十種神宝 中学国語の基礎・基本

稗田先生は、永く公立小中学校にお勤めでした。 その先生からお聞きした、 主に中学校の国語の教材のことなどを 書き留めました。

カテゴリ:中学国語 授業のヒント > 2年

この内容をもとにしたワークブック(定期テスト予想問題付)を販売します。
興味のある方は、こちらへどうぞ。

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 『盆土産』の指導事項は、光村図書の指導計画によると、いずれも「C 読む」領域で、次の内容となっています。
  • ア 抽象的な概念を表す語句や心情を表す語句などに注意して読むこと
  • イ 文章全体と部分との関係、例示や描写の効果登場人物の言動の意味などを考え、内容の理解に役立てること。
  • ウ 文章の構成や展開、表現の仕方について、根拠を明確にして自分の考えをまとめること。
 これらの力を生徒たちが身につける前に読解の障害となるのは、
 読解の基本となる「いつ(時間設定)」「どこ(空間設定)」「だれ(登場人物設定)」が生徒にとってつかみづらいものになっている点にあります。
 そしてそれ以上に、生徒自身が、自分の経験をもとに解釈してしまうため、よくわかっていないことを生徒自身が意識しにくい点にあります。

 ですから、生徒の素朴な疑問や教師の問いかけによって、
 実はよくわかっていないことを意識化し、正しい知識を与えた上で
 読解に役立ててあげなくてはいけません。

 それは教師の役割です。
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いつ (時間設定 何月何日の話か

 「盆土産」のお盆は「月遅れ盆」だと思います。
 これは、生徒も夏休み中にニュース等で「お盆の帰省ラッシュ」のお盆ですから、わかると思います。
 しかし、8月の何日かをしっかり把握していない生徒も多いのが現状です。この作品の場合は8月13日が迎え盆です。しかし毎年違いますから「今年の場合は」と断りを入れて指導しておきます。

 ちなみに一年生の「大人になれなかった弟たちに……」や、三年生の「挨拶」の授業を行う際に、終戦や原爆投下の年月日を言えない生徒が多いことがあります。夏休み中の話題から、終戦や原爆投下の年月日を押さえておくとよいでしょう。

 このお盆の日付をおさえた上で、この物語は8月の何日から何日の幾日間の物語かを考えさせます。
 実は、この日程を把握していない生徒が相当数います。
 たぶん、登場人物に注意が向いて、時間に関わる叙述にまで意識が向かないのではないかと思います。

 一覧表にまとめさせる等して、しっかり共通理解をもった上で読解を進めたいものです。

 次に、時系列にそった物語の概略を記します。

8月11日(迎え盆前々日)
 日暮れ 父親から速達が届く
 夜   父親、上野駅周辺で冷凍えびフライを買い、夜行列車に乗る。
8月12日(迎え盆 前日)
 朝   主人公、川で雑魚を釣る。
 昼   父親、帰省。
   午後  主人公、あぜ道で喜作に会う。
   夕食  えびフライを食べる。
8月13日(迎え盆)
 朝   父親、今日東京に戻ることを主人公に告げる。
   午後  家族で墓参りに行く。
   夕方  主人公、バス停で父親と別れる。

いつ (時代設定 いつの時代の話か

 この物語を一読すると、生徒は「現代の話ではない」ことに気づきます。
 しかし「いつ頃の話でしょう」と問いかけても、生徒にはわかりません。

 そこで、「どの部分が現代と違うと思いますか」と問いかけます。

 生徒からは「囲炉裏を使っている」「連絡に速達を使っている」(囲炉裏や速達を知らない生徒もいます)等、いろいろ出てくると思います。中には「夜行列車が走っている」(2015年のダイヤ改正により、上野発の夜行列車はなくなりました。)等も出ました。
 たくさん出てくる場合はページを区切って言わせると良いかもしれません。

 ここで大切なのは、生徒の「現代」の感覚です。本人が「現代と違う」と思えばそれで正解なのです。
 ですから、特に発言の少ない生徒を優先的に答えさせ「そうですね」と肯定的に受け止めてあげると良いと思います。

 この中で、当然「登場人物はえびフライを知らない」「えびフライが珍しい」という発言が出てきます。

 えびフライは明治時代から高級洋食としてありましたが、庶民は名前すら知りませんでした。
 えびフライが知られるようになったのは冷凍えびフライが普及して以降となります。
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 冷凍えびフライを販売したのは昭和37年(1962)、加ト吉水産(現テーブルマーク)が最初です。
 現在ではどこのスーパーでも売っている冷凍えびフライですが、発売当時は冷凍庫が普及しておらず、輸送技術も未発達だったので、とても珍しいものでした。

 このことから、この物語の舞台は、

 東京オリンピック開催に向けて高度経済成長のまっただ中、昭和40年前後の話

であることがわかります。

どこ (空間設定

 東北地方です。おそらく青森市周辺だと思われます。

 まず、台詞を教師が範読すれば生徒もわかると思います。是非読んであげてください。

 方言を使う地方に転校した主人公の疎外感が書かれている「花曇りの向こう」(1年)を想起させ、方言について触れることも授業の伏線として大切です。
 方言を使うということが、それまで「えびフライ」と言っていた主人公が父親にうっかり「えんびフライ」と言ってしまう理由を考えるヒントとなります。

 次に、ドライアイスの場面で
  • 東京の上野汚液から近くの町の易までは、夜行でおよそ八時間かかる。それからバスに乗り換えて、村にいちばん近い停留所めで一時間かかる。
という叙述からわかります。

 昭和40年前後、上野駅といえば東北地方の玄関口でした。(当然東北新幹線はまだ通っていません。)
 東北線は「握手」(3年)でルロイ修道士も仙台-上野間を往復していますから、きちんと押さえておくと来年役立ちます。

