十種神宝 学校の基礎・基本

公立の義務教育の学校に永きにわたりお勤めだった稗田先生の、若い先生方への昔語りです。学習指導要領や、それに伴って変わってきた先生たちの意識や授業のことなど、教育現場に起こってきた今や昔のことどもを書き記していきます。

 義務教育の現場に長くお勤めだった稗田先生からお聞きしたことどもを、拙いながらもまとめてみました。
 不易流行という言葉があります。この、教育の"流行"の中から、自分だけの"不易"を見つけていただければ、これに過ぎる慶びはありません。
                                   十種神宝 主人 太安万侶

 このブログで紹介した教材の学習プリントをおわけします。興味のある方はご覧下さい。https://kandakara.booth.pm/

生徒指導

学級によって異なるローカルルールがあることは生徒だって知っています。
ですから四月当初は、「○○はしていいですか?」「○○はどうしたらいいですか?」と聞きに来る生徒が多いと思います。
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その都度判断に迫られるため、その場であまり考えずに答えてしまうことがあります。これが、他の生徒が同じようなことを聞いた時に違うように答えてしまう原因です。
また、このくらいは自分で考えて欲しいと思い「自分で考えなさい」と言うこともあるでしょう。「自分で考え」た結果、生徒はみんな同じ結論を出すとは限りません。
結局「先生はブレている」と思われてしまいます。

しかしこのように単純に質問してくる生徒は、素直で良い生徒だと思います。
中には、新しい担任が決めた基準に対して「前の先生は○○だったよ」という生徒もいるでしょう。
この場合は「ヨソはヨソ、ウチはウチ」と言い放ち、ルール破りに対しては毅然として対応しましょう。
(これは一年生の最後に「来年は新しい担任のルールに従うように」と言って欲しいことでもあります。)

更に注意しなくてはいけないのは、「先生、提出物は明日でもいいですか?」というように、わかっていることをあえて微妙な言い回しで質問してくる場合です。
これは「先生は良いと言った」という言(げん)質(ち)をとるための質問です。
これに対しては毅然とした対応が求められます。

対策としては、予想される質問に対し、あらかじめどう答えたらいいのかしっかりと準備することです。
これは指導案の「予想される生徒の反応」の考え方と同じです。生徒目線に立って考えればよいのです。
そして「これは」と思うものは、成文化して全体に提示してしまいましょう。

これが最もローリスクでできるのは四月当初しかありません。
どのようなことを決めておかなくてはならないかは、実際に生徒目線に立って、経験していって欲しいと思います。

しかし、みなさんにとって予測できないことも多いと思います。
判断に困るような時には、すぐに答えずに時間を置くようにしましょう。

「ちょっと学年の先生に聞くまで待っていて」と、少しだけ時間を伸ばします。
その後、学年の先生達に確認をすれば、たいていは明確な基準を示してくれるはずです。

生徒の質問にすぐに答えられないのは信頼してもらえないかも、と思うかも知れませんが、誤った判断を下すよりもずっといいと思います。
自分の判断が間違っていて、一度許可してしまったことを取り消すことは、膨大なエネルギーが必要になります。
「えー、先生はこの前いいって言ったのに……」と教師の「判断がブレる」ことこそが、教師への信頼感を少しずつ失わせる原因の一つです。

それでもルールの変更をしなくてはいけない時があります。
その時は正々堂々と全体の場で伝えることです。

初期のルール設定が終わってそれに慣れた時期に、生徒が「先生、○○してもいいですか?」と聞いてくることがあります。
学級の状況や生徒の気持ちは刻々と変化していきます。その中で生徒自身が判断に迷っているのです。
「ルールを設定していないから設定して欲しい」あるいは「一度定めたルールを違う形にしてよいか」ということを聞いていることになります。またカースト上位の生徒が自分に都合の良いようにルールを変えようとしている場合もあります。

いくらもっともな話でも「では、そのようにしよう!」とその場で答えてはいけません。

この段階では、話をした生徒にとってルールは変わっていますが、それ以外の生徒にとっては以前のルールのままだからです。
そのため「ルールの変更は全員が聞いている場で行う」必要があります。

良い提案をしてきた生徒には「では、後でみんなの前で確認をするからね。」と伝え、帰りの会など全体の場で、全員にルールを変更することを伝えます。

この様な手続きをとれば、「不公平だ」などと言われることは減っていくと思います。

生徒たちに不公平感を感じさせないこと、正直者にバカをみさせないこと、自分の担任の先生は公明正大であり正義の味方であることを印象づけるために、一瞬でも気を抜いたら負けなのです。

