十種神宝 中学国語の基礎・基本

稗田先生は、永く公立小中学校にお勤めでした。 その先生からお聞きした、 主に中学校の国語の教材のことなどを 書き留めました。

カテゴリ:教師の心得 > いじめ

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生徒任せにしない

「一ヶ月で全員にリーダーをさせるというのは無理なのではないか」という質問を受けましたのでお答えします。

例えば日直当番などはその日の学級のリーダーと言えます。給食の挨拶をする生徒もその時のリーダーです。提出ノートを集める生徒もリーダーです。
リーダーとは「使命感を持ち、全員を動かす権限が与えられた者」です。

例えば教室がうるさい時、日直の生徒が「静かにしてください」と呼びかけたとします。
声が小さければ「もう少し聞こえる声でいいなさい」とアドバイスしてやる必要があります。
それでも聞かなかったとすると「リーダーには従うこと」を全員に教えてあげなくてはいけません。

権限を与えたのは生徒たちですが、その権限を最終的に保障することができるのは教師しかいないからです。
「係が『静かにしろ』と言っても言うことを聞かない」のは、最終的に教師の指導不足の結果で、責めを負うべきは教師であると思います。
もしこれを係生徒の責任にすれば、誰も係をやりたがらなくなりますよ。

提出ノートを集める係も、ただ集めるだけならばリーダーではなく、単にお手伝い係です。
提出しない生徒に呼びかけたり、目標を決めてそれを達成しようとしたりしたときに、初めてリーダーとしての自覚が生まれます。
教師はそれをきちんと指導しなくてはいけないのです。

そしてそのためには、最初はきめ細やかな指導が必要です。
そしてその指導が最も有効に作用するのが一年生の最初なのだと思います。

更にルーム長級や班長級のリーダーには、これらの学級の係や当番の活動に対して、計画を立てたり、指示をしたり、評価する権限を与えていきます。
更に練度が増すと班を決めたり、清掃分担などを割り振ったりする権限も与えていきます。修学旅行などのバスの座席を決めることもそうですね。

いわゆる教師の権限の委譲です。

ここで大切にしたいのは活動を生徒任せにしないことです。
班長やルーム長を決めた後に「あとは自分で考えてやれ」と言われても、これはハイレベルな要求です。鍛えられた3年生でどうにかいける程度でしょう。

使命感が育っていないリーダーがいた場合は間違いなく失敗します。
それ以上に、生徒にとって、持ち上げられた後に見放されたような気分だまされたような気分になるかも知れません。
とどめに班や学級で問題がおきたとき、リーダーの責任とかを追及すればもう、その生徒は二度とリーダー的な役割は引き受けなくなります。
決めた後に教師がやり直しを命じても同じで「そんなら最初から先生がやればいいじゃん」となります。

ですから最初は、教師がリーダーの中に入り、教師主導でやりましょう。
リーダーがいわゆる傀儡となってもかまわないと思います。

教師がリーダー生徒にぴったりくっついて、やり方を指導するのです。
山本五十六ではありませんが
  • やって見せ、言って聞かせて、させて見せ、誉めてやらねば、人は動かじ
です。

最初は時間も手間もかかりますが、リーダーへの指導をリーダー以外の生徒も見ています。

教師が明るくてきぱきと指導してくれて 成果が上がれば、リーダーは楽しくなってきます。
そしてやってるうちに、これなら自分もできるなあと感じれば 自信もついてきますし、教師に評価されればうれしいくなるでしょう。
更に相互評価の時間や場面を意図的に設定して同級生から評価されたら、もっと自信がつきますしうれしくなります。いわゆる「振り返り」の活用ですね。

ただし、教師が主導する以上、失敗することは許されません。
そのつもりで気合いを入れていきましょう。

うまく軌道に乗ってきたら、だんだん手を離していくのです。

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リーダーの経験を全員に積ませ、リーダーの何たるかを理解させておきますが、やはりリーダーにふさわしい生徒は必要です。
各学級でルーム長級が1~2名、班長級が6名以上欲しいですね。
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このメンバーが二年生の二学期末には生徒会執行部候補、委員長・副委員長候補として登場します。

長期のスパンで学級経営を見通し、リーダーとなるべき生徒に目星をつけ、ルーム長や班長として育てていくのが学級担任の仕事です。
ただし本当のリーダーは教師に任命されてなるものではありません。クラスの全員がそれを認めなくてはその生徒にとって不幸な結果となります。
そのためにも、全員にリーダーとしての経験を積ませ、リーダーの役割や仕事を理解させておかなくてはいけません。
その上で「誰が自分たちのリーダーとしてふさわしい人間か」を考え、多くの生徒たちから認めらることにより、本当のリーダーが育っていくのだと思います。

リーダーを決める

まず私たちは最初、簡単な活動の中で活動の中心になる生徒に目星をつけます。
しかし、この時点では表面的な目立ち度によるもので、カースト上位の生徒をピックアップしているに過ぎません。
隠者のようにスクールカースト下位層に隠れているリーダー候補生もいます。

リーダーの素質を持つ生徒は優秀です。
活動の意義が理解できていますし、見通しを持って効率よく計画を立てたり、公正・適切に分担ができたり、議論するための文章作成能力や言葉を持っています。

