と言えます。
婿となる牧人は「ぶどうの季節」を待つ以前に、今年はブドウが収穫できるか心配した方がよいと思います。

次回は「走れメロス」の舞台設定の謎です。

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1990年代後期に急増した自殺者が高止まりになりました。

外需主導のいざなみ景気により失われた十年が終わったかのように見えましたが、デフレは解決せず、アメリカ同時多発テロ事件やリーマンショック後の世界同時不況の発生により再び深刻な不況に陥りました。
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このことから、この期間をまとめて失われた二十年と指すようになった。

格差社会が問題化した時代でもあります。
ヒルズ族などの新しい富裕層とともにワーキングプア、ネットカフェ難民などの貧困層が現れました。
特に失業や非正規雇用による若年層の貧困化とともに、過労死等を招くブラック企業、ひきこもりやニートが問題となりました。

この頃(に生まれた人は「さとり世代」と呼ばれ、現在高校生~20歳です。

「さとり世代」というのは、「ゆとり世代」は蔑視用語ということで、若者層(当事者)から掲示板「2ちゃんねる」を通して自然発生的に広まった言葉です。

内容的には「さとり世代」≒「ゆとり世代」ですが、特にゆとり教育後半の90年後半生まれ以降の区分を「さとり世代」と呼んでいます。

まだ高~大学生で、一人前の人格形成はできておらず、今後彼らが実社会で働くようになってからどのように評価されるかは分かりません。

この世代の特徴としては、欲はなく、恋愛に興味はなく、無駄な努力をすることはなく、無駄遣いもすることはないそうです。
若いのにまるで悟りを開いたように、穏やかな精神を持った人たちが多いと言われています。
「草食系」とも言われます。
このため自動車の売れ行きが落ち自動車産業が不況に陥った。

現代物のライトノベルの主人公は高校生であり、この世代に含まれます。

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バブルが完全に崩壊し、日本の不景気が始まりました。
またイラク戦争が盛んになりました。

日本では、阪神淡路大震災やオウム真理教によるテロ等、社会的にも不安・不安定な時代となりました。
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1995年(H7)に、阪神淡路大震災・地下鉄サリン事件が起こります。

また、プリクラ、携帯電話が普及したのもこの時代です。

この頃に生まれた人は「ゆとり世代」と呼ばれ、現在20歳代です。

 「ゆとり教育」を受けて育った世代です。

ゆとり教育は87年生まれの人が中三の時に始まり、2001年生まれの人が小一の時に終わります。
1年でもゆとり教育を受けた子どもは十五学年にも及びます。
義務教育の九年間が全てゆとり教育(移行措置を含む)であったのは、95年と96年生まれです。

平成不況、リーマンショックの中でデフレが進みました。
学校は土曜日を休みとして完全五日制となりました。
同時に学力は低下し、校内暴力は増加し、就職も2003年には大卒の就職率が過去最低の55%までに落ち込みます。
そして激戦を勝ち抜いて就職したにもかかわらず、社会に出てもすぐに辞めてしまう者が多いことが問題になりました。

この世代の特徴としては、全体的にゆるい繋がりを大切にすると言われています。
「指示待ち人間が多い」「常識知らずで、自分中心に世界が回っていると考えている」「自信満々だが実践力がない」「打たれ弱い」などなど。他の世代から滅茶苦茶に言われていて、
結局、何を考えているのか他の世代からは理解されず、宇宙人とも呼ばれています。(意見には個人差があります。)

マンガ『クレヨンしんちゃん』の主人公野原しんのすけはこの頃生まれています。

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冷戦が終結し、
アメリカとの貿易摩擦が起こるほどバブル景気に沸いた時代です。
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「ゆとり教育」が始まりました。
また、マンガ『ドラゴンボール』の連載始まりました。(~1996)

1983年(S58)には、ファミコンが発売開始されました。
1989年(H元)に昭和天皇が崩御し、平成が始まります。

この頃に生まれた人は「プレッシャー世代」と呼ばれ、現在30~35歳です。

社会への関心を抱く頃にはすでにバブルは崩壊していて、成長過程で「失われた十年」を目のあたりにしています。
いろいろな場面で耐えなくてはいけないことが多く、比較的プレッシャーに強い世代ということから名付けられました。