 上野駅から東北線で夜行列車に乗って八時間かかる場所は青森駅付近です。
 ですから舞台は青森県青森市周辺となります。(作者の故郷である八戸と考えるのが自然でしょう。)

 ちなみに当時東京-青森間を八時間で走った夜行列車は寝台特急で、父親が利用した可能性が高いものは上野21:00発-青森7:50着の「はくつる」か23:00発-9:30着の「ゆうづる」の2本です。
 ですから父親が降りた駅は、青森の手前に違いありません。
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寝台特急はくつる
 おそらく、その日の仕事を終えた父親は、昭和30年頃の8月11日の夜に、まだ閉店前の上野のアメ横でえびフライとドライアイスを買って上野郵便局で速達を出し、寝台特急に乗ったのでしょう。主人公が受け取った「伝票のような紙切れ」とはえびフライの領収書だったのかもしれませんね。


 ここまでで、だいたい2~3時間はかかります。


この項目については、生徒用に解説したものがあります。
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Q 「でもまあもう少し」の意味

「こんな意味があったのか。」の「こんな」は

  • 旅費がたまったから、これからまた外国をふらふらしてくるよ。
を指しますから、
  • でもまあもう少ししたら、旅費がたまります
という意味です。

しかしこれだけではありません。
悠太が「こんな意味があったのか」と驚いたのは、
物語の最初の方で「『いそうろう』から卒業しなさい」と母に怒られた時のぐうちゃんの
  • でもまあもう少し
を思い出したからです。
ですからぐうちゃんが
  • いそうろうを卒業する=悠太の家を出て行く
ということを始めて理解した(おバカの)悠太君です。


ぐうちゃんの考えている外国旅行は1週間とか1ヶ月といった短期のものではありません。
何年もかけてする旅なのでしょう。
このために、何年もかけて資金稼ぎをしていたのでしょう。

短期だったら夏休みの測量バイトくらいで十分ですし、しょっちゅう旅行しているはずです。
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…これじゃぁお姉さんが心配しても当たり前ですね。
(アニメ『氷菓』では,ぐうちゃんと同じように外国に旅行して帰ってこなくなった人の話が出てきますよ。ぐうちゃんとほぼ同世代の人です。)

  • 定職につかず、アルバイトをして資金を稼いでは、それでずっと世界を放浪する生活
を送る弟を姉として心配し、そういう生活を息子には送って欲しくないという母親としての切実な願いが酒の勢いでポロッと出たのでしょう。

一方父親としては、自分もそういう生活に憧れる面があったのでしょうか、比較的好意的ですね。
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いずれにせよ、少し解けてきたぐうちゃんに対する気持ちを「自分に対する裏切り」ととらえてしまう、自己中心的な悠太君でした。

ちなみに、なぜ急にお金がたまったかと言うと、バブルの時期だったからです。
地価が値上がりし、そのために、相当条件のいい測量のアルバイトが入ったのだと思われます。

Q 「不思議アタマ」とは何か

  • 勉強をたくさんして、いっぱい本を読んで、いっぱいの「不思議アタマ」になって世界に出かけていくとおもしろいぞ
とあります。


「不思議アタマ」になるための条件は「勉強をたくさんして、いっぱい本を読」むことです。
つまりたくさんの知識を身につけることですね。

そしてその知識に対して「不思議」……つまり興味や疑問をもってから「世界に出かけていくとおもしろい」というのです。


従って
不思議アタマ」とは

  • 身につけた知識興味や疑問をもつこと
です。

テストによく出されますから注意しましょう。

特に多い間違いは、「疑問をもって知識を身につけるとよい」とか「疑問をもつとおもしろい」とか、なんだか先生たちが授業で考えそうな答えがあります。
これらは全部×です。(ここで先生に媚びを売ってどうするの?)


悠太くんは勉強嫌いで、宿題から逃げるためにぐうちゃんの部屋に行ったチキン野郎です。
そしてアナコンダの話などでは、
自分の狭い知識を全てと考え、
そこから興味や疑問をもつことができず、
入浴を口実に逃げ出します。

そして友だちの無責任な感想を真に受けてぐうちゃんが嫌いになります。

そんな悠太君へのぐうちゃんのアドバイスです。

「勉強しろ。勉強した内容に興味をもて。」とぐうちゃんは言いたかったのでしょう。

Q 「ありえねぇ」の意味の違い

この文章では「ありえない」を二つの意味で使っています。


悠太君は、辞書そのままの

  • あるはずがない
…つまり非現実・非実在の意味で使っています。


いっぽうぐうちゃんはアナコンダの話を

  • ありえなくはない
つまり「現実であり実在する」といい、
  • それこそありえないほどだ
と、非現実・非実在と思っていたことが
  • それこそ信じられないほど
現実にあり、実在しているのだ、と言っています。


悠太君は

  • 実在しないことを「ありえない」
といい、ぐうちゃんは
  • 実在しないと思っても本当は実在する事例が「ありえない」くらいたくさんある
と言っているのです。

Q 「アイスプラネット」の主題

ぐうちゃんからの手紙、特に「不思議アタマ」と『アイスプラネット』という題名と関連します。自分で工夫してまとめてみましょう。

 うまくできない人は、上の「不思議アタマ」の解説をもとに、指定された字数でまとめればそれで十分ですよ。

Q ぐうちゃんへの手紙を書くときのポイント

ぐうちゃんからの手紙が、最後の場面になっているせいでしょうか。
「ぐうちゃんへの手紙」を書かせる授業があるようですね。

これは、実は

  • ぐうちゃんからの手紙を読んだときの悠太君の気持ちを書く
という課題です。
  • 読者として、自分はこの作品を十分理解しており、更に主人公の気持ちになって考えることができる
というアピールを先生にするのが正解です。