                                                                              ……よいお年を。
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二年になって担任が新しくなり、集団がうまく機能しなくなる場合があります。

いくつかの原因があると思いますが、「ルール」に着目して考えてみたいと思います。
なぜなら、集団がうまく機能しない原因として考えられるのが「ルールが崩れていく」という点に一つの原因があると思うからです。

学校には、さまざまなルールがあります。例えば「1時間目は8:45~9:35」という時間に関するルール。このような明文化された内容は、明確に掲示物などによって示されたりチャイムによって知らされたりするため崩れにくいものです。

逆に崩れやすいものは、明文化されていないルールです。

例えば「チャイム着席」は「チャイムが鳴り始めたときか、鳴り終わったときか」という判断(リレースイッチのタイムラグにより、設定した時刻の3~7秒後にチャイムは鳴り始めるので、鳴り始めた時は既に遅いというのが正解です)などの、担任が自分のクラスの中で基準を設定しなければならないような場合です。

割り箸やマスクを生徒に貸し出した場合について考えてみましょう。

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「返却する」というのは学年会等で統一されたルールです。

ある生徒に「明日返しなさい」と言い、違う生徒に「いつでもいいよ」と言えば、生徒は「不公平」「ずるい」「人によっていっていることが違う」と思うでしょう。

ならば、「明日」は無理なので「いつでも」でいいかというわけにはいきません。
「いつでもいい」とは「持ってこなくてもいい」のと同じことです。
学年としてのルールを担任が「守らなくていい」と言ったことになります。

そして気がつくと、カースト上位の特定の生徒が借りた割り箸やマスクを返さないようになり、次第にそれが学級全体に広がります。(スタートがカーストの上位生ですからね。)

では、どのような対応がよいのでしょうか。

「三日以内に」「一週間以内に」と期限を切り、締め切りの前日にきちんと声がけするという指導が必要でしょう。
また約束の期日を守らなかった生徒に対しては「生活ノート」にその旨を記し「お家の人にこれを見せて明日持ってきなさい。できない場合はその理由をお家の人に書いていただきなさい。」と言います。

「え、そこまでやるの?」と思うかも知れません。

しかしこれをやらないと悪弊がはびこり学級が崩れていくもとになるのです。

そしてこのような指導は、最初に(特にカースト上位生に対して)やるからこそローコストでハイリターンが期待できるのです。

年度の途中でこのような指導を行うのは「今までと言っていることが違う」と思われ、確実に抵抗する生徒がいるでしょう。
これではハイリスクローリターンな指導になってしまいます。

まず目指すべきは、絶対に「真面目で正直な者ほど損をする」学級にしてはいけない、ということです。
これは、いじめのない学級の必須条件でもあると思います。

正直者がバカを見ない学級であることを保証できるのは学級担任しかいません。
そしてそういう学級であることを担保するのは、カースト最上位者である学級担任が「正義の味方」であり、生徒との信頼関係が成立していることです。

「不公平」「ずるい」「人によっていっていることが違う」という気持ちに信頼関係はありません。
信頼できない担任の言うことなど本心から聞くわけがありませんから、徐々に「聞こえなかった」「自分が言われているとは思わなかった」といって、指示に従わない生徒が増えてくるでしょう。

人間は弱い存在です。モラルは下へ下へと流れていきます。

まず学校や学年としての決まりを遵守させること。
そして担任が判断基準を示せばよい内容の場合は一度示した基準は変えないこと。

これを最も確実に効果的に指導できるのは学級編成直後の三日、一週間、一ヶ月間しかありません。

連休前までは決して気を抜いてはいけないのです。

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今年は一年生の学級担任で、春休みに学級編成替えがあり、来年は持ち上がりで二年生の担任になる場合もあります。
このような場合、新入生と比べ既にある程度生徒たちを知っている、というアドバンテージがあります。
しかしこれはそのままではメリットにはなりません。

そうでなくても、全てが初めての経験で緊張した一年間を過ごす一年生と、生徒会に部活にと中心的な役割を果たし最後には人生最大の選択である高校受験がまっている三年生とに挟まれ、「中だるみの二年生」と言われます。
実際には、二年生は夏休み前から部活の中心として活躍する立場となり、2学期後半からは生徒会を引き継ぎ、修学旅行に向けての活動があり……二年生だってとても大変なのですが……こんなことは口で説明しても生徒は実感できません。

ですから二年生の学級担任になったら、今まで以上に学級の雰囲気をよりよいものにしていかなくてはいけません。
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教師は授業が勝負