この世代の特徴としては、日本の景気のよかった時代を知らないため、生きていくことにプレッシャーがあることを当然と思って育ってきました。
明るさの中にもピリッとした一面もあって、ここ一番で力を発揮する人が多いと、評価の高い世代です。

ネット界、ビジネス界、学問分野で、最近この世代の台頭が注目されています。
友人を大切にし、生活への満足度が高いところもあり、ポスト団塊ジュニア世代と似通っています。

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中東戦争を契機に、石油の価格が倍以上に跳ね上がり、物価が高騰、日本中がパニックとなりました。
右肩上がりの高度経済成長に陰りが見え始めた時代です。

この時期、校内暴力が社会的な問題となり、バブル世代はこの洗礼をうけました。

学生運動もあさま山荘事件(1972)に見られるように終焉を迎えます。
劇場版アニメ『ルパン三世カリオストロの城』で銭形警部たちがカリオストロ城を囲んでカップラーメンを食べるシーンは、この事件へのオマージュですね。

初期の『仮面ライダー』シリーズは、この不安な時代を強く反映していると言われています。

西城秀樹や山本リンダが登場することからマンガ『ちびまる子ちゃん』はこの時代を背景として作られています。

1970年(S45)には沖縄が復帰し、大阪で日本万国博覧会が開かれました。 
1971年にはカップヌードルが発売開始されます。
そして1973年(S48)と1979年(S54)に石油危機(オイルショック)が襲います。
1974年にはセブンイレブン1号店が出来ました。
1978年に日中平和友好条約が結ばれました。    
    
この頃に生まれた人は「氷河期世代」と呼ばれ、現在35~40歳です。

「氷河期世代」は高度経済成長期の終盤から安定成長期にかけて生まれた世代で、冷戦の世界や好景気の時代を知っている「団塊ジュニア」とそれを知らない「ポスト団塊ジュニア」の世代に分かれています。
就職の時期に深刻な不況を迎え、フリーター、ニート、ひきこもり、派遣労働者、就職難民たちが多いため「ロストジェネレーション」とも呼ばれています。

団塊ジュニア世代(1972~生 現在40歳代前半)

世代人口は団塊世代の次に多く、団塊世代の子供世代です。
団塊世代の母親が24歳~28歳に出産した子どもたちが多いようです。

この世代が85年頃(15歳前後の高校生の頃)になると小遣いも増額し、この年齢層を狙った商品がヒットする確率が高いということから「イチゴ(15)世代」と呼ばれることもあります。
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大学入試は「受験戦争」と呼ばれるほどの競争を強いられ、
卒業時には「就職氷河期」に遭遇したため「貧乏くじ世代」とか「不運の世代」とも呼ばれています。

この世代の特徴としては、ほんの少しの神がかり的な成功者と、大多数の敗者のトラウマを抱える者とに分かれるとされます。
そのためか、些細なつまらないことをいつまでもこだわり続ける傾向にあるそうです。
躾と礼儀は厳しく教育されているので、上の者に理不尽なことを言われても実行する、根性論が通用する最後の世代でもあります。(意見には個人差があります。)

ポスト団塊ジュニア世代 (1975~生 現在35~40歳)

いじめや機能不全家族の問題はあったが、多くの親の年収はまだ増加傾向にあり、一般的に言えば安定した少年少女時代を過ごした世代です。
しかし、中高生時代にバブル崩壊が起こり、高卒時、大卒時は就職氷河期の真っ只中で、職探しに苦労しました。特に97年は「超氷河期」と呼ばれていました。

95年以降の携帯電話の普及により、新しいネット文化の担い手の中心になっています。

この世代の特徴としては、将来の先行きが見えない社会に対して希望を失っているというわけではなく、格差があっても仕方ないとする割合が高いという点で、すぐ上の団塊ジュニアと異なります。
親密な人間関係の重視こそがこの世代の生活価値の第一条件で、何よりも重要視しているのは家族との繋がりとされる、おとなしい世代と言われます。(意見には個人差があります。)

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1964年(S37)の「東京オリンピック」を契機に、高度経済成長が進んだ時代です。
このためでしょうか、この時期に『巨人の星』などのスポ根ものが大流行しました。
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アニメ『ドラえもん』に見られる「空き地に土管があった」時代です。