まず押さえておきたいのは、結末を文学的文章としては大反則の「写真によるネタばらし」にしてあるということ。
読者のみなさんは悠太くんに送られた2枚の写真を見て「ああ、ぐうちゃんの話は本当の話だったんだな」とわかる仕掛けになっています。

賢明なみなさんはこんなもの見なくても、ぐうちゃんの話は正しいだろうと思いますよね。
だいたい作者は今どきの中学生をなめています。


作者になめられているからと言って、私たちは課題をきちんとこなさないといけません。

まず

  • 自分(悠太)は、写真をみて、本当のことだったのかと驚いた
という驚きの気持ちをぐうちゃんに伝える手紙を書きましょう。
そして、ぐうちゃんが家を出て行くときの
  • 何も言わずに僕の手を握りしめ、力の籠もった強い握手
を思い出し
  • ひょっとしたら、僕に証拠の写真を見せてくれるということだったんだね
と、作者の期待通りの答えを書いてあげましょう。
ついでに
  • 「いつもより少し長い仕事」は僕のためだったのか
という自己中全開の付け足しもアリです。
(論証不可能な内容ですが,「ぐうちゃんへの手紙」だったら何を書いてもアリです。先生にアピールすることが第一義です。)


そして自分は

  • これから一生懸命勉強して、ぐうちゃんの言うように、たくさんの知識を身につけ、その知識の中身に興味や関心をもって「ありえない」ことを探していきたい
と、先生が喜ぶようにまとめると、良いと思います。
ここで「不思議アタマ」という言葉を使わないで、その内容を解説するように書くことがポイントですよ。


NGは

  • なぜアナコンダの写真はないのか
です。

教科書で使われている写真は作者が実際撮影したものですが、
作者はアナコンダの写真を持っていないと思われます。

なぜならぐうちゃんの話すアナコンダの話は、実は学問的には立証されていないことだからです。
ぐうちゃんの話すアナコンダは、いわゆる伝承・伝聞の話です。
世の中にぐうちゃんの話すようなアナコンダは実在しているのか証明されていない……それこそ証拠の写真はないからです。
動物園レベルの大きさのアナコンダの写真ならそこらじゅうにありますが、
馬を食べる(ことのできる大きさの)アナコンダの写真なんか世の中にないのです。
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動物パニック映画『アナコンダ』(1997)
こんな写真は、映画の中でしかないのです。

あと、当然NGなのは、

  • いくら学生運動の団塊の世代だからって、いつまでもヒッピーやってるんじゃねぇ。世の中見てみろよ。島耕作(ぐうちゃんと同世代)なんて、もう課長だぜ。
とぐうちゃんに説教してはいけませんよ。
そうしたらもうぐうちゃんは日本に帰ってこれなくなります。かわいそうです。
あなたは悠太君よりずっと立派な中学生を演じるべきです。
大人になりましょうね。 
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悠太

中学生。おそらく2年生なので14歳。男子です。

文学作品の主人公とは、心情の変化が物語の軸になっている人物です。
この作品は「僕」の心情変化を軸として描かれているため、この悠太君が主人公です。

悠太君が「僕」と言って、「僕」の視点で物語を語っています。
このような形式の小説を
一人称小説と言います。

前回と前々回を読んでいただければわかるように、
悠太君は、はっきり言って
平均以下の能力しかない中学生です。

思考が幼稚で、自分の偏狭な知識を絶対視し、相手をバカにする傾向があります。

この文章を読んでいる皆さんや、皆さんの友だちと比べてどうですか。

だいたい、周囲に対する認識が甘い。
空気がまったく読めないと言わざるを得ません。

例えば、
弟のことを心配し怒りながらも弟が大好きなため
「これ、ぐうちゃんの好物」と夕食準備する母親を
「ちょっと変わっている」と考えます。
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また、弟をそんなに広くもない家に居候させている妻に気を遣って
「安心だから」と言う父親の言葉を「歓迎している」と考えています。

ご両親の言葉の裏に隠れた気持ちにまったく気づかず、
言葉通りに考えてしまうような人間です。
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14年間も両親と一緒に暮らしていて、何を見、何を感じていたのでしょうか。

「宿題をするよりよっぽどおもしろい」と言ってぐうちゃんのほら話を聞きに行くことからも、
自分の置かれた状況や将来が展望できていないようです。

(さっさと宿題しろよ!お前の将来「受験戦争」と「就職氷河期」が待ってるんだぜ…。)


それでいて、ぐうちゃんがマジの顔をしてするマジな話を、
「ほら話」と決めつけ、
「ほら」を思いながらも、友だちに話して、
友だちから責められて初めて「僕の人生が全面的にからかわれた」と頭に血が上ってしまうような、
とても残念な性格の持ち主です。

まぁ、友だちも「証拠を見せろ」と小学生レベルの対応しかできないようですから、
類は友を呼んでいるのではないかと思います。

(感想には個人差があります。)

作者は、中学生を読者として想定し本作品を執筆したので、
読者が「自分よりバカだ」と思える人間を主人公とし、親しみやすく考えやすくしたのでしょう。

シャーロック・ホウムズの冒険譚でも、
読者より知能がやや低いワトソン博士を置くことにより
読者に優越感を与えホウムズの優秀さを際立たせています。
(『名探偵コナン』の○○刑事はもっと激しいようですね。)
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よくある手法です。

悠太君は、おそらく現在50歳くらい。
津田さんは、自ら望んで定職に就かなかったようですが、
悠太君は、就職氷河期のあおりを受けて、望んでも定職に就くことができず、
ご両親の年金を頼りに生きているということがないように祈っています。