新年度が始まる三月~四月は、様々な事務仕事に時間が割かれます。

そして新しい学級に関わる仕事量は新入生の場合とまったく同じです。
一年生の先生が新入生を迎える春休みにしなければいけない仕事は本当にたくさんあります。そして新二年生の学級担任になるにあたり、それとほぼ同じ仕事があるのです。

新二年生のどのクラスになるかはわからないにせよ、学年主任にお願いして、学年組織でさっさと仕事を進めておくようにします。

とは言っても三月中にできる仕事とできない仕事というものがあります。また、四月に入ってから入学式までにできる仕事とできない仕事があります。そして全ての仕事には締め切りがあり、慣れないうちはどうしても仕事がたまっていきます。「あの書類はまだ?」と担当の先生に言われると、どうしてもそちらを先にやるようになります。

そうしているうちに、本来、大切にしなければならない授業の準備に時間を割くことができなくなってきてしまいます。そうすると当然、授業の質が下がります。
新入生ならば「中学ってこんな授業をするんだ」と一生懸命取り組んでくれるでしょうが、すでに中学の授業を受けてきた新二年生は、あなたの授業の質的低下を簡単に見破ります。

これに文句を言うのは主に保護者です。
生徒はその代わり、授業中の落ち着きがなくします。
いくら一年の時に親しみを持って接してくれた生徒も、毎回の授業がつまらければ、教師から離れていってしまうのです。

そこで大事になるのが、様々な仕事に優先順位をつけることです。
このやり方については「困難は分割せよ」のスケジューリングのしかたで説明しました。

前回までに説明した、コストパフォーマンスを考え、自分の仕事を適正にマネジメントしていくことが、みなさんには求めらるのです。

優先度の高いものを次に掲げます。
  • A:優先順位の高いもの=次の日の授業の準備、けがや病気への対応、生徒同士のトラブル 等
  • B:比較的優先順位の高いもの=「進級おめでとうテスト」等の採点、家庭訪問のスケジュール決めや保健関係の書類提出 等
  • C:優先順位の低いもの=廊下の壁に生徒の作品を貼ること、氏名印を押すこと 等
Cの「あまりエネルギーをかけないでよいもの」ほど、簡単で、ともすると自分で「やった」感があるため優先順位を高く設定しがちですが、生徒が成果を理解できる程度に、できる限り効率よく時間をかけずにやることをお勧めします。

大切なのは「授業について考える」ことです。

授業に間に合わないので去年作ったワークシートをそのまま使うのでは、あなたの授業は去年以下のレベルと生徒に判断されます。
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教師の最も重要な仕事は授業をすることです。
なぜなら、生徒と最も多く接する時間は授業だからです。

この大切な授業を充実したものにするために、最近「授業力」という言葉が使われています。
授業力の定義はまだ定まったものがないようですが、とりあえず「子どもたちの確かな学力を保障する力」として捉えたいと思います。

生徒一人一人が安心して学校生活を送り、学習意欲や自信を持つためには、教師と生徒、生徒同士の好ましい人間関係を築くとともに、生徒がわかる・できる授業づくりを積み上げていくことが不可欠です。
そして授業中の発言がたとえ間違えたものだったとしても、しっかり位置づけ「君の考えによって私たちの学習が一歩前進した」「そんなことまで考えついたなんてすごい」というように、発言した生徒自身が教師や生徒から認められ評価されるというような「自己有用感」を高めていくことが大切だと言われています。

そこで教師は、児童生徒が「自己有用感」を高められるような学級・学習集団づくりを行うことが「授業力」の基礎となります。

この「授業力」を構成するものとして、東京都では
  1. 使命感 熱意、感性
  2. 児童・生徒理解
  3. 統率力
  4. 指導技術(授業展開)
  5. 教材解釈、教材開発
  6. 「指導と評価の計画」の作成・改善
の6つの要素を挙げています。

「授業力」には、その人が持って生まれた資質もあると思います。
例えば容姿端麗であれば生徒からの好感度は高いでしょうし、声が大きく滑舌がよければ指示も通りやすいでしょう。明朗快活な性格ならばポジティブな人間関係を構築しやすいと思います。

ならばそういう人にしか高い「授業力」を求めることはできないのでしょうか。
逆に、資質があるからといって、授業がうまくいくとは限りません。

昔々『キン肉マン』というマンガがありました。(今も続いていますけど……)
キン肉マン1210© ゆでたまご/集英社
その中の「夢の超人タッグ編」に登場したのが、モンゴルマン(ラーメンマン)とバッファローマンのタッグ「2000万パワーズ」です。
ここでいう「パワー」とは超人強度のと言って持って生まれた力を示す単位です。『ドラゴンボール』に登場するスカウターで表示される戦闘力のようなものですね。