安保闘争(日米安全保障条約に反対する反政府、反米運動とそれに伴う政治闘争、傷害、放火、器物損壊などを伴う大規模暴動)がピークとなりました。
団塊の世代がこの闘争を支えました。

また、公害が大きな社会問題としてクローズアップされた時代でもあります。
世界では、ベトナム戦争にアメリカが参戦し泥沼化していきました。

安保闘争や公害、ベトナム戦争などは、『ウルトラマン』『ウルトラセブン』のシナリオのテーマになっているものが多いようです。

1962年(S37)には、冷凍食品の海老フライ(赤海老フライ)の発売が開始されています。ここから「盆土産」の時代がだいたいわかります。

この頃に生まれた人は「バブル世代」と言われ、現在40歳代後半です。

バブル景気による売り手市場時に大卒生として入社した世代です。
高度成長期に生まれ、おおむねずっと右肩上がりの時代に育ってきました。
中高生の頃は、校内暴力発生件数が多発しました。

この世代の特徴としては、いわゆる「ちょっと変わっている人」が多く、バブルの頃に就職したためか金銭感覚がおかしく、見栄っ張りも多いと言われています。
怒られ慣れていて、反省もせず、ケロッとしている人が多く、団塊の世代同様、他の世代からの非難の多い世代です。

タケノコ族からアッシー、メッシ―、ミツグ君の世代で、
軟弱な男性とヒステリックな女性を多く見かけると言われています。
また、クレーマーが多くいて、「人材の不良債権」とか「根拠のない自信過多」とも揶揄されています。(意見には個人差があります。)

マンガ『ちびまる子ちゃん』の主人公は、アニメの描写等からこの世代だと思われます。

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1950年代前半(S25~)

この時期、多くの植民地が独立し、冷戦は更に激化しました。

そのためアメリカの日本に対する占領政策が転換されました。それまで公職から追放されていた戦前の体制派を復権し、逆に共産党系を排除したのです。(「逆コース」と言われます。)
そして東アジアでは朝鮮戦争(1950-)が起こり、日本ではそれに伴う特需景気が訪れました。
これをきっかけに、日本は経済的に復興していきます。

1953年(S28)には、テレビ放送が始まりました。

1950年代後半(S30~)

「もはや戦後ではない」といわれ、高度経済成長がはじまりました。

集団就職(中学を卒業し、集団で地方から東京に就職すること)がピークになり、東京近郊には団地(集合住宅)ができました。

『三丁目の夕日』のような古き良き昭和の風景の時代です。
スタジオジブリ作品『となりのトトロ』はこの時代の埼玉県所沢市付近が舞台とされています。
一方、同じスタジオジブリ作品『平成狸合戦ぽんぽこ』は、この時代の多摩市ニュータウン建設を舞台とし、急速に都市化が進んでいった時代でもありました。
ちなみに、完成した多摩市ニュータウンは同じジブリ作品の『耳を澄ませば』の舞台となります。

『アイスプラネット』の主人公達が住む家は、この時代のこの近くに建てられたと考えられます。
建てたのはおそらく、主人公の曾祖父でしょう。

1958年(S33)には、インスタントラーメン(日清チキンラーメン)の発売が開始されます。
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この頃に生まれた人は「しらけ世代」と言われ、現在50~65歳です。

バブルが崩壊する前までに成人した世代です。
彼らの上司である焼け跡世代からは「新人類」とも呼ばれました。
「新人類」という言葉は、ファーストガンダムでよく使われていました。

国立大学の共通一次試験(センター入試の前の制度)が開始される前に大学に入学した前期と、以降の「共通一次世代」に分けることもあります。

学生運動が盛んだった団塊世代への対抗心からか、社会に関心を持たない「今が楽しければいい」という世代と言われています。
また、この世代の特徴として「無気力、無関心、無責任、無感動」の風潮が顕著になり、ノンポリ、個人生活優先主義に徹する傾向が強くあると言われています。(意見には個人差があります。)
団塊世代までとバブル世代に挟まれ、日本の流れが大きく変わる過渡期を過ごしてきた世代です。

『アイスプラネット』の主人公の少年はこの世代だと思います。世代の特徴をよく表していますね。

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