読者であるみなさんは、
悠太君と同じレベルになって物語を読んでいくというのはどうかと思いますよ。

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悠太君の家


悠太君の家は、悠太君の父方の曾祖父が建てたものです。
一世代30年と考えると、築60年くらい経っています。

「東京の西の郊外」とありますから、
『となりのトトロ』や『平成狸合戦』『耳をすませば』の舞台となった多摩地区でしょう。
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家が建てられた頃は、ジブリの作品のようなのどかな風景にあふれていたと思います。

その頃建てられた家で代表的な形式が、サザエさんの家です。

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この「カツオとワカメの部屋」が悠太君の部屋で、
「サザエとマスオとタラオの部屋」が津田さんの部屋と考えると、しっくりきますね。

悠太君のひいおじいさん(とおじいさん)が建て、
お父さんが育った家ですね。

そのお父さんが大きくなり、結婚してお嫁さんが来ました。

このお嫁さんが悠太君のお母さんです。

悠太君の家族

悠太君の母


津田さんのお姉さんですから、おそらく40歳前後。
アラフォーのおばさんです。

嫁ぎ先の家に自分の弟を居候させています。

弟の生活態度を心配し怒っています。
一方弟の好物を夕食のメニューにしようとするくらい、弟大好きなブラコンです。


悠太君のひいおじいさん、ひいおばあさんは当時の平均寿命から考えて、もうご存命ではないかも知れません。
しかし、おじいさん、おばあさんはご存命の可能性があります。

おじいさん(お母さんにとっての義父)は同居していないようですが、
お母さんにとって、自分の嫁ぎ先の家に、自分の弟がころがりこんで、居候しているのです。

義父や義母が同居していたとしたら、「ウチの嫁は……」と責められたことでしょう。
もしご存命でなかったとしても、悠太君のお父さんである夫に後ろめたい思いをしている可能性があります。

ですから
夫(や義父・義母)の手前「しょっちゅう」弟を怒っているということも考えられます。

作品中は「珍しくビールでも飲んだらしく」とありますから、毎晩お酒を飲む習慣はないのでしょう。

しかし高度経済成長期だった結婚前はイケイケの生活を送っていて、けっこういけるクチだったのかも知れません。
酔うと口数が多くなります。


そして息子が弟のようなダメ人間になってほしくないと考えています。

作品はバブル時代ですが、既にバブル期に陰りがみえてきているのかも知れません。
バブルが終焉を迎え、これから不況の時代とそれに伴う競争社会を、
母親のカンで察知していたのかもしれませんね。

このお母さんのカンは、やがて的中します。
悠太君は、団塊ジュニア世代と呼ばれます。
別名
氷河期世代です。
就職の時期に深刻な不況を迎え、
フリーター、ニート、ひきこもり、派遣労働者、就職難民が最も多くなる「ロストジェネレーション」なのです。

お母さんとお父さんの会話を聞いて悠太君は
「僕のことでぐうちゃんが責められるのは少し違う」
と言っていますが、まるで他人事です。

もっと真剣に考えないと、君を待っている未来は真っ暗闇なのだよ。

悠太君の父

悠太君の父親(お母さんの配偶者)ですから、やはりアラフォーでしょう。
現在仙台に単身赴任中です。

ということは、零細企業にお勤めとは考えられません。
大企業とまでは行かないかも知れませんが、ある程度国内に展開している東京都内の中小企業でしょうか。
とすると、年齢的にも係長~課長級と考えられます。
(ちなみにクレヨンしんちゃんのお父さん(35)は東京下町の商事会社の係長。波平さん(54)は銀座に本社を持つ商社の課長級とされています。)

お父さんは「ぐうちゃんがいると何か力仕事が必要になったときに安心だから」と言っています。
しかし、心の底から歓迎しているかは不明です。
(悠太君が「歓迎している」と言っているだけです。)

ぐうちゃんに対して
「若い頃に世界中のあちこちへ行っていたから~なんだか羨ましいような気がする」
と言っています。

同じ「団塊の世代」に属しても、
ぐうちゃんのようにヒッピー的な生き方をしたのではなく、
ヘルメットをかぶり、角材をもって学生運動に身を投じたのでもなく、
日本一有名なサラリーマン『島耕作』のように、ひたすらまじめに高度経済成長を支えてきたのでしょう。

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津田由起夫 38歳

主人公、悠太くんの母方の叔父です。


「学生の頃に外国のいろいろな所を旅してきた」そうです。

戦後、海外旅行が一般的になったのは高度経済成長の時代、1960年代です。
1960年代に学生だったということは、1940年代後半生まれ(1940年代前半なら戦時中の生まれですが、ぐうちゃんに戦中派のイメージはありませんね)の
団塊の世代です。
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今ご存命なら、確実に後期高齢者の仲間入りをしています。

そんな津田さんが高校~大学時代は高度経済成長のまっただ中。
世の中は「安保闘争」というのを中心に学生運動がとても盛んでした。

米澤穂信さんの小説『氷菓』の千反田えるさんのおじさんのエピソードに詳しいですね。
京アニでアニメ化されました。

その一方で、ヒッピーやフーテンといったナチュラル系の思想も大流行しました。
ぐうちゃんは、このナチュラル系の思想に染まったのでしょう。
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肩まで伸びた長髪に、穴の空いたジーンズで、自分探しの旅に出かけたのかもしれませんね。