持っていないのは使命感です。

頭がいいだけに、リーダーの大変さを理解し、必要もない苦労はしたくありません。
「別に自分がやらなくてもいいでしょ」と思っているのです。

こういう生徒を引っ張り出すことが担任の使命です。

実際にリーダーの活動をやってみたり、他人の様子を見たりして「あれならやれる」「あれならやりたい」「自分がやらなきゃだめでしょ」と思わせるように、ブルームの「期待説」をフル活用し、その生徒のモチベーションを上げていかなくてはいけません。
全員にリーダーをやらせる意味は、ここにもあります。

リーダーの選出にあたっては、ルーム長級はもちろん、班長級であってもやはり、クラスの全員が納得する必要があります。
自分から進んで立候補するくらいにモチベーションが高まっていればいいのですが、なかなかそうなりません。
その時は本人を直接説得したり、まわりの生徒に説得させたりします。いわゆる根回しです。これは別に悪いことではありません。大人の社会では当たり前にやっていることで、むしろ大人として、教師としてできないことの方が問題があると思います。

もしその生徒が出てこなくても、やる気があったり、ノリが良かったり、使命感がある生徒が立候補で名乗り出るように誘導していきましょう。

とりあえず教師主導の活動にのってくる生徒をリーダーとして活動させるのです。そういう生徒をしっかり指導し、使命感を植え付けていけばよいのです。

大切なのは「教師主導の活動に対して」という点です。
何度も言いましたが、教師はカーストを超越した存在か、最低でもカースト最上位でなくてはいけません。
そしてその地位を得るために私たちは「授業力」を向上させ、有無を言わさなぬ授業の実力を発揮しなくてはいけないのです。

定員より多く立候補があって選挙になると最高ですが、誰もでてこなかったからと言って、選出の際くじ引きやじゃんけんなど、偶然に任せるのは絶対にだめです。
また言うことを聞きそうなおとなしい生徒を生け贄にするような行為は絶対に許してはいけません。裏に「影のボス」でもいたら最悪です。

この一連の活動は、全員にリーダーを経験させるだけでも一ヶ月以内に終わらせなくてはいけません。

一年の年度当初なら、連休前までにリーダーの経験をさせ、同時に本当のリーダーに育つ素質があるのは誰かを見極めるのです。
同時に生徒との信頼関係を高めていくことが必要です。
二年生では一学期中に本当のリーダーを育てておかないと、生徒会長や委員長を選ぶときに悩むことになります。

小学校なら一日中児童と接していますから比較的やり易いのですが、中学校では休み時間や給食・清掃、朝や夕方の学活等が勝負となります。

心していきましょう。


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モチベーションの高さ=目標の魅力×達成可能性

モチベーションの高さ=目標の魅力×達成可能性であるというブルームの「期待説」に基づき、小笹芳央氏は『モチベーション・リーダーシップ 組織を率いるための30の原則』(2006 PHP新書)の中で「目標の魅力」と「達成可能性」それぞれについて、四つの要素を考えています。これを学級経営に置き換えて説明します。

何度も言いますが、最初からリーダーである生徒はいません。経験を通してリーダーになるのです。
いつリーダーになってもよいように、日常から全員にリーダーの役割をふってその仕事に慣れさせていく必要があります。

本当は小学校からこのような指導をしておくべきだと思います。

次の点に留意してモチベーションを高め、いつリーダーになっても臆さない生徒たちを育成していきましょう。

「目標の魅力」値を高める

1 ラダー効果
与えられた仕事と学級目標などの上位の目標との関係を示すことで、仕事に意味を持たせます。
今の仕事は雑務ではなく、これをやれば学級目標などに近づくのだということをわからせるのです。

2 オプション効果
やり方など具体的なことは生徒に選ばせます。(考えさせるのではありません。)
何かを「選ぶ」という行為はモチベーションを向上させます。
自分で選ぶことによって満足度、納得感を高め、自己責任の意識も生まれます。逆に自分で「選べなかった」ものに対しては満足感や納得感を得ることができず、責任意識の芽生えません。

3 サンクス効果
自分は全体に貢献しているという実感をもたせます。
具体的に「誰に・どのように」貢献しているのか「誰の・どんな活動と・どのようにつながっているか」などを説明し、リアリティをもたせます。

4 スポットライト効果
全員の前で具体的に褒めることによって、注目させ主役にします。この時なるべくその生徒の名前を言うことで大きな効果が期待できます。

「達成可能性」値を高める

1 マイルストーン効果
マイルストーンとは一里塚のことです。途中の目標を示すことで「何をいつまでにやればよいか」がはっきりとわかり、この積み重ねをしていけば最終的な目標や成果に近づくという安心感を与えます。技術・家庭科や美術科などの作業的な学習でよくやる手法ですね。

2 フィードバック効果
取り組みや結果を評価します。「自己の客観的な評価を知ること」は向上へのモチベーションを刺激しますし「先生はちゃんと見ていてくれる」という信頼も生まれます。

3 ロールプレイング効果
「自分ではない誰かの役割を疑似体験させることで、他所あの視点を獲得させる」というロールプレイングの手法です。
「自分がリーダーだったら」「自分がリーダーから何か言われる側だったら」と、違う立場の者になりきらせると、新しい視点が生まれ、協調性も身につきます。