「2000万パワーズ」と言っても1000万パワーのバッファローマンと100万パワーしかないモンゴルマンでは、合わせても2000万には遠く及びません。
しかしモンゴルマンは「パワー不足を補ってあまりある1000万の技がある」と言い、1000万のパワーと1000万の技を合わせて2000万パワーになるのだ、と大見得を切っています。

ed410436-caac-4ac7-adb2-f309446e3918©ゆでたまご/集英社
「授業力」もこれと同じです。

若いみなさんにはバッファローマンの1000万パワーくらいはあると思います。
しかしその多くは「若さ」という力です。

この力は生徒との距離を縮めることができる力です。
生徒に気軽に話しかけ、生徒も先生の話をよく聞いてくれるます。
また既成概念にとらわれず新しいことにチャレンジするということも可能にします。
ドラマやノベルに登場する若い先生の立ち位置ですね。

しかし「若さ」は失われていく力です。
失ってしまうまでに「若さ」に代わる力は何かを考え、見つけて欲しいと思います。

そしてそれ以上に「若さ」を補って余りある、授業での1000万の「技」を身につけて欲しいと思います。

そのために「授業力トレーニングテキスト」などのセルフチェックが大切だと思います。

自分の日常の授業をしっかり振り返り、みなさんにとってのカメハメ殺法の基礎としてください。


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生徒任せにしない

「一ヶ月で全員にリーダーをさせるというのは無理なのではないか」という質問を受けましたのでお答えします。

例えば日直当番などはその日の学級のリーダーと言えます。給食の挨拶をする生徒もその時のリーダーです。提出ノートを集める生徒もリーダーです。
リーダーとは「使命感を持ち、全員を動かす権限が与えられた者」です。

例えば教室がうるさい時、日直の生徒が「静かにしてください」と呼びかけたとします。
声が小さければ「もう少し聞こえる声でいいなさい」とアドバイスしてやる必要があります。
それでも聞かなかったとすると「リーダーには従うこと」を全員に教えてあげなくてはいけません。

権限を与えたのは生徒たちですが、その権限を最終的に保障することができるのは教師しかいないからです。
「係が『静かにしろ』と言っても言うことを聞かない」のは、最終的に教師の指導不足の結果で、責めを負うべきは教師であると思います。
もしこれを係生徒の責任にすれば、誰も係をやりたがらなくなりますよ。

提出ノートを集める係も、ただ集めるだけならばリーダーではなく、単にお手伝い係です。
提出しない生徒に呼びかけたり、目標を決めてそれを達成しようとしたりしたときに、初めてリーダーとしての自覚が生まれます。
教師はそれをきちんと指導しなくてはいけないのです。

そしてそのためには、最初はきめ細やかな指導が必要です。
そしてその指導が最も有効に作用するのが一年生の最初なのだと思います。

更にルーム長級や班長級のリーダーには、これらの学級の係や当番の活動に対して、計画を立てたり、指示をしたり、評価する権限を与えていきます。
更に練度が増すと班を決めたり、清掃分担などを割り振ったりする権限も与えていきます。修学旅行などのバスの座席を決めることもそうですね。

いわゆる教師の権限の委譲です。

ここで大切にしたいのは活動を生徒任せにしないことです。
班長やルーム長を決めた後に「あとは自分で考えてやれ」と言われても、これはハイレベルな要求です。鍛えられた3年生でどうにかいける程度でしょう。

使命感が育っていないリーダーがいた場合は間違いなく失敗します。
それ以上に、生徒にとって、持ち上げられた後に見放されたような気分だまされたような気分になるかも知れません。
とどめに班や学級で問題がおきたとき、リーダーの責任とかを追及すればもう、その生徒は二度とリーダー的な役割は引き受けなくなります。
決めた後に教師がやり直しを命じても同じで「そんなら最初から先生がやればいいじゃん」となります。

ですから最初は、教師がリーダーの中に入り、教師主導でやりましょう。
リーダーがいわゆる傀儡となってもかまわないと思います。

教師がリーダー生徒にぴったりくっついて、やり方を指導するのです。
山本五十六ではありませんが
  • やって見せ、言って聞かせて、させて見せ、誉めてやらねば、人は動かじ
です。

最初は時間も手間もかかりますが、リーダーへの指導をリーダー以外の生徒も見ています。

教師が明るくてきぱきと指導してくれて 成果が上がれば、リーダーは楽しくなってきます。
そしてやってるうちに、これなら自分もできるなあと感じれば 自信もついてきますし、教師に評価されればうれしいくなるでしょう。
更に相互評価の時間や場面を意図的に設定して同級生から評価されたら、もっと自信がつきますしうれしくなります。いわゆる「振り返り」の活用ですね。