「気づいたときには僕の家に住み着いていた」とあります。
悠太君は中2の14歳と思われますので、おそらく最低10年近く姉の嫁ぎ先に居候しているのでしょう。

とすると、作品の「現在」は1980年頃。
バブルの時代です。

いくらバブルの中とは言っても、38歳の津田さんは、現在無職。
姉の嫁ぎ先に居候をし、測量等のアルバイトをしながら世界旅行の資金を貯めています。


現在、津田さんの測量関係のアルバイトは日給1万5000円、時給1,500円程度です。
コンビニのバイトと比べると、けっこう稼いでいます。

しかし、悠太君の家に食費等を入れているのでしょうか。
きちんと相場どおりの住居費や食費を悠太の父親に支払っていれば


「長いこと『ぐうたら』している」

なんて周囲から言われないんじゃないでしょうか。
しかし本人はそれを気にしていないようです。

少しは居候させてもらっている姉の立場も考えてやってほしいと思います。

はっきり言って、自己中のアラフォー独身ニートです。

現在のように不景気な現在でも、
自分の家に、無職のアラフォーのおっさんが転がり込んで、暮らしていたとしたら、どう思いますか。

親戚には絶対いてほしくないおっさんです。

悠太君は男の子ですから、おっさんの部屋に入り浸っているようですが、
女の子だったら、絶対に寄りつかないと思います。


ぐうちゃんを立派な人格者であるかのように言う先生もいらっしゃいますが、どうなんでしょうね。

おそらく、作者のイメージの投影なので、美化されているんだと思いますよ。


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「見えないだけ」の指導事項は、次のようになっています。
  • ア 抽象的な概念を表す語句や心情を表す語句などに注意して読むこと。
この詩を解くポイントは、修辞法(レトリック)にあります。
修辞法に注意して、この詩を読解してみましょう。

第一連

最初の4行、「空の上には/もっと青い空が浮かんでいる」と「波の底には/もっと大きな海が眠っている」は対句です。「~には~いる」と押韻もあります。
ですからこの四行はひとまとまりです。

「空の上」の更に上と、「海の底」の更に下ですから、作者は空間的な広がりを表現しようとしています。
しかしこれだけではありません。

「空の上には/もっと青い空が浮かんでいる」とはどういうことでしょう。

「雲外蒼天」という言葉があります。
試練を乗り越えていき、努力して乗り越えれば快い青空が望めるという意味です。
これをスローガンにしている部活もあるかも知れませんね。
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私たちが見上げる空は天気の良い日ばかりではありません。曇りの日もあれば雨の日もあります。
しかしどんな天気の日でも、必ず雲の上には「青い空が浮かんでいる」のです。

ですから「(どんな天気であってもその)空の上には/もっと青い空が浮かんでいる」と、省略法が用いられているとも考えられます。

そして、この二行は題名とつなげて考えることにより「どんな天気の日であっても、その向こうには明るい未来が確かにあり、それは今は見えないだけである」という、この詩の主題を比喩によって表現してると考えられます。

「波の底には/もっと大きな海が眠っている」も同じです。

目に見える表面的な「波」がどんなに荒れていても、その下には静かで深い「海」が「眠っている」のです。

海は眠るわけがありませんから、これは擬人法です。
自分の中にある海のような大きく深い気持ちが、まだ目覚めていない状態を、これもまた比喩によって説明していると考えられます。

次の「胸の奥で/ことばがはぐくんでいる優しい世界」「次の垣根で/蕾をさし出している美しい季節」「少し遠くで/待ちかねている新しい友達」の三つも対句です。
「~で/~(体言止め)」という形によって読者にインパクトを与えようとしています。

「言葉がはぐくんでいる優しい世界」のある場所は「胸の奥」です。
「胸の奥」は比喩で、個人の内面をあらわします。
難しい言葉で言うと「内言」の世界です。精神世界と言ってもよいでしょう。
私たちは「ことば」によってものを考えたりはっきり感じたりします。いろいろな考えや漢字を「ことば」でつかまえることによって、はじめてそれが何かを知ることができるのです。
そしてすべての「ことば」の後ろには、優しい心が育っているはずだ、ということです。

例えば友だちと喧嘩をしたとします。どんなにののしりあったとしても、胸の奥には「ごめんね」という気持ちがあり、今はその「ごめんね」という言葉が「見えないだけ」である、と作者は言いたいのではないでしょうか。

この二行は「あなたの心には、言葉によって形作られる優しい気持ちが常にある」という意味だと思います。

「次の垣根で/蕾を差し出している美しい季節」の「次の垣根」は、今歩いている道の向こうにあります。
ですから未来の比喩です。
この未来は、時間的・空間的なものです。物理学的な世界ですね。

「蕾」に象徴される美しいけれど未完成なものが、読者に差し出されているのだ、と隠喩を用いて表現されています。

では「差し出している」のは誰でしょう。「季節」です。ですからこれは擬人法です。

この二行は「あなたの未来には『蕾』に象徴されるような美しいものである。」というくらいの意味でしょう。

「少し遠くで/待ちかねている新しい友だち」は、人間関係、つまり社会的な世界を示しています。「友だち」ですから既にあなたに好意的な人物です。
「新しい友だち」ですから、現在のあなたには未知の人物です。あるいは既知の人物かも知れませんが、今後好意的になるはずの人です。

この二行は「自分から少し離れたところには、あなたと友だちになろうとしている人物がきっといる。」という意味です。

これら「世界」「季節」「友だち」それぞれが「優しい」「美しい」「新しい」と、ポジティブな言葉で表現されています。
精神的にも物理的にも社会的にも明るい将来が待っているのだ、と言いたいのでしょう。
「はぐくんでいる」「さし出している」「待ちかねている」と、既に未来に準備され、あなたが気づいてくれるのを待っている、スタンバっている状態であるのです。

ここで注目したいのは「胸の奥」「次の垣根(これも比喩です)」「少し遠く」と、少しずつ距離的に遠くになっている点です。
これは、「まず自分の優しさに気づきなさい、そうすれば運命が変わるよ。そうすればあなたに好意的な人物が必ず現れる」という作者の思想(お説教?)であるとも考えられます。
ですから「はぐくんでいる(既に育てている)」「さし出している(向こうの方から行動を起こしている)」「待ちかねている(待機している)」と微妙に変化しているのではないでしょうか。