4 ナレッジ効果
   みんなでノウハウを共有します。すると、その生徒にとって初めて取り組むことでも、前例があるので安心です。
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これらをうまく組み合わせ、リーダーになった生徒に「やってよかった」という気持ちを持たせ、誰がいつリーダーになってもよいようにしておきましょう。

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『ガラスの仮面』(美内すずえ)というマンガがあります。1970年代に始まり、途中休載期間を除いても40年以上続いてまだ完結していない『こち亀』以上のバケモノです。

(そういえば魔夜峰央の『パタリロ』も長いですね。少女マンガは月刊なので息が長いのでしょうか。)

主人公は平凡な一人の少女、北島マヤです。彼女は演劇への熱い情熱をたぎらせ、才能を開花させていきます。そして演劇界のサラブレッド、姫川亜弓と競いながら幻の名作「紅天女」を目指すという物語です。
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©美内すずえ/講談社

北島マヤは「恐ろしい子」と言われるほど優れた演技の才能を持っています。
しかし、クラスのリーダーになる生徒というのは、私たち教師と同じで生まれ持っての才能は関係ありません。
「役割を演ずる」という点から考えるとリーダーシップを発揮できる生徒というのは「自分の役割であると認識している」生徒ならば誰でもできることだと思います。私たちと同じく「立場」が人を作るのです。

ハイリスク・ローリターンであるリーダーの役割を演じさせるためには、リーダーという「立場」を理解させ、モチベーションをあげてやることが大切だと思います。(私たち大人でも同じですよね。)

「ああ、面倒な仕事だったけど、やって良かったな」というやり甲斐を感じれば、次も「やってもいいかな」と思うわけです。逆に言えば、私たち教師は、生徒にM機能をメインにしたクラスのリーダーをお願いする以上「やった甲斐」を感じてもらえるようにする責任があると思います。

モチベーションとは「何か目標とするものがあって、それに向けて、行動を立ち上げ、方向付け、出される力」です。そもそも目標がないものに対してモチベーションは起こりません。

モチベーションにおける基本的な理論として、以前「マズローの欲求階層説」を取り上げました。これは、アメとムチの「アメ(欲求)とは何か」を考えたものです。
クラスのリーダーの場合、友達から誹謗中傷されない・浮かないという「安全の欲求」を満たした上で、「社会的な欲求(所属や友人から賞賛される)」や「自尊の欲求(自らが他よりも優れていると感ずる)」を与えてやればよいのです。

また、V.H.ブルームは「期待説」を唱えました。
努力すれば相応の成果が得られそうだという期待と、その成果がその人にとって価値があるという要素の二つを掛け合わせたものが、モチベーションの強さを表すというものです。

例えば「定期テストのために一週間だけ頑張る」といったことです。少しの努力をすれば手に入り、しかもそれが自分にとって必要なものであるほど、それを得るために人は動機づけられ行動します。
しかし「自分は運動で高校進学するつもりなので教科の成績は関係ない」と目標の価値を低く考えている場合にはモチベーションが生まれません。

期待と価値の二つの「積」と考えたところがポイントです。

他にも、自分が周りと比較して公平に扱われているかどうかがモチベーションに関わるとする「公平説」や、お金や物などの褒美で動機付けしたり、罰する叱るなどのマイナスのモチベーションを動機づけたりする「学習説」があります。

次回は、「期待説」を中心に、どのようにしたら生徒のモチベーションを上げていくかを考えてみましょう。
これは、リーダーシップをとる生徒に対してというよりも、学級全体のモチベーションをあげる方法でもありますから、参考にしてください。


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2019年11月25日の朝日新聞(ネット版)に「SNSで事件被害、少年少女1,811人 どう防ぐか?」という記事がありました。少し長いですが引用します。