ただし、教師が主導する以上、失敗することは許されません。
そのつもりで気合いを入れていきましょう。

うまく軌道に乗ってきたら、だんだん手を離していくのです。

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リーダーの経験を全員に積ませ、リーダーの何たるかを理解させておきますが、やはりリーダーにふさわしい生徒は必要です。
各学級でルーム長級が1~2名、班長級が6名以上欲しいですね。
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このメンバーが二年生の二学期末には生徒会執行部候補、委員長・副委員長候補として登場します。

長期のスパンで学級経営を見通し、リーダーとなるべき生徒に目星をつけ、ルーム長や班長として育てていくのが学級担任の仕事です。
ただし本当のリーダーは教師に任命されてなるものではありません。クラスの全員がそれを認めなくてはその生徒にとって不幸な結果となります。
そのためにも、全員にリーダーとしての経験を積ませ、リーダーの役割や仕事を理解させておかなくてはいけません。
その上で「誰が自分たちのリーダーとしてふさわしい人間か」を考え、多くの生徒たちから認めらることにより、本当のリーダーが育っていくのだと思います。

リーダーを決める

まず私たちは最初、簡単な活動の中で活動の中心になる生徒に目星をつけます。
しかし、この時点では表面的な目立ち度によるもので、カースト上位の生徒をピックアップしているに過ぎません。
隠者のようにスクールカースト下位層に隠れているリーダー候補生もいます。

リーダーの素質を持つ生徒は優秀です。
活動の意義が理解できていますし、見通しを持って効率よく計画を立てたり、公正・適切に分担ができたり、議論するための文章作成能力や言葉を持っています。

持っていないのは使命感です。

頭がいいだけに、リーダーの大変さを理解し、必要もない苦労はしたくありません。
「別に自分がやらなくてもいいでしょ」と思っているのです。

こういう生徒を引っ張り出すことが担任の使命です。

実際にリーダーの活動をやってみたり、他人の様子を見たりして「あれならやれる」「あれならやりたい」「自分がやらなきゃだめでしょ」と思わせるように、ブルームの「期待説」をフル活用し、その生徒のモチベーションを上げていかなくてはいけません。
全員にリーダーをやらせる意味は、ここにもあります。

リーダーの選出にあたっては、ルーム長級はもちろん、班長級であってもやはり、クラスの全員が納得する必要があります。
自分から進んで立候補するくらいにモチベーションが高まっていればいいのですが、なかなかそうなりません。
その時は本人を直接説得したり、まわりの生徒に説得させたりします。いわゆる根回しです。これは別に悪いことではありません。大人の社会では当たり前にやっていることで、むしろ大人として、教師としてできないことの方が問題があると思います。

もしその生徒が出てこなくても、やる気があったり、ノリが良かったり、使命感がある生徒が立候補で名乗り出るように誘導していきましょう。

とりあえず教師主導の活動にのってくる生徒をリーダーとして活動させるのです。そういう生徒をしっかり指導し、使命感を植え付けていけばよいのです。

大切なのは「教師主導の活動に対して」という点です。
何度も言いましたが、教師はカーストを超越した存在か、最低でもカースト最上位でなくてはいけません。
そしてその地位を得るために私たちは「授業力」を向上させ、有無を言わさなぬ授業の実力を発揮しなくてはいけないのです。

定員より多く立候補があって選挙になると最高ですが、誰もでてこなかったからと言って、選出の際くじ引きやじゃんけんなど、偶然に任せるのは絶対にだめです。
また言うことを聞きそうなおとなしい生徒を生け贄にするような行為は絶対に許してはいけません。裏に「影のボス」でもいたら最悪です。

この一連の活動は、全員にリーダーを経験させるだけでも一ヶ月以内に終わらせなくてはいけません。

一年の年度当初なら、連休前までにリーダーの経験をさせ、同時に本当のリーダーに育つ素質があるのは誰かを見極めるのです。
同時に生徒との信頼関係を高めていくことが必要です。
二年生では一学期中に本当のリーダーを育てておかないと、生徒会長や委員長を選ぶときに悩むことになります。