第二連

第二連では、これらのポジティブな世界の広がりを「あんなに確かに在るもの」とし、現在はそれが「見えないだけ」であるといっています。
ここからは、素晴らしいものが確かに存在し、それは君のために準備され待っていてくれている。今のあなたはそれがわからないだけなのだ。(だから、未来を信じてまず自分から変わっていこう。)という作者からのメッセージが感じられます。

年度のスタートにあたり、未来に対して前向きに生きていこう、という光村図書なりのメッセージなのでしょう。

ちなみに、この教材は教科書の最初の単元「広がる学びへ」の一つです。他に「 アイスプラネット」と「枕草子」が主な教材として扱われています。ですから、この詩の主題は「アイスプラネット」や「枕草子」と強く関係しています。どのような関係があるのか考えてみましょう。

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3時間目 まとめとしての「黄鶴楼にて~」と「春望」

いよいよ五言律詩です。一時間目の授業で教えた内容を覚えているかから授業をスタートします。
残りあと1時間。今日中に「黄鶴楼にて~」を終わらせてしまわないといけません。
かと言って、知識注入型の授業をやっていたのではダメです。

まあ、研究授業をやるとしたら、ここですね。

この詩で指導しなくてはいけない内容は
  • 「故人」「辞」「煙花」「下」等の字義。
  • 転句と結句の意味。特に結句の現代語訳。
  • 詩の主題
ポイントは「詩の主題」であり、作者李白の心情に迫るあたりでしょう。

手立てとしては、考えさせ、一人一人で考えをまとめさせ、発表し合って更に考えを練り上げる部分が授業の見せ場となります。

しかし、漢字の意味を知らないと、作者の心情に迫ろうにも迫れません。単なる自分勝手な妄想のレベルです。ですから授業の前半はやはり字義をもとに指導をしていきます。

今まで1字ずつ字義から内容を考えてきましたが、「黄鶴楼にて~」では単語で区切って考えさせていきます。

  1. 「故人」は「古くからの親友」の意味であり、現代語とは意味が違うことをおさえる。
  2. 「辞」は「辞世の句」「先生のお宅を辞する」等の用例から退出の挨拶をするという意味であることをおさえ、この詩はどのような状況を表しているか考えさせる。教科書の記述をもとに「いつ・どこ・だれ・何をした」をおさえる。
  3. 「煙花」を「煙火」とテスト等で間違えやすいので注意を促す。
  4. 「揚州」は題名の「広陵」と同じであり、黄鶴楼のある武昌から見て長江の下流にあるため「下」の字を用いていることに気づかせる。
  5. 起句と転句が、「黄鶴楼」「煙花」「三月」「揚州」等、明るく都会的な雰囲気であることをおさえる。
  6. 転句では「孤帆」「遠影」「尽」等から暗い雰囲気に変わっていることに気づかせる。
  7. 転句の情景を考えさせる。
  8. 結句の現代語訳を考えさせる。ポイントは、書き下し文は古文であるためそのまま書いてはいけないことを教えること。「長江の天際に流るるを」と書いたら×。長江が天際に流れるのを」と書いても×。「長江が天際まで流れていくのを」等、長江の流れる方向まで注意して訳さなくてはいけないことを知らせる。
  9. 結句での筆者の姿から心情を考えさせる。
  10. 教科書解説文を読み、主題である「別離の悲しみ」という言葉をおさえる。
  11. 押韻を考えさせる。七言絶句の場合、押韻は起句・承句と結句になくてはいけないことを思い出させる。
この授業でもっとも大切にしたいところは、
  • 親友孟浩然が乗った「孤帆」を地平線のかなたに見えなくなるまで見送っていた李白が、見えなくなったその後でもずっと長江の流れを見続けていた、
その心情を考え合う場面でしょう。
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これがないと、ただの字句の解釈を教科書に沿って教えただけの授業となり、いわゆる国語の力はつきません。

今までと違い、教科書を開かせないことが授業を成立させるポイントです。

教科書には「別離の悲しみ」とありますが、これを自分なりの言葉で表現させるのがねらいです。
予習している生徒もいると思いますが、このような細かなところまで気づいている生徒は少ないでしょう。もし「別離の悲しみ」という言葉を教科書から知っていた生徒がいたとしたら、吹き出し等を用いるように、李白の具体的な言葉で表現させるのもよいと思います。

4時間目 「春望」でまとめの授業をしよう

いよいよ五言律詩です。

律詩ですから押韻の位置と対句をおさえないといけません。
五言律詩は、偶数句に押韻があり、第三句と第四句(顎聯)と第五句と第六句(頸聯)が対句ですが、「春望」の場合は第一句と第二句(首聯)も対句になっています。

この対句と押韻の指導の他に、まとめとして返り点の指導が必要です。

対句の性質がわかれば顎聯と頸聯はなんとか解けますが、間違いやすいのが第八句でしょう。
レ点の二連続は「春暁」にありましたが、ここは三連続となっています。

大まかな字句的な指導をした後で、「春望」の訓読文を書き下し文に直したり、書き下し文を訓読文に直したりする練習をやらせたり、起承転結の四コママンガを書かせたりしています。
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しかしこの四時間だけでは、十分に漢文や漢詩を読解する力がつくとは思えません。
やはりあとは、プリント等による練習が必須だと思います。

いずれにせよ、駆け足で進める単元ですが、手抜きはしたくないと思っています。

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2時間目 

残りあと3時間。「絶句」と「孟浩然~」と「春望」です。
「春望」をやらない学校もあるようですが、ここでは是非やらせたいと思います。
なぜなら、その他は絶句ばかりだからです。それに「春望」は三年生の「おくのほそ道」に登場します。返り点や対句もしっかりあります。この単元のまとめとして触れたい教材です。

「絶句」で指導したい内容は、
  • 対句
  • 「碧」「白」「青」「然」、1~2句と3~4句の対比
  • 「江」「碧」「逾」「然」「看」「又」の意味
です。