大阪市住吉区の小学6年の女児(12)が行方不明になり、栃木県小山市内で保護された事件で、未成年者誘拐の疑いで逮捕された伊藤仁士容疑者(35)はSNSを通じて女児に接触し、誘い出したとされる。子どもがSNSのやりとりだけで顔も知らない大人と会い、事件に巻き込まれるケースは後を絶たない。どう防げばよいのか。
警察庁によると、昨年にSNSを通じて事件に巻き込まれた18歳未満の子どもは1,811人で、統計を取り始めた2008年以降で2番目に多かった。近年は小学生の被害が増えており、昨年は過去最多の55人。中学生は624人、高校生は991人だった。スマホなど携帯電話でSNSを使った子どもが1,632人と全体の9割を占めた。
被害者が使ったSNSは「ツイッター」が最多の714人。学生限定のチャット型交流サイト「ひま部」214人、「LINE」80人、チャットアプリ「マリンチャット」78人、動画配信サービス「ツイキャス」46人だった。有害情報を閲覧できないようにするフィルタリングの利用の有無を調べられた1,559人のうち1,372人(88%)が利用していなかったという。
今年9月には、千葉県内の小学校高学年の女児を誘拐したとして、県警は茨城県の男(29)を未成年者誘拐の疑いで逮捕した。男はSNSで「親の所にいるのが嫌なら、俺の所に来なよ」と女児にメッセージを送って家出させ、車で自宅まで連れ出したという。
埼玉県では先月、30代の男が、ツイッター上に家出を望む書き込みをしていた女子中学生に「相談にのるよ」と返信して連れ出し、約40日間にわたって自身の借家に住まわせたとして未成年者誘拐容疑で逮捕された。
子どものネット利用に詳しい藤川大祐・千葉大教授(教育方法学)は「SNSで知り合った大人と実際に会うのは危ないと思っていても、スマホで遊ぶゲームなど共通の趣味があれば『信頼関係』はできてしまう」と話す。匿名アカウントを取得できるSNSなら年齢も問われず、子どもが簡単に大人とやりとりできる。「不安や不満を家族には打ち明けられないとき、頼れそうな大人を探せる環境がSNS上にはある。スマホを使う場所や時間をルール化するなどまずは保護者が関心を持つことが大切だ」と指摘する。
兵庫県立大の竹内和雄准教授(生徒指導論)は「悪い大人が子どもにつけ込む構図がある以上、保護者に頼るのは限界がある。不特定多数の人と交流するサイトの年齢認証を厳しくするなど国や業界による対応も求められる」と指摘する。
全国の小中学校で無料のネット安全教室を開く、ゲーム大手グリーの小木曽健さんは「ネット上で良い人と悪い人を見分けるのは大人でも至難の業。人生経験のない子どもには不可能だ」と話す。ネット上に子どもと接点を持ちたがる悪意を持った大人がいて、大人がSNSを利用すれば簡単に子どもと知り合えることを、大人が子どもに教えるべきだとしている。
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この記事は、最近のSNSにからむ誘拐事件ですが、誘拐以外にも、
2008年10月のさいたま市で中3の女子生徒が自殺した事件、2008年5月の北九州市で高1の女子生徒が自殺した事件など「ネットのいじめ」に関わるもの、
実際にはバイトではありませんが「バイトテロ」に似たような悪ふざけ画像等をアップするもの、
そして最も多いのが特に被害の多いものは、「性犯罪(売春、レイプ、児童ポルノ)、恐喝(ゆすり)、詐欺」などです。

スマホを買い与えるのは保護者であり、指導をする責任もまた基本的には保護者にあると思います。
まずこのことをしっかり家庭に認識していただく必要があると思います。

と同時に「学校でもきちんと指導した」と言えるよう 学級・学年PTAや懇談会などの機会を通じて、お話ししご理解いただけるようにしていけるといいですね。

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多くの生徒がやっているLINE。
LINEは「コミュニケーションツール」ですがTwitterに比べて繋がる範囲は狭いようです。ですから友達との交流がメインです。
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「ブログ」の簡易版とも言えるTwitterに比べ、LINEは教室内のメモ回しのようなもので、繁華街で大声で喋るようなTwitterに比べ安心かというと、実は逆なのではないかと思います。

そう思う第一の理由は、タイムラインや「友だち追加」機能で様々な相手と簡単に繋がることができるという点です。

「友達のそのまた友達は悪い人ではない」という保証はありません。見ず知らずの相手(業者など)からコンタクトされる危険があるのです。

これを防止するのがフィルタリング(有害サイトアクセス制限)やペアレンタルコントロール(情報通信機器の利用を、親が監視して制限する仕組み)ですが、LINEにはこの機能がありません。あっても不十分です。
ですから有害なサイトへのアクセスが可能で、過激な写真や画像が普通に見れてしまいます。

第二の理由は、顔が見えない同士のグループトークを行いますので、いじめの被害者や加害者、傍観者になるリスクがとても大きいのです。
短文できちんと文意を伝える表現力や文意を汲み取る読解力が十分ではない生徒同士では、どんな誤解が発生するかわかったものではありません。

第一の理由の対策としては、LINEアカウントの制限設定によってある程度可能だと言われています。

対策➀:LINEのプロフィールに本名や個人情報を記載しない
LINEのプロフィールは誰でも見れるものなので、絶対に個人情報を載せないようにします。
「LINEの名前」「ひとこと」等に個人が特定されるような内容を書き込んでしまう生徒は結構多いようです。また「LINE ID」に誕生日などの情報を入力する生徒がいます。クレジットカードの暗証番号と同じ扱いをするべきです。ちなみに一度設定したLINE IDを変更する事は出来ません。また「アイコン」に顔写真や場所が特定される写真を使うこと生徒もいるようです。

対策➁:LINEのID検索を無効に設定する
相手のLINE IDが分かると誰でもメッセージを送れてしまいます。そこでLINEでは勝手に相手から検索されないように「IDによる友だち追加を許可」をオフにしておく必要があります。

対策➂:「友だち自動追加」をオフに設定する
LINEにはスマホ内のアドレス帳に載っている電話番号と紐づいているLINEアカウントを「友だち」として追加する「友だち自動追加」機能があります。つまりスマホのアドレス帳が第三者に流出してしまうのです。これを防ぐため「友だち自動追加」をオフに設定する必要があります。わたしたちがもし生徒の電話番号をアドレス帳に載せていて「友だち自動追加」をオフにしていなかったらアウトですよ。