小学校なら一日中児童と接していますから比較的やり易いのですが、中学校では休み時間や給食・清掃、朝や夕方の学活等が勝負となります。

心していきましょう。


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モチベーションの高さ=目標の魅力×達成可能性

モチベーションの高さ=目標の魅力×達成可能性であるというブルームの「期待説」に基づき、小笹芳央氏は『モチベーション・リーダーシップ 組織を率いるための30の原則』(2006 PHP新書)の中で「目標の魅力」と「達成可能性」それぞれについて、四つの要素を考えています。これを学級経営に置き換えて説明します。

何度も言いますが、最初からリーダーである生徒はいません。経験を通してリーダーになるのです。
いつリーダーになってもよいように、日常から全員にリーダーの役割をふってその仕事に慣れさせていく必要があります。

本当は小学校からこのような指導をしておくべきだと思います。

次の点に留意してモチベーションを高め、いつリーダーになっても臆さない生徒たちを育成していきましょう。

「目標の魅力」値を高める

1 ラダー効果
与えられた仕事と学級目標などの上位の目標との関係を示すことで、仕事に意味を持たせます。
今の仕事は雑務ではなく、これをやれば学級目標などに近づくのだということをわからせるのです。

2 オプション効果
やり方など具体的なことは生徒に選ばせます。(考えさせるのではありません。)
何かを「選ぶ」という行為はモチベーションを向上させます。
自分で選ぶことによって満足度、納得感を高め、自己責任の意識も生まれます。逆に自分で「選べなかった」ものに対しては満足感や納得感を得ることができず、責任意識の芽生えません。

3 サンクス効果
自分は全体に貢献しているという実感をもたせます。
具体的に「誰に・どのように」貢献しているのか「誰の・どんな活動と・どのようにつながっているか」などを説明し、リアリティをもたせます。

4 スポットライト効果
全員の前で具体的に褒めることによって、注目させ主役にします。この時なるべくその生徒の名前を言うことで大きな効果が期待できます。

「達成可能性」値を高める

1 マイルストーン効果
マイルストーンとは一里塚のことです。途中の目標を示すことで「何をいつまでにやればよいか」がはっきりとわかり、この積み重ねをしていけば最終的な目標や成果に近づくという安心感を与えます。技術・家庭科や美術科などの作業的な学習でよくやる手法ですね。

2 フィードバック効果
取り組みや結果を評価します。「自己の客観的な評価を知ること」は向上へのモチベーションを刺激しますし「先生はちゃんと見ていてくれる」という信頼も生まれます。

3 ロールプレイング効果
「自分ではない誰かの役割を疑似体験させることで、他所あの視点を獲得させる」というロールプレイングの手法です。
「自分がリーダーだったら」「自分がリーダーから何か言われる側だったら」と、違う立場の者になりきらせると、新しい視点が生まれ、協調性も身につきます。

4 ナレッジ効果
   みんなでノウハウを共有します。すると、その生徒にとって初めて取り組むことでも、前例があるので安心です。
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これらをうまく組み合わせ、リーダーになった生徒に「やってよかった」という気持ちを持たせ、誰がいつリーダーになってもよいようにしておきましょう。

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『ガラスの仮面』(美内すずえ)というマンガがあります。1970年代に始まり、途中休載期間を除いても40年以上続いてまだ完結していない『こち亀』以上のバケモノです。

(そういえば魔夜峰央の『パタリロ』も長いですね。少女マンガは月刊なので息が長いのでしょうか。)

主人公は平凡な一人の少女、北島マヤです。彼女は演劇への熱い情熱をたぎらせ、才能を開花させていきます。そして演劇界のサラブレッド、姫川亜弓と競いながら幻の名作「紅天女」を目指すという物語です。
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©美内すずえ/講談社

北島マヤは「恐ろしい子」と言われるほど優れた演技の才能を持っています。
しかし、クラスのリーダーになる生徒というのは、私たち教師と同じで生まれ持っての才能は関係ありません。
「役割を演ずる」という点から考えるとリーダーシップを発揮できる生徒というのは「自分の役割であると認識している」生徒ならば誰でもできることだと思います。私たちと同じく「立場」が人を作るのです。

ハイリスク・ローリターンであるリーダーの役割を演じさせるためには、リーダーという「立場」を理解させ、モチベーションをあげてやることが大切だと思います。(私たち大人でも同じですよね。)

「ああ、面倒な仕事だったけど、やって良かったな」というやり甲斐を感じれば、次も「やってもいいかな」と思うわけです。逆に言えば、私たち教師は、生徒にM機能をメインにしたクラスのリーダーをお願いする以上「やった甲斐」を感じてもらえるようにする責任があると思います。

モチベーションとは「何か目標とするものがあって、それに向けて、行動を立ち上げ、方向付け、出される力」です。そもそも目標がないものに対してモチベーションは起こりません。