ただ講義をすることだけで済ますならすぐ終わりますが、生徒との応答の中から気づきを引き出そうとすると1時間かかってしまいます。
ここは、生徒が漢文嫌いになるのを避けるために、「絶句」は一時間かけてやります。

そこでこの時間も教科書に一役買ってもらいます。

おおまかな展開は次の通りです。
  1. 「江」の字を掲示し、どういう意味か答えさせ、ここでは長江(揚子江)を指すことを教える。
  2. 「碧」の字を掲示し、どういう意味か答えさせ、青緑の色であることを教える。
  3. 「江は碧にして」は、長江の色であることをおさえる。
  4. 「逾」の字を掲示し、「イヨイよ」と読み、「ますます」という意味であることを教える。
  5. なぜ「鳥はますます白い」のか考えさせ、碧との対比であることに気づかせる。
  6. 「欲」の字を掲示し、「ホッす」と読み、「~しようとする」という意味であることを教える。
  7. 「然」の字を掲示し、この字は神への捧げ物として犬の肉を焼く古代中国の儀式を表したものであり、もともと「燃える」意味があることを教える。更に「花が燃えようとしている」とはどういう意味か考えさせ、「花は燃え上がるように赤い」ということから「然=赤」であることをおさえる。
  8. 起句と承句は対句になっていることを教え、律詩には対句の決まりがあることを教える。
  9. 「看」の字を掲示し、手を目の上にかざす姿勢をさせ、どのような意味があるかを考えさせ、「手を出さずに眺めている」状態であることをおさえる。
  10. 「今春看又過」の意味を考えさせる。「今年の春もまた何もできないままで過ぎてしまう」ことをおさえる中で、「又」から、一回だけでなく何年間もそう過ごしてきたことに気づかせる。
  11. 「何日是帰年」の意味を考えさせる。
  12. 教科書を読み、「碧・白・青・然=赤」は「南国の春景色」であり、「故郷の明るい春景色の中で、悲しみに沈む作者の姿」が対比的に描かれていることをおさえる。
  13. 「然」と「然」が押韻であることをおさえる。
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板書したり、指名したりしながら生徒に気づかせていく授業を展開すると、これで一時間かかると思います。

この詩には返り点がありません。時間が余ったら返り点の練習プリントをやらせてもよいでしょう。

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Missyon Impossible

昔々「スパイ大作戦」というアメリカのテレビ番組がありました。
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アメリカ政府が手を下せない極秘任務を遂行するスパイ組織IMF(Impossible Missyon Forse)の活躍を描くアクションドラマです。毎回「当局」からオープンリールのテープレコーダーでメンバーに指示が届き「君もしくは君のメンバーが捕らえられ、あるいは殺されても、当局は一切関知しないからそのつもりで。なお、このテープは自動的に消滅する。」という台詞と同時に、そのテーブレコーダーが爆発する、というシチュエーションは、その後の様々な番組に影響を与え、パロディーを生みました。

この「Missyon Impossible」とは「実行不可能な指令」という意味です。「当局」の無茶振りの指令を奇想天外な方法で解決していく、というのがこの番組の醍醐味でした。

いよいよ本格的な漢文の学習となります。しかし光村図書では、この「漢詩の風景」に3時間、三年生の「学びて時にこれを習ふ(論語)」で2時間という指導時数となっています。漢文・漢詩の読解に必要な返り点等の知識は一年生「今に生きる言葉(故事成語)」で2時間で扱ってある、ということになっています。
三年生の復習テストや、塾などの模擬テストのことを考えると、この「漢詩の風景」である程度の力をつけておかなくてはいけません。

しかし、はっきり言って、無理……Missyon Impossibleです。

入試問題を見ると、返り点についてもレ点と上中下点が複合している問題はもちろん、一レ点や否定文字、再読文字等が出題されています。
文法事項もそうですが、入試を考えた場合、教科書の扱いや指導時数には?がつくことがたくさんあります。
だからこその入試改革なのかも知れませんが、これでは古文離れや文学離れが進んでもしかたがありません。
そもそも、こういう基礎知識なしで、どうやって新しい知識を創り出そうというのでしょう。

と愚痴を言ってもしかたがありませんから、どうやってやっているか説明します。

1時間目前半 テンポ良く進めよう

入試や定期テストを考えた場合、生徒に教えなくてはならない基礎的事項には、以下のものがあります。
  • 「白文」「訓読文」「書き下し文」と、返り点等の漢文読解に関わる知識
  • 「五言絶句」等の形式や「起承転結」といった構成法、またそれらと関連する対句・押韻
そこでまず、「春暁」で「白文」「訓読文」「書き下し文」の説明と、返り点等の関係を説明します。

  1. 「春」の字を掲示し、どういう意味か答えさせる。
  2. 「眠」の字を掲示し、どういう意味か答えさせる。更に「春眠」でどういう意味になるか考えさせる。
  3. 「不」の字を掲示し、どういう意味か答えさせ、何かを否定する字であることをおさえる。
  4. 「覚」の字を掲示し、これは「はっきりわかる」「目がさめる」という意味があることをおさえる。更に「不覚」で「わからない」「目がさめない」という意味になることをおさえる。
  5. 「暁」の字を掲示し、どういう意味かを答えさせ、「夜明け」という意味であることをおさえる。
  6. 「不覚暁」でどういう意味になるか考えさせ、「夜が明けたのがわからない」という意味になることをおさえる。
  7. 「春眠-不覚暁」とつなげると、どういう意味になるかを答えさせる。
  8. 「春の眠りは、夜が明けたのもわからない」のはなぜかを考えさせ、答えさせる。
  9. 「春眠不覚暁」の順番でなく、送り仮名をつけて順序を入れ替えれば漢字仮名交じり文として「春眠、暁を覚えず」と読めることを教える。
  10. 返り点をつけ、「白文」「書き下し文」「訓読文」の関係を教える。
生徒の考える力を育てるためには、この流れをゆっくりやりたいところですが、これに時間をかけていると『春望』までたどりつきません。15分程度でテンポ良く片付けたいところです。どんどん指名し、ノリで授業を進めます。