対策➃:公式のタイムラインへの「いいね」やコメントは極力控える
LINEには様々な公式アカウントが存在します。これらを友だち追加する事で「タイムライン」で公式側の配信を見ることが出来ますが、その際に「いいね」やコメントをすると、個人のLINEアカウントのアイコンや名前が表示されます。
ですから、出来れば公式アカウントのタイムラインへの「いいね」やコメントは控えた方が無難です。
  
これらのLINEの設定は、そのままだと全てオンになっています。これをオフにするだけでも、怪しい業者などからのコンタクトを減らすことができます。

しかし「LINEから有害サイトへのアクセスにフィルタリングが効かない」や「グループトークでのいじめ」などは、機能面からも対策をすることができません。

これらは別に学級全体に指導する内容とは思えません。保護者が指導すべきことでしょう。
しかしアカウント制限すら知らない保護者も多いようで、実は野放しの状態なのではないでしょうか。


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自転車はとても便利な道具です。しかしその一方で交通事故の被害者となることもあります。そしてそれ以上に、道路交通法等を守らないと加害者となることもあります。

SNSも同じです。

生徒が犯罪とは知らずにネット上で行ったり、投稿したりというケースがあります。これらは「知らなかった」では済まされません。
以下の内容は、過去に犯罪として扱われたケースからの抽出ですから、実際は裁判になってから犯罪として確定します。
しかしあらかじめ知っておいて、危ない橋は渡らないに越したことはありません。
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1. 名誉棄損・侮辱罪

悪評の流布
  要するに悪口をまき散らすことなのですが、度が過ぎると犯罪です。
相手の評判を落とすために故意にあることないことネット上に流したりすることが発端となります。
プライバシー侵害にもなる個人情報を含めての悪評の流布は悪質とされます。
個人が特定された場合、名誉棄損罪、侮辱罪へと発展する確率も高くなります。
「ネットいじめ」もこのケースに該当します。

なりすまし
他人のふりをして、ネット上で活動することです。
なりすましている相手に害を及ぼす場合アウトになる可能性が高いと思います。
ネット上で「他人のふりをする(なりすます)」ことは犯罪となる可能性があります。
なりすます相手が企業や団体などの場合、「業務妨害」となることもあります。

2. 業務妨害

悪評の流布
悪評の対象が企業等の何らかの団体である場合、業務妨害に該当する可能性があります。
特定の製品やサービスなどを利用した(または実際にしていなくても)感想などといったかたちで、必要以上に過激な表現で酷評したり、不買や破棄を推奨してしまうケースなどはアウトです。

犯行予告
ネット上で「犯行予告」をしてもアウトです。
ニュースなどで目にすることが多いですが「テストがいやだから」という理由でやってしまうと『威力業務妨害罪』、単にいたずら目的の場合でも『軽犯罪法違反』となる場合があります。

3. 不正アクセス法違反

他人のアカウント(ID)やパスワードを聞き出したり盗んだりして不正にログインするのはアウトです。
よくあるケースとしては、オンラインゲームのアカウントに不正にアクセスし、ゲーム内のアイテムを奪うような行為があります。ゲーム内のアイテムがらみは必ずお金が絡んできます。

4. 違法アップロード/ダウンロード

自身が著作権を持たない音声および映像等のアップロードです。他人がダウンロードできる状態で、自身が著作権を持たない音声や動画をアップロードすると著作権の侵害として罪に問われる可能性があります。自身で購入した音楽や動画、マンガのスキャン画像などをアップロードしてもアウトです。また、2010年の著作権法改正により、違法アップロードされたものだと知りながらダウンロードしてもアウトです。生徒が安易に手を出しやすい犯罪です。
  
5. プライバシー侵害

生徒たちのネット利用では個人情報漏洩に該当する行為が多いようです。
ネット上に他人の個人的な情報、および個人を特定できる情報を流布してしまえばアウトです。
普段の会話の延長としてネットを利用しているという感覚で書きこんでいるとやってしまいます。
ネットというものは、人通りの多い繁華街で大声で叫ぶようなものなのです。

6. わいせつ物頒布罪

生徒の間では、笑いのネタとして安易にやってしまいそうです。
自画取りわいせつ画像・動画の拡散はもちろんですが、友達の家に集まって友達の画像・動画を拡散した場合はリベンジポルノになる可能性があります。
自分のならいいだろ、ということにはなりません。

7. 児童ポルノ禁止法違反

更にリベンジポルノ、わいせつ物頒布で被写体(写っている人物)が未成年の場合、「児童ポルノ禁止法違反」となる場合があります。
中学生の場合は例外なくアウトです。

8. 殺人幇助罪

殺人を企てる者に対して、殺人行為が楽になるように手助け(幇助)する行為です。
  • A もうアイツ殺してやりたいわー
  • B やっちゃえ、やっちゃえー
と言ってAが殺害を実行したらBは殺人幇助罪です。

このような話を切り出されたら、まともに相手をせず、すぐに警察等に連絡するように指導します。
それは「自分は殺人幇助をしていない」ということの証明にもなります。

9. 脅迫罪

「殺す」、「刺す」など、「~するぞ!」と、相手の脅威となる行動を示唆して脅すことで「脅迫罪」です。
実際に害を加えなくてもアウトで、場合によっては「自殺教唆罪」に問われる場合もあります。
結果として相手が自殺してしまった場合などは完全アウトです。