モチベーションにおける基本的な理論として、以前「マズローの欲求階層説」を取り上げました。これは、アメとムチの「アメ(欲求)とは何か」を考えたものです。
クラスのリーダーの場合、友達から誹謗中傷されない・浮かないという「安全の欲求」を満たした上で、「社会的な欲求(所属や友人から賞賛される)」や「自尊の欲求(自らが他よりも優れていると感ずる)」を与えてやればよいのです。

また、V.H.ブルームは「期待説」を唱えました。
努力すれば相応の成果が得られそうだという期待と、その成果がその人にとって価値があるという要素の二つを掛け合わせたものが、モチベーションの強さを表すというものです。

例えば「定期テストのために一週間だけ頑張る」といったことです。少しの努力をすれば手に入り、しかもそれが自分にとって必要なものであるほど、それを得るために人は動機づけられ行動します。
しかし「自分は運動で高校進学するつもりなので教科の成績は関係ない」と目標の価値を低く考えている場合にはモチベーションが生まれません。

期待と価値の二つの「積」と考えたところがポイントです。

他にも、自分が周りと比較して公平に扱われているかどうかがモチベーションに関わるとする「公平説」や、お金や物などの褒美で動機付けしたり、罰する叱るなどのマイナスのモチベーションを動機づけたりする「学習説」があります。

次回は、「期待説」を中心に、どのようにしたら生徒のモチベーションを上げていくかを考えてみましょう。
これは、リーダーシップをとる生徒に対してというよりも、学級全体のモチベーションをあげる方法でもありますから、参考にしてください。


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2019年11月25日の朝日新聞(ネット版)に「SNSで事件被害、少年少女1,811人 どう防ぐか?」という記事がありました。少し長いですが引用します。

大阪市住吉区の小学6年の女児(12)が行方不明になり、栃木県小山市内で保護された事件で、未成年者誘拐の疑いで逮捕された伊藤仁士容疑者(35)はSNSを通じて女児に接触し、誘い出したとされる。子どもがSNSのやりとりだけで顔も知らない大人と会い、事件に巻き込まれるケースは後を絶たない。どう防げばよいのか。
警察庁によると、昨年にSNSを通じて事件に巻き込まれた18歳未満の子どもは1,811人で、統計を取り始めた2008年以降で2番目に多かった。近年は小学生の被害が増えており、昨年は過去最多の55人。中学生は624人、高校生は991人だった。スマホなど携帯電話でSNSを使った子どもが1,632人と全体の9割を占めた。
被害者が使ったSNSは「ツイッター」が最多の714人。学生限定のチャット型交流サイト「ひま部」214人、「LINE」80人、チャットアプリ「マリンチャット」78人、動画配信サービス「ツイキャス」46人だった。有害情報を閲覧できないようにするフィルタリングの利用の有無を調べられた1,559人のうち1,372人(88%)が利用していなかったという。
今年9月には、千葉県内の小学校高学年の女児を誘拐したとして、県警は茨城県の男(29)を未成年者誘拐の疑いで逮捕した。男はSNSで「親の所にいるのが嫌なら、俺の所に来なよ」と女児にメッセージを送って家出させ、車で自宅まで連れ出したという。
埼玉県では先月、30代の男が、ツイッター上に家出を望む書き込みをしていた女子中学生に「相談にのるよ」と返信して連れ出し、約40日間にわたって自身の借家に住まわせたとして未成年者誘拐容疑で逮捕された。
子どものネット利用に詳しい藤川大祐・千葉大教授(教育方法学)は「SNSで知り合った大人と実際に会うのは危ないと思っていても、スマホで遊ぶゲームなど共通の趣味があれば『信頼関係』はできてしまう」と話す。匿名アカウントを取得できるSNSなら年齢も問われず、子どもが簡単に大人とやりとりできる。「不安や不満を家族には打ち明けられないとき、頼れそうな大人を探せる環境がSNS上にはある。スマホを使う場所や時間をルール化するなどまずは保護者が関心を持つことが大切だ」と指摘する。
兵庫県立大の竹内和雄准教授(生徒指導論)は「悪い大人が子どもにつけ込む構図がある以上、保護者に頼るのは限界がある。不特定多数の人と交流するサイトの年齢認証を厳しくするなど国や業界による対応も求められる」と指摘する。
全国の小中学校で無料のネット安全教室を開く、ゲーム大手グリーの小木曽健さんは「ネット上で良い人と悪い人を見分けるのは大人でも至難の業。人生経験のない子どもには不可能だ」と話す。ネット上に子どもと接点を持ちたがる悪意を持った大人がいて、大人がSNSを利用すれば簡単に子どもと知り合えることを、大人が子どもに教えるべきだとしている。
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この記事は、最近のSNSにからむ誘拐事件ですが、誘拐以外にも、
2008年10月のさいたま市で中3の女子生徒が自殺した事件、2008年5月の北九州市で高1の女子生徒が自殺した事件など「ネットのいじめ」に関わるもの、
実際にはバイトではありませんが「バイトテロ」に似たような悪ふざけ画像等をアップするもの、
そして最も多いのが特に被害の多いものは、「性犯罪(売春、レイプ、児童ポルノ)、恐喝(ゆすり)、詐欺」などです。