1時間目後半 「春暁」で漢詩の基礎知識をおさえよう

一時間目の後半では「春暁」を使って、漢詩の形式と構成法・押韻と、返り点の打ち方(読み方)の指導をします。

ここでフル活用するのは教科書の解説部分です。
  1. 「処々聞啼鳥」を掲示し、「泣」「鳴」とは違う「啼」の意味を教え、どんな意味になるか、前の行とのつながりで考えさせる。
  2. 一行目のレ点と、二行目の一二点の使い方を教える。返り点の知識は、一年生で教えたと言っても、生徒はほぼ忘れてしまっていますから、その復習です。
  3. 「いつ」「どこ」を考えさせる。一行目から春の朝と言うには少し遅い時間であること、「聞」とあるので実際の風景は見ていないため、寝床の中であることをおさえる。
  4. 「夜来風雨声」を掲示し、急に暗く不安なイメージの字が登場したことに気づかせる。「来」には「~以来ずっと」の意味があることを教え、どんな意味になるかを考えさせる。
  5. 「花落知多少」を掲示する。
  6. 「花落」を前の行とのつながりで「ああ、昨晩の風雨で花が散ってしまったのかな」と考える生徒が多いので、「花」は桃の花であることを教えるのと同時に「散った桃の花が地面に敷き詰められて、地上も樹上もピンクに染まっている」ことをおさえる。「知多少」は様々な訓読法があるので軽く流し、教科書の解説文に移る。
  7. 教科書の解説文を範読し、大切なところに傍線をひかせる。傍線をひかせるは「明るくのどかな気分」「四句から成る漢詩を、絶句」「『起承転結』という構成法」「起句」「承句」「転句で、場面が転換」「全体を締めくくる結句」「春の朝の気分」です。
  8. 漢詩の形式と漢詩の構成法を板書し、まとめる。ここでは「五言絶句」「五言律詩」「七言絶句」「七言律詩」をおさえる。
  9. 漢詩には押韻があることを教え、各形式には決まった句に韻がふんであることを教える。「春暁」の場合は、原則以外に一行目にも押韻があることを教える。
ちなみに「啼」ですが、妖怪の子泣きじじいは児啼爺とも書きます。
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妖怪のなき声を鳥獣のそれに例えているのですね。赤ん坊だって悲しくて泣くのではありませんから、この字を使うのかもしれません。

ここまでを一時間で終わらせることができたら、たいしたものだと思います。

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「漢詩の風景」を自習で進めていけるプリントをBOOTHにアップしました。
是非参考にしてください。

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動詞で教えることは多くはありません。
しかし、何回やっても、なかなか点数のとれない生徒がいるのも事実です。

学習には、
知らないことを知る段階と、
知っていることができるようになる段階とがあります。

動詞の学習でおさえたいことは、
  • 動詞は終止形がウ音となり、語幹と活用語尾に別れ、活用形により後に続く言葉が決まっている。
  • 活用形は未然・連用・終止・連体・仮定・命令の五種類である。
  • 未然形の「~ない」直前がア音なら五段、イ音なら上一段、エ音なら下一段、「来る」ならカ変、「する」ならサ変である。
  • 五段活用連用形には撥音便、促音便、イ音便及び可能動詞がある。
  • 自動詞と他動詞、可能動詞は似た意味を持っているが、活用の種類が違うので異なる単語である。
  • 述語を問われた場合、補助動詞を答える。
くらいのものだと思います。

しかし「なぜそうなるのか」という問いに答えることはできません。
もし真面目に答えようとするならば、大学以上で年間あるいは半期で講座を組む覚悟がいるでしょう。
「なるものはなる」としか教えようがありません。

しかも文法論はいくつかあって、学校で教えているものは「学校文法」と言われるものです。
大学に行ったら、他の文法論の勉強もしなきゃいけません。(文学部等へ進学したらですけどね。)

高校では古典文法をやりますが、学校文法がどのくらい役に立つかは疑問符がつきます。

なら、やらなきゃいいじゃないか、ということになりますが、
しっかり毎年高校入試に出題される以上、私たちも気合いを入れて教えなくてはいけないわけです。
ですから、2年生の定期テストでは一回につき10点以上の配点で文法問題を出すのですね。

話が少し横にそれました。

大切なことは、
「知っている」状態にしたら、「忘れてしまう」状態になる前に、
「できる」状態にまで高めること。
訓練あるのみなのです。

小学校で九九の学習をするとき、
最初は確かに仕組み等を教えますが、
仕組みがわかった段階で、小学校の先生達はひたすら暗記をさせます。
そうでないと、九九の知識は使い物にはならないからです。
それと同じです。

8割の生徒が、8割以上正解を出せるまで
毎日小テストを繰り返しましょう。

はっきり言って、各校で使っているであろう「文法ノート」等では問題数が少なすぎます。
「文法ノート」のおまけの小プリントではたかが知れています。
しかも、編集方針や難易度が本によってまちまちなのはご存じの通りです。

そこで私はこのような問題を作って、毎時間できるようになるまでやらせました。
また、ネットの中には、フリーの問題もたくさん転がっています。

文法はこのようなものがたくさんあります。
しかも、2年生に集中しています。
計画的に進めていく必要があると思います。

このような問題は、順次UPしていく予定です。
どうぞご利用ください。

入試直前にどうこうしようと思っても、
費用対効果が悪すぎる学習ですからね。

今のうちにしっかり身につけさせてやる必要があると思います。


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