10.強要罪、恐喝罪

「強要罪」は、人に義務の無いことを行わせる行為です。
土下座させたり、詫び状や反省文を書かせたり、必要以上に謝罪を求める行為がこれに該当する可能性があります。

「恐喝罪」は、脅して物や金銭を得たり、それを第三者に得させる行為です。
「謝罪をかたちにしろ」と言って不当な慰謝料を請求したり、追加で物品を要求したりするとアウトです。物や金銭を実際に受け取っていなくても、「恐喝した(脅した)」という行為だけでも、恐喝未遂として扱われます。

勢いで書いてしまったとしても、それは言い訳にすらなりません。
どんなに頭にきても、強要や恐喝に踏み込まないよう、冷静に対処できない生徒はSNSをしてはいけないと思います。

11.自殺教唆罪、自殺幇助罪

自殺の方向に導いていったり、自殺しやすいように手助けする行為です。
「死ね!消えろ!」などと強く連呼したり、「死んだら楽になるよ」などと一見優しく伝えたとしても、相手が自殺した場合は自殺教唆罪に該当する可能性があります。
また「睡眠薬で死んだら楽でいいよ!」(あくまで例です)みたいなことを発言すると、自殺幇助罪に該当する可能性があります。冗談だと思っていた、では通じません。
  
ネット上といえども、リアルの世界となんら変わらない現実の世界です。
しっかりした知識を身に付け、自分自身が犯罪者とならないよう、危険に近づかないよう、指導しておきましょう。
また、ご家庭もこのような認識の薄い場合があります。

まさに「知らないことは罪」なのだと思います。

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中学3年の国語に森鴎外の「高瀬舟」という作品が載っています。
images (6)© 日本文学シネマ制作委員会
  • 弟殺しで遠島の刑を受けた罪人・喜助を船で護送する役目を担った同心・羽田庄兵衛は、喜助の様子の常の罪人らしからぬ明るい様子を不思議に思いました。興味を持って話しかけた庄兵衛に喜助が物語ったその話の内容に、庄兵衛は納得すると共に感心の念さえ覚えてしまいます。さらにその犯した罪について話した喜助の身の上は、庄兵衛の心に捉えどころのない、そしてやり場のない思いと疑問を生じさせるものだった、
という話です。

喜助が犯した罪とは、病気を苦にカミソリ自殺を図った弟からカミソリを抜くことで結果的に弟を殺してしまったというものでした。

生徒は、遠島となった喜助に
  •  弟が苦しんでいるのを楽にしようとしてやったのに……
  •  弟に『殺してくれ』と言われて見るに見かねてやったのに……
と、主人公庄兵衛と同じような感想を持ちます。

現在の法律によれば喜助は、
「同意殺人罪により有罪。情状酌量により懲役2年執行猶予1年」の判決になるそうです。

同意殺人罪(刑法202条)は殺人罪の仲間ですが、殺人罪より少し罪が軽く、6ヶ月以上7年以下の懲役又は禁錮となっています。

なぜ殺人罪になるかというと、法律では
弟が死亡したという事実から遡って、その直接原因になったのは何かを考えるからです。

つまり、病気で苦しんでいる人を楽にさせようと首を締めたことにより窒息死したとすれば、
その病気が不治の病であろうと、放っておいても数時間後に死ぬことがわかっていようと、
死因が窒息死である限り、死の結果は首を締めた人がすべてを負わなくてはなりません。

ではそれをそそのかした者はどうなるのでしょう。

殺人の依頼者の場合、
「他人に犯罪を決意させて実行させる」教唆犯(刑法61条)となります。
ダウンロード (6)© さいとうプロ
例えばゴルゴ13に殺人を依頼し、ゴルゴ13が依頼を成功させれば、
依頼者は『殺人罪の教唆犯』になります。

更にヤクザの親分が部下の若い衆に殺人を命令するような場合は
「教唆犯の範囲を超えて、実行犯と同一視できる」とされ、
親分は『共謀共同正犯』(刑法60条)とすることもあります。

これは殺人者と同じ扱いです。

生徒間のいじめも同じことだとおもいます。
まず「いじめ」の事実から順番に遡って、事実を明らかにしていきましょう。

直接手を下した者は
  • 保護者を呼んで状況を説明する
  • 反省文を書かせる
  • ペナルティを科す
等、それぞれの学校の決まりに従い処分すべきです。

そして、いじめをそそのかした者、はやしたてた者も、
すべて共謀共同正犯として直接手を下した者と同様の罪に問われなければならないと思います。

「自分は手を下してはいない」「見ていただけだ」と言っても、
現在の法律では同じように裁かれる、ということを生徒に知らしめなくてはいけません。

そしてこれは、スクールカーストの上位者を裁く手段となります。

未成年の犯罪の場合、
10歳以下では責任能力がないと判断されますが、14歳以上ではあるとされるのが一般的です。
判例では、小学校卒業前後の12歳に境界線がひかれているようです。
中学生ですから、
  • 世の中は君たちに責任能力があると判断している
ことを知らせる必要があるでしょう。

そして未成年者ですから、第一義的には親に監督義務があります。
ですから
  • 学校としては、親に子のしたことを報告しなくてはならない
このことも生徒にしっかり理解させておくと良いと思います。