スマホを買い与えるのは保護者であり、指導をする責任もまた基本的には保護者にあると思います。
まずこのことをしっかり家庭に認識していただく必要があると思います。

と同時に「学校でもきちんと指導した」と言えるよう 学級・学年PTAや懇談会などの機会を通じて、お話ししご理解いただけるようにしていけるといいですね。

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多くの生徒がやっているLINE。
LINEは「コミュニケーションツール」ですがTwitterに比べて繋がる範囲は狭いようです。ですから友達との交流がメインです。
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「ブログ」の簡易版とも言えるTwitterに比べ、LINEは教室内のメモ回しのようなもので、繁華街で大声で喋るようなTwitterに比べ安心かというと、実は逆なのではないかと思います。

そう思う第一の理由は、タイムラインや「友だち追加」機能で様々な相手と簡単に繋がることができるという点です。

「友達のそのまた友達は悪い人ではない」という保証はありません。見ず知らずの相手(業者など)からコンタクトされる危険があるのです。

これを防止するのがフィルタリング(有害サイトアクセス制限)やペアレンタルコントロール(情報通信機器の利用を、親が監視して制限する仕組み)ですが、LINEにはこの機能がありません。あっても不十分です。
ですから有害なサイトへのアクセスが可能で、過激な写真や画像が普通に見れてしまいます。

第二の理由は、顔が見えない同士のグループトークを行いますので、いじめの被害者や加害者、傍観者になるリスクがとても大きいのです。
短文できちんと文意を伝える表現力や文意を汲み取る読解力が十分ではない生徒同士では、どんな誤解が発生するかわかったものではありません。

第一の理由の対策としては、LINEアカウントの制限設定によってある程度可能だと言われています。

対策➀:LINEのプロフィールに本名や個人情報を記載しない
LINEのプロフィールは誰でも見れるものなので、絶対に個人情報を載せないようにします。
「LINEの名前」「ひとこと」等に個人が特定されるような内容を書き込んでしまう生徒は結構多いようです。また「LINE ID」に誕生日などの情報を入力する生徒がいます。クレジットカードの暗証番号と同じ扱いをするべきです。ちなみに一度設定したLINE IDを変更する事は出来ません。また「アイコン」に顔写真や場所が特定される写真を使うこと生徒もいるようです。

対策➁:LINEのID検索を無効に設定する
相手のLINE IDが分かると誰でもメッセージを送れてしまいます。そこでLINEでは勝手に相手から検索されないように「IDによる友だち追加を許可」をオフにしておく必要があります。

対策➂:「友だち自動追加」をオフに設定する
LINEにはスマホ内のアドレス帳に載っている電話番号と紐づいているLINEアカウントを「友だち」として追加する「友だち自動追加」機能があります。つまりスマホのアドレス帳が第三者に流出してしまうのです。これを防ぐため「友だち自動追加」をオフに設定する必要があります。わたしたちがもし生徒の電話番号をアドレス帳に載せていて「友だち自動追加」をオフにしていなかったらアウトですよ。

対策➃:公式のタイムラインへの「いいね」やコメントは極力控える
LINEには様々な公式アカウントが存在します。これらを友だち追加する事で「タイムライン」で公式側の配信を見ることが出来ますが、その際に「いいね」やコメントをすると、個人のLINEアカウントのアイコンや名前が表示されます。
ですから、出来れば公式アカウントのタイムラインへの「いいね」やコメントは控えた方が無難です。
  
これらのLINEの設定は、そのままだと全てオンになっています。これをオフにするだけでも、怪しい業者などからのコンタクトを減らすことができます。

しかし「LINEから有害サイトへのアクセスにフィルタリングが効かない」や「グループトークでのいじめ」などは、機能面からも対策をすることができません。

これらは別に学級全体に指導する内容とは思えません。保護者が指導すべきことでしょう。
しかしアカウント制限すら知らない保護者も多いようで、実は野放しの状態なのではないでしょうか。


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