「いじめ」の事案が起こったら、しっかり状況をつかみ、
法の名の下に正義を示しましょう。

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もし、保護者からいじめの相談があったら…
  • 普段の子どもの様子を熟知しているならば、いつもと違う子どもの状況を敏感に感じ取ることができる
 そうは言っても、なかなかそううまくはいかないものです。
 また「ちょっと変だな」と思っても、
 そうこうしているうちに家庭から「お話ししたいことが…」と連絡が来ることがあります。
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 そんなとき、どうしたらいいでしょう。

 以下にその対応例(大森俊彦「保護者とのかかわり」(『児童心理 いじめの予防と早期解決』H18 金子書房))を述べます。
 実際はケースバイケースですから、学年主任や生徒指導主事の先生を中心にして、しっかり腹を据えてかかりましょう。

1  傾聴し、信頼関係の構築を図る。
  • 「いじめは絶対に許さない」「子どもを必ず守る」「いじめを一緒に乗り越える」という固い決意をもって親と接する。
  • 親が、担任や学校への批判や責任を追及してきても、弁解や反論は絶対しないで、話を十分に聞く(つらいところですね。)そして、話の要点を「お母さんがおっしゃりたかったことは~ですね」と確認する。(すると、批判や追及がそれていくことがおおいようです。)
  • その後、内容を文書にまとめ、校長・教頭・生徒指導主事に提出する。
  • 話をする場合は、一人ではなく学年主任や生徒指導主事、教頭に同席してもらう。
  • いじめがあったことに気づかず、不適切な対応があった場合には、素直に認めお詫びをする。時には担任を責め、エスカレートしてくる場合があるので、必ず責任を持って解決することを伝え、行動を起こす。
2 迅速な対応と正確な事実確認を行う。
  • 一回目の面談後は、すぐ校長・教頭に報告し、指導助言を求め、協力体制をとってもらう。
  • 翌日には、本人の安全確保と人権を守る措置をすぐにとり、加害者と被害者、周辺の子どもから正確な情報収集を行う。
  • その後、関係者を立ち会わせた実況検分を行い、十分なすりあわせをして時系列的に記録しておく。
  • この段階では、親と子どもに対して、絶対に決めつけや説教、注意をしないで、あくまでも冷静に客観的に対応する。
  • 次回の面談前に、学級内の人間関係と新たないじめの有無、担任の学級経営のあり方についてもう一度振り返り、課題と成果について自己評価し、校長・教頭に報告する。
  • 二回目の面談では、親に日記や破損した衣類、診断書、写真等の証拠品などがあれば持ってきてもらい、裏付けと補強をする。
  • 親には、担任から、調査の内容と進捗状況、生徒指導会議で協議された対応策を説明する。
  いじめ発覚後、どのような経過をたどって「一件落着」となるのでしょうか。まず、その案件に対する対応の流れを考えてみましょう。

もし、いじめが発覚したら…

1 事実の確認

 まず、事実を確認します。
 被害者、加害者双方の意見を聞き、感情を交えずに、起こったこと行われたことを5W1Hに注意して明らかにしていきます。

 この時の教師の公正かつ冷静な、また受容的な態度が、子ども達の信頼を得ることにつながります。

 特に大切なことは、被害者がどのような痛手をこうむっているのかを聞き出すことです。
 苦しい胸の内を吐露することで、被害者の精神的な安定が得られます。

 加害者は自分が不利になることを避けるため、事実の隠蔽等を図ります
 加害者が複数いるときは、同時に別々の場所で聞き取りを行い、その後事実を照合していくといく必要があります。
 そのためには学年内の協力が必要です。

 最終的には、子どもが自らを振り返り変革していける指導、心から反省し謝罪できる指導を目指すわけです。

 そこで、事実についての判断を、当事者である子ども自身に行わせることも大切でしょう。

2 被害を受けた児童生徒の意志を生かし、指導法を探る。

 どういう方針や方法で相手を反省させ再発を防止できるのか、指導のあり方について検討します。

 教師の価値観で「こうすればいいはず」と決めつけるのではなく、
 「自分は教師にこうしてほしい」という被害者の意志を引き出し、指導にあたることが大切です。

 被害者やその保護者が、学級での解決や事実の公表を望んだら、
 教師は児童生徒を明らかにし解決をめざすべきです。

 しかし、その同意がないのにいじめの事実等を公表するのは時期尚早です。
 功を焦って被害者やその保護者との関係をこじらせてはいけません。

3 被害者をこれ以上傷つけずに、加害者にその行為を反省させる。

 加害者を指導したせいで、かえっていじめが潜行してしまい、被害が深刻となる場合があります。
 加害者に被害者の苦痛をわからせることが指導のポイントです。

 ロールプレイの手法を用いた指導が効果的と言われています。

4 事後の助言を行う。

 対人関係能力が獲得できていないことから被害者・加害者になってしまうことが多いものです。
 そこで、いじめの指導が完結したところで、対人関係の結び方について助言しましょう。

参考文献
・猿田恵一「いじめを許さない・作らない教師」(『児童心理 いじめの予想と早期解決』H18 金子書房)
・酒井 徹「いじめ解決のための具体的な関わり」(同上)

保護者への対応はどうする? 

1 いじめ被害者の親への対応                           

【ポイント】
 育ち直し・リセットを行い、子どもと親からの信頼を取り戻す
  • 子どもと親の心の状態と性格(カッとなる、冷静、思いつめる、体制の有無、被害者意識等)をよく知った上で対応する。
  • してほしいことやしてほしくないこと(嫌なこと)など、親子の要求や条件を詳しく聞くと共に、被害者にどんな権利があるかを教師が箇条書きにまとめ訴える権利や賠償請求権を行使するためには正式文書と証拠物件を用意するとよいとのアドバイスをする。(事を荒立てない、というのは学校の都合です。被害者が加害者を法的に訴えても、学校は痛くもかゆくもありません。)
  • 放課後や土日に、現場で加害者と被害者の両方の当事者と教師とが立ち会い、ロールプレイのようにして、実際にいじめを行った通りに再現する。また、加害者と被害者の立場を交代して行う。(指導的観点もある。)
  • 心のケアとして、不登校や自殺、人間不信、報復障害等の二次被害を防止する手だてを第一に考える。
2 いじめ加害者の親への対応                           

【ポイント】
 証拠をもとに事実確認をし、今までの担任の関わりかた経過をきちんと説明し、納得してもらう
  • 親子できちんと基本的人権と生命尊重について話し合った後、親が子どもに対し、加害者が償う責任(自分の過ちを心から謝る、当然のペナルティーを受ける)を果たさなければならないことを話すようアドバイスする。
  • 親には、自分の子どもを指導監督する義務があり、その義務を怠ったからいじめたをしたので、親として相手に謝罪をし、損害賠償等の請求には誠意をもって応ずるように話す。
  • いじめはどの段階なのか(いたずら→悪ふざけ→嫌がらせ→いじめ)といじめの形態を親子、教師で確認する。(そうすることで、加害児童生徒に対するケアと指導が容易になる。)
  • 安易な仲直りや喧嘩両成敗的な処理をすることで、子どもの心にしこりや不満を残したままで放置しない。心と形で償いを親子でするように、きつく学校が指導する。
  • 学校は、管理下で起こったいじめについては、理由は何であれ安全保持、指導監督、学習保障の義務に関しては全面的に責任を負わなければならないことを親に説明する。また、暴行傷害や恐喝、生命の危険等、あまりにも度を超したいじめについては、懲戒や専門機関と相談した上での措置を執ることを説明する。
参考文献 大森俊彦「保護者とのかかわり」(『児童心理 いじめの予想と早期解決』H18 金子書房)
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  いじめ防止対策推進法の定義では、いじめの要件を
  • 行為の対象となった児童生徒が心身の苦痛を感じていること
としています。次の事例を考え見ましょう。
  •  AさんがBさんを殴り、Bさんは先生に「Aさんに叩かれた」と訴えてきた。AさんがBさんを殴ったのは後にも先にもこの1回だけであった
 これは法の定義に照らせばいじめです。
 例えばAさん(またはAさんの保護者)が「そんなのはいじめじゃない。何かあって一度殴っただけじゃないか」と主張しても、アウトであることに違いがありません。
net_ijime_man
 この事例では暴力を振るったため非常に明確に理由付けができますが、
 これが「悪口を言われた」「物を隠された」等になると、更に指導がすごくやりづらい状況となります。
 「わざとじゃない」と主張されたり、物隠しの場合は犯人すらわかりません。(実は家に忘れていただけ、ということもあります。)

 「本人が苦痛を感じたら即いじめと判断するのはどうか」等の意見もあります。

 しかし、これに対しては、
  • いじめには多様な態様があることに鑑み、本法の対象となるいじめに該当するか否かを判断するに当たり、「心身の苦痛を感じているもの」との要件が限定して解釈されることのないよう努めること
という衆参両院の文教委員会の附帯決議が載せられています。
 つまり、本人の主観による決めつけや思い込み、あるいは「わざと『いじめられた』と主張し相手を陥れる」冤罪の主張が通らないように、しっかりと「客観的な状況はどうなのか」等の事実確認を行うことの重要性も謳われています。

 社会通念としてのいじめの定義を拡げて「どんないじめも見過ごさないようにしよう」というのがこの法の趣旨なのです。

 「やんちゃな子が、少しくらいおいたをしたっていいじゃないか。そんな中で子供は育っているのだ」という意見もあります。
 それに対して「いかなる乱暴な言動も、人を傷つけるものであり、絶対に許されない行為だ」というのがこの法の精神なのでしょう。私たちは教育公務員として、遵法精神に則り、いじめを早期に発見し、「教育」しなくてはいけないのです。(ちょっと怖い言葉の使い方解釈ですね…。)

 しかし、ここまで考えてみると、これは「いじめ」の問題にとどまらず「生徒指導」の問題だという気がします。

 学校経営等で「安心・安全」と慣用句のように二つ並べて述べることが多いようですが、「安心」していたのでは「安全」は確保できません
 3年の国語で学習する『挨拶』のように、「安心」して生活していると「安全」は脅かされる、という厳しい現実を生徒にもしっかり教えていかなくてはいけないと思います。
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